2019年8月31日土曜日

読後感「昭和の怪物七つの謎」保阪正康著

書店で立ち読みして面白そうだった「安倍晋三はなぜ”嘘”つくのか?」とどちらを買おうかと迷ったが、結局こちらを選んで正解だったようだ。やはり知っていることより知らないことの方が興味深い。

いま巷で問題化している日韓問題を考えても、思うのは日本人はあまりにも歴史に無頓着(過ぎてしまえばどうでもいい)すぎることだ。その1人として、自分が生きてきた人生の前半部分について知らないことが多すぎる。理由の一つは両親や兄の家族を含め親類縁者の人たちが全員その日の暮らしに追われ、当時の社会情勢を幼子に解説する余裕など当然無かったこともあろう。更に敗戦で戦前の日本が全否定されてしまったので、戦前の思い出なんか口にするのも憚られたのも容易に想像できる。

昭和15年生まれだから、25年には10歳。文字も一通り読めただろうし、茶の間にはラジオだってあって、毎朝15分程度はニュースを聞いていたようなかすかな記憶もある。しかし今でも覚えている単語は僅か数語に過ぎない。

余計なまえがきが長すぎた。本書は昭和氏研究の第1人者とされる保坂氏が自ら書いているあとがきの一節を引用させてもらう。「同時代の中では見えなかった風景や、さほど詳細に語られていないが歴史の視点で見ればきわめて重要な構図、さらには人間模様を取り上げている。」七つの謎はすべて人間を中心に探られている。

もちろん本人が既に物故して直接取材ができなかった人物もいる。戦犯として死刑となった東條英機、515事件で殺害された犬養毅、226事件で殺害された渡辺錠太郎の3人である。しかし著者はその奥さんや娘さんたちにも長時間のインタビューもしているし、資料の読み込みは外国の公文書館や図書館にも及び、関係者への取材は膨大なものがあるだろう。

膨大な資料に基づいてこの書を纏めるに際し、著者は取材対象に媚びるでもなく、またはなから悪者と断じているわけでもなく淡々と歴史の根源に近づく努力に徹している。個人的感想を一言だけ加えたい。先の大戦の原因がどこにあったかである。単に軍人が政治を壟断した、ではすまないような気がする。むしろ、典型的官僚である職業軍人を育てた日本の官僚教育と、戦後も続いている組織の全員がヒラメのように上しか見ない日本式ヒエラルキー構造に深い根を見つけた思いだ。

以下が本書の構成(章立て)

1.東條英機は何に怯えていたのか 2.石原莞爾は東條暗殺計画を知っていたのか 3.石原莞爾の「世界最終戦争」とは何だったのか 4.犬養毅は襲撃の影を見抜いていたのか 5.渡辺和子は死ぬまで誰を許さなかったのか 6.瀬島龍三は史実をどう改竄したのか 7.吉田茂は何故護憲にこだわったのか

2019年8月30日金曜日

長寿健康診査結果

いつの間にか日が随分短くなってしまった。今日のように終日降り込められるとまるで冬のように5時前から電灯をつけなくてはならない。憂鬱になってしまう。これはお天気のせいかりではない。物忘れが激しすぎるのだ。元々物覚えが悪いのに加えてだから始末が悪い。独身になって以来、食うために最低でも3日に一度は買い出しに出かける。買うべきものが3個ぐらいであれば何とか忘れずに済むが、5個となると先ず1個は忘れるものと覚悟が必要。

スーパーに行くとスマホのメモを見ながら買い物をしている男女が多い。昔は家内も走り書きのメモをよく書いていたのは知っている。しかしわずか5件程度でメモを作るのが悔しいので、買い忘れを選んでいる次第、全く馬鹿なことだ。一昨日は孫の誕生日を忘れたし、物忘れをしない日のほうが珍しくなりつつある。昨日は区役所から先日無料検診のデータが郵送されてきた。そのうちに掛りつけ医から説明するから来院してくださいと呼び出しが掛かることだろう。

説明を受けるまでもなく、添付された説明書と見比べながらデータを見れば大凡の見当はつく。総合判定は「異常を認めますので引き続き精密検査を受けてください」と仰々しく書いてあるが、これ以上精密に検査したところで腎機能が弱いのも貧血も何年も前からだから意味がない。掛かりつけの先生に毎度同じ言い訳をして、先生も「そうでしたね」で一種の年中行事。どうせこちらは暇だからお声がかかればいつでも参上しよう。

もう一つ気になったのが「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を予防しよう」と特筆大書。サブタイトルが<生活の中で心当たりはありませんか?>とあってチェックしましょうと7項目が上がっている。このトップ項目に来ているのが1.片足立ちで靴下が履けない。である。チョット待ってよ、このところスニーカーソックスだけなので靴下は履かない。だけど、も暫くして秋になれば当然履くだろうが、果たして片足立ちで履けるだろうか?多分うまく履けないので椅子に座って履くことになるだろう。

区の長寿健康診査の対象者は75歳以上の後期高齢者靴、靴下を片足立ちで履けるかどうか聞く方の神経を疑ってしまう。

2019年8月29日木曜日

氷山の一角

今週はじめ行きつけの接骨院の先生が教えてくれた。「厚労省政務官の何とかさんの事件面白そうですよ。」国内ニュースは日韓問題一色なので興味を失くしていたこともあって、どんな面白いことか想像できなかった。流石に問題の上野政務官が辞任となって初めて事の次第が少し分かってきた。詳細は知らぬが地位を利用した口利き疑惑らしい。接骨院の先生が言っていた秘書に指示を出した音声記録が週刊文春にすっぱ抜かれてしまったとのこと。

それで昨日だったか、政務官辞任と相成った。議員辞職じゃありませんよ。辞任にあたってはもちろん、「身に覚えのないことだが、党に迷惑をかけてはいけないので」との決り文句。これも先生が指摘していたので調べてみると、言われたように東大からハーバード大留学を経て通産省入省と絵に描いたような秀才コース。先生曰く「今や東大卒なんて自慢するほどのものじゃないのでは?1+1=2はインターネットを叩けばすぐに出てきてしまうのだから。」とのことだったが、こっちには大学受験で苦労した孫がいるので、自慢する価値があるのではと思ったりしてだが。

たまたま昨日は我が国の酷税と政府の無駄遣いに触れたばかり。政府の無駄遣いについてはそんなに簡単には分からないが、外国人労働者受け入れ関係の法案が成立しただけで、素人には分からないが、関連する制度の網をくぐるために無数の関連産業(?)が生まれるようだ。例えば語学学校から日本と人材供給国にまたがるインチキブローカーの果まで。それが総てある種の口利きに繋がるのは必然らしい。税金の無駄遣いとどう関係するか分からないが、関連無しとも言い難いものがありそうだ。

先に素人と書いたが、玄人である関係者から見れば掌を見るが如きことだろう。大学では教わらなくても、頼まれて口を利くのが政治家の務めと先輩の所作を学べばすぐに分かること。たまたま秘書の出来が悪かったのか、教育が間違ったのか知らぬが表沙汰になった小さな事件。これで議員辞職していたら加計学院の総理や今や議員ではないが竹中平蔵、甘利明なんぞはどうしてくれる、上野代議士も開き直らずには済むまい。自民党代議士が百人単位で居なくなってしまう。まさに氷山の一角だろう。

2019年8月28日水曜日

何が違うのか?

何が違うのか?

国会は10月はじめまで夏休み状態だそうで、マスコミも特に問題視しないので日本には政治課題が何も無いかと錯覚してしまう。立憲民主党副代表の長妻氏に言わせると、この緊張感が欠けているこの時期を見計らったように、昨日厚労省が年金財政検証を公表した。本来6月には公表されてきたものだが、野党の諸氏が言うには参議院選挙前に公表すると政府にとって不都合なので、先延ばしにしたとのこと。

年金暮らしをしている身にとって有り難い制度ではあるが、将来の受給者であり現在の年金支払いを支えている若年層が先細りすることが明白なこの制度に対して不満をを持っていることは自明のこと。それが財政検証で明らかになったからと言って驚くことはあるまい。これを読み込んで何がどう不都合なのか論理的に理解できる人は少ない筈。何もそこまで隠す必要はないのではないか。テレビも昨日から今日にかけて大騒ぎしてみせるが、天気予報の「大雨に注意して先ず命を守ることを最優先してください」なんて決り文句を喋っているのと大差ない。

同時に今週末で来年度予算の概算要求が締め切られる。何度も書いたが、昔は次年度予算の本格的査定は年末であったのがいつの頃からか8月末から始まるとされるようになった。査定期間が延長されても何故か予算案成立は相変わらず大晦日近い年末だから、次年度予算案について国会で十分な審議が行われるかと言えばそんな事も無い。全く意味不明で不思議なことだ。財務省が先月末公表した来年度予算の試算を見るとあっけらかんと約105兆円としている。

ごく大雑把に言えば「歳入見通しは約70兆円に対して、歳出見通し105兆円で来年度もまた35兆円ほど赤字になりますよ。」である。歳入の中で税収が約62兆円である。数字が大きすぎてピンとこないだろうが、国民を1億2千万人とすれば、一人あたり年間50万円召し上げられて60兆円である。平均以下の暮らしなので50万円は収めていないと思うが、それでも半分の20万円以上は払っていると思う。

国民にはかなり過酷な税と思うが、それを措いても歳出に関して厳しい目を向けるべきだ。特に今朝思ったのはドイツのこと。ドイツは所謂プライマリーバランスの黒字国、歳入が歳出より多い。それもかなり大幅になっている。ではドイツ国民は過酷な税に悩まされているか。実情を知らないので軽々には言えぬが、そうでもなさそうだ。この違いはなんだろうか?何れにせよ、庶民の目が届かないどこかで、日本政府は恥知らずな無駄遣いを続けていることだけは確かだ。

2019年8月27日火曜日

フランス・G7考

今回のビアリッツ・サミット、主要7ヶ国首脳による会議とばかり思っていたが、案に相違して随分多数の国家主席が招待されたようだ。詳しくは紹介されていないので定かではないが、インドとかエジプト等アフリカ諸国が招待されたようだ。但し、日本はこのアフリカ諸国との会議をアメリカと欠席して、日米間の貿易交渉をして、例の余剰飼料用とうもろこし爆買を決めたらしい。嘗て日本はアフリカ諸国の振興に協力していくことを宣伝していたように記憶するが、G7での会議欠席の意味が全くわからない。

それは措いて、主催国フランスのマックロン大統領という方もかなりやってくれたものだと改めて感心してしまった。そもそも開催前から共同宣言は発出しないといいう報道が大々的に流され、事実そのような結果にはなっている。そして日本の報道は絵に描いたようなステレオタイプ「主要国結束の乱れ」と報じている。

確かにそれは事実かもしれぬが、現状の世界を見て先進国の中で結束が硬いのは日本とアメリカぐらいのものだ。共通の通貨や法律で縛っているEU28ヵ国でさえどこまで結束が出来ているかは分かったものでない。経済的には世界自由貿易とかグローバリズムといった単語を屡々見聞きしてもそれがどんな意味を成すのか不肖の身には定かではない。先の大阪G20の共同宣言でも、主催国首相安倍晋三氏が最終日にそのようなことを高らかに謳い上げたその直後に、日本が対韓輸出規制強化を宣言するなんてまるでブラックジョークにしか思えない。

ましてトランプ氏が出席している会議で先進7ヶ国首脳が経済的要因で結束できることが無いのははなから分かりきっているので「共同宣言は出しません」と割り切ったのは一つの見識だろう。ではこの週末からの3日間がまるきり無駄だったか、と言えばそうでない気がする。新聞も見出しだけ、テレビも頭だけしか観ないので飽くまで感覚的なものだが。イランと米国の間を取り持つことに成功したのは会議の席上ではなくトランプ氏とサシの話し合いだなので、マクロン氏が会議を私物化していると悪く言う向きもある。

たしかに従来の定石常識から言えばマクロン氏はG7なる会議を無視したきらいは否めない。しかし世界平和や安定への貢献と言う意味において大きな足跡を残し、今後のG7に対して新たな道筋をつけたように思う。それが何より証拠には、当初会議の意味に大きな疑問を呈していたアメリカのトランプ氏が次期主催国代表としてやる気を見せ始めていることにも現れている。

2019年8月26日月曜日

安倍晋三首相と言う宿痾

我が国は言わば成人病のように潜在的な患いを持っていて、本人は気づかない間に寿命を縮めているようなものだ。国家の健康診断は無いので指摘する人は少ない。庶民は気楽なものだから、知り合いも皆同じ状況にあるので仕方なかろうと思っている。確かに給料が上がら無い割に取られるものだけは知らずしらずに増えて入る。しかし生活が多少苦しくなっても未だ暮らしていけないほどのことではない。

先行きや子どもたちの将来には確かに漠たる不安はあるが、それは子どもたちに奮起してもらうしか無いだろう、てなことで頭から追い払って凌いでいるのが実情だろう。考えても責任の追求のしようがないのである。日本は鉱物資源が大量にあるわけでもないし、農業に都合の良い広大な土地があるわけでもない。しかし狭い土地であっても人口は世界でも有数(世界ランク11位)の1億3千万人弱で、これが日本最大の資源とも言える。

小生からすれば親や先輩の世代が1945年の敗戦以降わずかの間に経済的復興を成し遂げ、我々の今日の土台をを築いてくれたのも、その世代の人間力に他ならない。然るに浮かれ騒いでいた前世末からあたりから急に国内景気が変わりはじめ、21世紀に入って既に19年経っても日本の地盤沈下は一向に止む気配がない。もちろん世界の情勢は日々刻々変化しているのは20数年前も同じことである。風向き変化の原因は国内にあると知らねばならない。G7参加国の中で発展の気配が無いのは残念ながら日本だけ。

確かに親類縁者や近隣の皆さんは現状に我慢しておいでのようだから私だけが不満を言うまいも分からぬではない。しかし世界的標準から見れば日本は異様な状態にある。もちろんテレビなんぞには滅多に登場してこない経済学者や知識人にはよく分かっていることなので、ネットでは警鐘乱打し続けている人も多い。人間の身体にたとえれば「こんな生活をしていれば早死しますよ。」そう指摘されても、生活のどこを改めれば良いかわからないのが凡人の辛さだろう。

個人的には「日本人の悪い癖で、政治指導者の選択を誤っているのだ。病のもとは首相にある。」と思う。以下は保阪正康氏の本からの引用「戦前日本は思想も意見も持たないような軍人に政治を任せた。彼らは何れも権力主義者で、権力に媚び、時の勢力の大きい方について甘い夢を観た連中ばかりであった。」前回の参議院選挙の投票率も50%を切っているが、投票しようとしまいとどうせ変わらないと思っていてはいけないのである。

2019年8月24日土曜日

忘れてはいけない

情けないことであるが、G7メンバーでありながら世界中の国からまともに相手にされていない我が日本。これが初めてと言っていいくらいのもので、隣国韓国からまともに外交課題を突きつけられている。マスコミはこれへの対応を巡って連日日韓問題一色。論調も見事に一致し、韓国はアメリカからも北朝鮮からも見放されて孤立化して世界中から相手にされない国となり、経済的にも没落するし、場合によっては北朝鮮に占領されるかもしれぬとのこと。この間日本が取るべき対応としては特に何も無く、アメリカとの関係を一層密にすることだそうだ。

マスコミ論調が良くもこれまで見事に揃うと感心もするが、これに反論できるほどの見識は残念ながら持ち合わせないので、これまでにしておく。マスコミへのイチャモンを週に1度位書かないと気が済まないので、今日もファンである信州人のジャーナリスト青木理氏の論調を借りて書く。今週ネットで聞いてメモしておいたのだが、多分青木氏がどこかのラジオで喋ったことだと思う。ネットの世界は面白いもので、このような情報を几帳面にネットに上げてくれる人がいる。ひょっとしたらラジオ局自身かもしれぬ。

青木氏曰く、マスコミは毎日新しい情報に食いつくのが使命なので仕方ないかもしれぬが、同時に古い大切な情報が上書きされた形で人々の記憶から忘れ去られていく。安倍政権はこのことで大分救われているが、国民全体にとって果たして良いことなのかどうかと問題をいくつか提起している。例として挙げていることを総て紹介する事ができぬが、一つだけ簡単に紹介する。

先ず彼が挙げたのは、先週16日に発令された「森友文書改竄の”実行犯”が駐英公使」の件。例の学園に「国有地が不当に安く売却された件に私の事務所や家内が関わっていたら、私は総理はおろか議員も辞めます。」発言を受け、当時の理財局長が調べると塩梅の悪い文書が出てきてしまった。これを何とかしなくては、との意を受けて近畿財務局に改竄の指示を出したのが当時の理財局総務課長の中村稔氏。大阪検察庁は無罪としたが、もちろん検察審査会で起訴された。

ところが、2度に亘る起訴の結果も無罪となり、晴れて目出度く駐英公使にご就任とのこと。財務省の役人が英国大使館でできることはなにか?毎日高級ワインを飲むことぐらいだろう。と言ったのは青木氏の相手をしていた室井佑月さんである。

2019年8月23日金曜日

外務省と言う役所

外務大臣が日韓閣僚会議で肝心の日本の輸出規制問題に関し「それは我が任に非ず」と答え、平然としてたことは流石に多くのマスコミが報道している。外相の出来の悪さは度々書いてきたので重複は避けよう。改めて思うのは日本の外務省に関し湧いてくる疑問である。ここ数日最悪状態になった日韓関係をテーマとするテレビ番組に元駐韓大使の武藤正敏氏なる人物があちこちに出演している。

武藤氏に限ったことでもないが 、一般的に外務省OBの解説は韓国に極めて厳しく、まるで話相手とするに値しない国であるかのような切り捨て方をする人が多い。外務省は異国人と話し合いのスキルを磨いた人物が任に当たる役所の筈。まして当事国韓国に駐在をした経験があるなら、その国の実情を深く弁えて、相手が今何を考えているかを丁寧に解説してほしいと思うのだが、誰の話を聞いても文大統領の考え違いを指摘する話ばかり。

即ち、自分の人気取りにかまけて世界観を見誤っているとか、真の国益を考えればそんな判断にはならないはずといった話ばかり。武藤氏が何年韓国に駐在したか知らぬが、韓国に対する愛情のようなものを全く感じないのが不思議でならぬ。こじれてしまった日韓関係の責任の全ては韓国にあると切捨てる始末。いくら日本政府から嘗てお鳥目を頂いたにせよ、韓国にはなんの思い入れも無いのだろうか。もしこんな組織の上しか見ない人材で外務省が構築されているなら、日韓関係も、他の国との関係も良くなる筈はあるまい。

昔、世界を股にかけた大手に勤務した友人が話してくれた。彼は学生時代から人付き合いも良かったから 現地スタッフや取引先との関係も良かったのだろう。何だかんだと良いように使い回されて20年以上、本社に戻ってきた時は50歳前後になってしまっていた。結局再び海外勤務を命じられたとき堪忍袋の緒が切れて、辞令を言い渡した専務だったかに向かい「本来だったら、俺がお前が座っているその席にいるべきなのだ。」と啖呵を切って辞めてしまった。

この話のように、外務省という役所も全員が本省での出世だけを見ているようではこの国の外交なんか無きに等しいものだ。

2019年8月22日木曜日

「専守防衛」今や死語

毎朝NHK・BSの「ワールド ニュース」を観ながら思った。欧米先進国や中露とかインドなんか主要国のトップは、毎日をものすごく忙しく動き回り、且つ記者のかなり意地の悪い質問に答えたり、トランプ氏に至っては聞かれていないことを自らツイートで発信を続けている。それぞれの行動や言動には毀誉褒貶はあるだろうし、個人的には善悪の判断もあるが、それは取り敢えず措いてエネルギッシュであることには敬意を表さざるを得ない。

引き換え日本の政治家の存在感の無さ、野党の内向きさが他国から相手にされないのは当然だが、与党幹部を含め首相の存在感の薄さは、無さはこれで良いのだろうか?週末からのG7ではレギュラーメンバーだから明後日からはテレビにも顔が出てくるだろうが。いま今日現在、皆さんどこで何をしていることやらである。

確かに日本は他国から見たら資源は無いし、農業に適する国土も無い、お金も産業も無い無いづくしの国だ。一昔前までは金持ちぶったところもあり輸出先として大事にされていたかもしれぬが、これも今や中東の産油国だけかもしれぬ。そうは言っても過去は世界第2位の経済大国1億人をこす人口だから韓国・中国・ロシア等の隣国からすれば、町内会のお年寄りと同じで敬して遠ざける訳にはいかないのだろう。

口幅ったく言えば、長老はそれらしくゆったり構えていれば誰も喧嘩は売ってこない筈。そのうちに、北の旦那に口添えしてくれる国も出てこようかと思う。ところが何を考え違いしているのか、来年度予算では国産初のステルス戦闘機の開発を決定して予算化を図るとのこと。ステルス戦闘機とは敵のレーダーに発見されにくい性能を備えた戦闘機である。平たく言えば敵国に侵入するに便利との意味。

年寄りが死に欲をかくと碌な事はない。己も無事長生きするためには欲をかかないよう戒めているが、いくら外交音痴とは言え国家の指導者たる者、もう少し知恵を使ってほしいものだ。因みにこの戦闘機の計画は90機か作って全国に配備する予定だそうだが、今の所費用は1兆6千億円とも言われている。

2019年8月21日水曜日

駆け込み需要

どうやら酷暑の峠は超えたらしい。昨夜は久しぶりに凌ぎやすく、熟睡して朝一で空を仰ぐと秋の気配を告げるような青空とかき氷のような白い雲。室内の空気を入れ替えて気温を見ると24℃しかない。このまま一気にとはいかぬだろうが、久しぶりにホッとした気分。秋の気配は有り難いがなんとなく物悲しさも覚える。

季節が変わるとやって来るのが10月1日から消費税増税。これが経済にいかなるインパクトを与えるかが興味津々でもある。今これと言って欲しい物がないので感覚的に分からないのが、昨日夕方のテレビニュースでやっていた消費税増税前の「駆け込み需要」。自動車や持ち家の建設については2%が大きいことは理解できる。理解出来ないのがごちゃごちゃと沢山紹介されていたがタバコやビールの買い溜めまであった。何日分を買い溜めるのか知らんが、なにかいじましくて笑ってしまう。家がよほど広いならいいが、狭い家にタバコやビールをつみあげてどうするのかね。

売り手の方も駆け込み需要で昨年の○%増なんて嬉しそうに話しているが、その分10月の売上が落ちるのだから笑っている場合でも無かろうに。政府も政府で、駆け込み需要の反動を抑えるための施策を様々講じるそうだが、ならば増税なんかしなければいいだろう。とは言っても落ち込みが起きても瞬間風速の問題、何れは8兆円だが10兆円が毎年転がり込むのだから笑いが止まらぬか。財政が豊かになれば、その分社会福祉が充実するなら兎も角、兵器の爆買なんかに消費されたのでは泣きっ面に蜂である。

2019年8月20日火曜日

フランス・ビアリッツ

初めて聞く地名なのでタイトルに使わせてもらった。ここで今年のG7サミットが開催されるそうだ。ビアリッツはフランス南西部のバスク地方にある美しい海辺の町で、19 世紀にヨーロッパの王族や貴族が訪れたことから発展した人気のリゾート地とのこと。ここで来週の24日から26日まで開催の予定で、議長国フランスの公式ホームページには日程等が詳しく紹介されている。日本も参加国メンバーではあるが事前報道があまりにも少ない。

今朝の外国ニュースでは、今度のサミットでは宣言採択が見送られる見通しだと大々的の報道されている。比べて日本マスコミは殆ど無視である。1975年以来過去40有余回に亘る歴史上初めてのことらしい。チェアマンになる筈のマクロン大統領は、昨日ロシアを訪問してプーチン大統領と会談している。外国メディアが配信している映像を見る限り、二人共通訳抜きの本当のサシで、アメリカがINF(中距離核戦力全廃条約)を突如脱退した問題について真剣に意見交換している。

フランスやロシアの大統領たちも家族はいるし、夏休みは取ったかもしれぬが、かなり短縮しているはず。それだけ現下の世界が複雑化しているという事だろう。日本の政治状況と世界はかなり異なり、アメリカや中国による覇権なんぞということは最早通用しない。かと言って所謂ラウンドテーブル方式の話し合いでもなかなか一致点を見出すことができなくなってきている。いよいよサミットの役割は終わると言うことらしい。

首脳会議と言えば予めシェルパと称する事務方が入念な打ち合わせを行い、首脳たちはその台本に沿って和やかな雰囲気を作り、共同宣言に署名してメデタシメデタシだった筈が今やそうはいかず、サミットそのものが形骸化して、首脳同士が本気で話し合いをしなければならぬことなってしまっているようだ。山梨県のお別荘でゴルフを楽しみながら呑気にお過ごしになっている安倍首相にとっては24日から始まるサミットは、どこの首脳とサシの会談は予定されず、本当に都合の良いバカンスの延長となることだろう。

2019年8月19日月曜日

面白半分

本日は日大病院放射線科の半年ぶりの検診日、今のところ問題無く満4年になるので良かったですねとの有り難いお言葉。幸いお天気も雨降りの予想の割には久しぶりの曇で、通院も良い朝の運動になった。

日本ではあまり話題になっていないようだが、アメリカの何とかエプスタイン氏と言う大富豪が、未成年の性的人身取引で起訴され、送り込まれた牢屋即ち拘置所で謎の死亡と小説のような事件、先月末の事件だが未だに尾を引いているらしい。と言うのはこのエプスタイン氏、セレブの世界では超有名人でイギリスのウィリアム王子やアメリカの政治家は民主、共和両党のトップクラスの大物と極めて仲が良く、クリントンさんやトランプさんなんかもしょっちゅうパーティーに参加していたとのこと。安倍晋三氏なんかも参加させてもらえればいいのだが、残念ながら名前はマスコミには出ていない。

さすがアメリカ、お遊びにしてもスケールが違う。嘘かホントか知らぬが、トランプ氏のファーストレディメラニアさんもこのオジサンが紹介したとも言われてるそうだ。トランプ氏のスキャンダルを日本の爺さんが面白がってもどうということはないだろうが、最近のトランプ氏、日本の安倍首相ほどでないにしても、あちこちに口出しする割に思惑通りに運ばないことが多そうだ。中国やイランとの対立も、お友達国家に声をかけて一緒に攻めようとしている割にお友達の協力がうまくいっていないように見える。

来年から本格的選挙戦に突入だが、いまのところ相手の民主党がもたついているようで、トランプ氏の再選確率が高いとされてはいるようだ。個人的には再選されないほうがアメリカと世界平和のためではないかと思ったりしている。トランプつながりで思い出すのは香港の学生主導のデモ騒ぎ、日本のテレビ局がなんでこんなに丁寧に報道するのか気がしれない。香港には行ったこともないし行く気がないせいかもしれぬが、観光がかなり重要な産業だとすれば、経済的なダメージは大きいだろう。

60年安保にも参加しなかったダメ学生だったことの言い訳をすれば、母校の創始者福沢諭吉先生は、慶応4年上野の山で彰義隊の反乱が起こり矢玉が飛び交う中で授業を続けられたと伝えられている。即ち学生の本分は勉強することにあり、政治に関わるのはもっと勉強してからにしなさい、との意であろう。
言う資格が無いのは十分承知だが、政府に民主化を求めても、香港が中国に返還された以上、完全な民主化はありえないだろう。更に、民主主義そのものがそんなにバラ色ではないと思うが、言っても分かってはもらえないことだろう。

2019年8月17日土曜日

巨大特殊組織の情報管理

本当は土日くらい休みたいと思っていたが、暑すぎて出かけることができないので、少し書くことにする。北朝鮮がまたミサイル発射実験をしたようだ。同時に北朝鮮の金正恩氏が韓国の文大統領のことを悪し様に罵っている。これが不思議でならない。文大統領は北朝鮮の平和を心から願って努力していると見ているのだが、金正恩氏は何を考えているのだろう。もう一つは北のミサイル発射についての情報はあいも変わらず韓国からしか情報入手がないこと。

それほど大切な情報源である韓国なら何も貿易問題なんかでギスギスしたいがみ合いをしなければいいだろうに。これも不思議でならない。まともな情報が入らない一市民としては分からないことだらけである。安全保障関連情報については自民党の幹事長にさえまともに報告が上がらないようだ。二階氏が国家安全保障会議が開催されないことで文句を言っている。要するに安全保障関連情報が何処に集中するかわからない組織になってしまっているのが日本政府の実態ではないかとさえ思えてくる。

昨日書いた「226事件の全貌」を待つまでもなく、戦前でも陸軍と海軍が情報を共有できていないことは既に明らかになっている。現在は防衛大臣の下に統合幕僚長が置かれ、一見するにここに陸海空の情報が集約される形にはなっているが、統合幕僚監部のホームページをざっと見るだけでも、ここ自体の組織が既に複雑多岐で、これではまともな情報の集約は難しかろうと容易に想像できる。

更に自衛隊ではシビリアンコントロールを強調するあまり、所謂背広組、即ち内局官僚が情報を優先的に管理する建前になっている。これがまた情報隠蔽の要因を作り出しているに違いない。只でさえ軍事情報は特殊性が高く、素人には分かりにくい筈。統合幕僚長といえどもお釈迦様ならぬ身だから不都合な事実はが隠蔽されても気がつくめぇ、である。今からでは手遅れだろうが、防衛省では大臣も含めて全員制服組で構成としたほうがスッキリしたと思う。

そして隊員には政治に口出しさせない他策を講ずべきだったように思う。安全保障関連の国会内のやり取りを聞いて、隔靴掻痒の感があるのは素人同士が喋っているのだから仕方ないかもしれぬが、同時に情報管理の難しさを痛感する。

2019年8月16日金曜日

昨夜のNスペ「226事件の全貌」

10号台風はとっくに日本海に抜けているのに都内は終日強風が吹き荒れて止む気配がない。よほど大きな台風だったに違いない。今年のお盆休みは予定が狂った人も多いことだろう。

昨晩たまたま観たNHKスペシャル、タイトルは失念してしまったが、事件から83年も経って発見されたという旧海軍の資料、昭和11年2月26日早朝に発生し、29日に鎮圧された「226事件の全貌」である。厚さ7,8センチはあろうかと思う分厚いバインダー7冊分。そのうちの6冊は、事件発生を26日早朝警視庁からの電話で海軍軍令部が受けた時からから事件収束まで、海軍が収集した情報を分刻みで記録されている。詳細に渡る記録は昔も今も同じだろう。極秘とされてるが押された認印は相当な数。

残るやや薄い1冊には、この事件に関連して事前に収集していた情報が整理記述されている。この文書を隠し持っていた人物は特定(旧海軍高級将校:大戦の降伏署名式に重光大使に付き添ってミズリー号に赴いている)されていたが、発見の経緯は明らかにされていなかった。発見された日時も明らかにされていないが、膨大な資料を読み込んで75分のスペシャル番組を作るくらいだから少なくとも1年や2年は必要なはず。

事件についてはそのうちに新たな解釈が出てくるだろうが、一つはっきり言えるのは、これまで事件の核心部分は明らかにされてこなかった。即席の軍事法廷で責任者をでっち上げて処刑を急ぎ、上層部で関与した大勢が野放しにされたことを政治も許した。個人的感想は巨大暴力組織の中で教育された人間の怖さである。この事実が戦前はもちろんのこと、戦後74年目にしてやっとこの事実が明らかにされる有様。今日現在、NHKオンディマンドにアップされていないが、いずれ上げない訳にはいかぬだろう。

今や旧自衛隊員の政治家が大分多くなってきたし、マスコミにも旧自衛隊員が堂々と出演して偉そうに政治に関することを喋っている。。軍人は政治に口出しするべからずとされていた80数年前だから発生したクーデターかもしれぬ。しかし今や軍人が大手を振って政治や言論の表舞台に躍り出て、国民を誘導し始めている。彼らは自分たちの秘密を一切漏らさない意味では戦前と全く変わらない。このことをとくと考える切っ掛けとなれば昨夜の番組は意味がある。

2019年8月15日木曜日

74年目の朝、国民と国家

国際的に終戦と言えるかどうか疑問はあるだろうが、8月15日は昭和天皇が国民に向け肉声で詔勅を発し、ポツダム宣言受諾を明らかにした日であることは今更言うまでもない。今日改めて思うのは幼稚園児であって家にいたので、母たちの受け止めは鮮明であるが、学校でこの放送を聞いたであろう兄二人からこの放送に関して聞いたことがないままであった。いつかは聞いておくべきであったと思うが、今や二人とも幽明境を事にしてしまった。

この大戦の死者は310万人と聞くが、あまり数字が多すぎてピンとこない。各地で行われる慰霊祭では「尊い犠牲」が常套句になっていて、「犬死」とか言えば非難されそうだ。しかし冷静に考えれば「犬死」ではないかもしれぬが、当事者からすれば「なんで俺が、私がここで死ななくてはならないのか」と疑問が有ったろうが答えてくれる人はいない筈。総てはお国のため?でもお国はなにか補償してくれただろうか?

人によっては勲章くらいもらった遺族はいるかも知れぬ。しかしそれが何だ?やはり「無駄死」ではないか。まずはその無念さに思いをして犠牲者の霊に祈りを捧げたい。犠牲者とその家族を思うとそれを強いた責任者の責任を問いたいが、今日はお盆でもあるのでそれは措くことにする。それより犠牲者たちの悲惨さに比べ、現在我が身の豊かさ、安逸さだ。普段どうしても欲ボケであれがしたい、これがしたいと思いがちだが、今朝ふと思った。両親兄弟はじめ先祖を思うとこの欲ボケはバチが当たるだろう。

そもそも無条件降伏した国の男子でありながら、ここまで生きてきただけでも有り難く思うべきで、これ以上の何を望むと言うのか。これからは今まで歩んできた人生に先ず満足して、朝を迎えるようにしたいものだ。齢80近い年寄りの思いをよそに今の世の中、すっかり様変わりしてしまった。ポツダム宣言によって日本は占領されたが、その宣言の第12条は次のように書かれている。

「日本國國民ノ自由ニ表明セル意思ニ從ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ占領軍ハ直ニ日本國ヨリ撤収セラルベシ」

74年ともなれば戦争の匂いすら知らない国民が大多数とは言え、国の指導的立場にある政治家の多くが「平和的傾向ヲ全ク有シナイ」現状を世界がどう見ているか知らぬが、臆病な年寄は怖くてならない。

2019年8月14日水曜日

YouTubeの拡散を

最近政治問題についてあまり書かなくなってしまったが、昨日ネットを見てまた少し書かなければと思い直した。安倍総理が故郷に帰って墓参りまではいいが、その後の記者会見で再び改憲への意欲を示したとのこと。本当に安倍氏は国民をなめきっている。参議院選挙の結果を受けてとのことだが、何処をどう読めば国民が改憲を望んでいるというのか。改憲に賛成した有権者は10%、10人に1人にも満たない。国民を馬鹿にするのもいいかげんにしろ。

先の選挙では投票率が48%と半分以上の有権者が棄権してしまった。嘗て森首相が「若い人は寝ていてくれたほうが有り難い」と暴言を吐いたことがあったが、今回の選挙はその通りで投票する気にもならなかったっ人が多かったようだ。私は一応投票したが、その後は冒頭に書いたとおり、ブログで触れるのも虚しい気持ちになってしまっていた。しかしこれは安倍氏の思う壺で、このままでは安倍氏の改憲スケジュールが予定通り進んでしまう。と言うことを昨日のネットで教えられたの訳である。

教えてくれたのはYouTube「佐高信×早野透+平野貞夫のジジジ放談」
https://www.youtube.com/watch?v=yd2yVFHMcDQ

これを観て頂ければこの下手なブログなんぞ読む必要は全く無い。

安倍氏は「参院選で勝利させて頂き」と恥ずかしくもなく枕詞を使いまくるが、自民党の議席と比例の投票数は大幅減。そもそも選挙結果を政党名でなく「与党で」勝利と言ったって公明は安倍氏の9条改憲には選挙前から明確に反対意思を表明しているではないか。マスコミもこの我田引水、夜郎自大な発言をいつまでも批判せず垂れ流すのはどうかと思う。この動画の中で平野氏が警鐘を鳴らしている。

即ち、昨今の対韓国への経済的嫌がらせは、安倍氏の改憲作戦の一環で、これに依って国民の嫌韓感情を煽り、その勢いを駆って国民投票になだれ込もうというのだ。参議院で発議に必要な3分の2議席に4議席不足なんてのはさもしい議員が多いから金の力でなんとでもなる。情けないのは立憲の党首枝野氏までが安倍氏に乗せられて韓国批判をしていること。そう聞くと黙っていられなくなって、YouTubeの拡散をする気になった。

2019年8月13日火曜日

来年のオリンピック

今週の都内は静かで結構なことだ。昨日乗った地下鉄も山手線もこんなに空くことがあるのかとびっくりしてしまった。暑さも昨日からは少し和らいだ感じもする。そもそも台風10号のせいだと思うが、南の海から遠く離れた東京でも影響は出るものらしい。予報では午前中雨の確率が50%とのことではあったが、午前中真っ黒な雲に一瞬襲われたので恵みの雨かと思わせただけで降らずじまい、残念至極だ。本当に一雨欲しい。

この調子では来年のオリンピックが思いやられる。梅雨の長雨は兎も角、地球温暖化は全世界的トレンドらしいので来年も酷暑が続けてやってくる可能性は十分あるだろう。会場の整備も段々と進み、試験的使用が始まっているが、ニュースを聞く限り問題山積のようだ。東京湾の臭い海で行われる遠泳やトライアスロン。観客への配慮が全くなされていない酷暑対応。現在行われている夏の甲子園高校野球ファンを思えば心配する必要はないかもしれぬが、アスリートへの配慮はなんとかなっても観客への配慮までは頭が回らないか、予算が足りないか知らぬが、今年並みの酷暑になれば救護班は大活躍になるに違いない。

昼飯時に他人の会話を聞いていると、チケットが取れなくて残念がっている人がいるが気が知れない。それも結構なお年寄りである。家でテレビ観戦すれば特等席と同じで、熱中症の心配は先ず無かろうに。何処の会場であっても観覧席につくまでの苦労については今の所思いが至らないのだろうが、組織委員会側は安全確保が最優先だから、ゲイトを絞って行列させることはなんとも思うまい。その上昨今お馴染みのセキュリティーチェックだ。まさか皇居のように飲み物は持ち込み禁止とは言わぬだろうが。

もともと日本の旧盆という時期は先祖を思って静かに過ごすべき時である。田舎の盆踊りや夏祭りは許せるが、行政が音頭を取って国をあげて大騒ぎすることは個人的に釈然としない。更に国際的に平和モードが突き崩され刺々しい雰囲気が漂っていることも気になる。1940年の例ではないが、何かの拍子にオリンピックボイコットなんて国が出ることもありえないとは言えない雰囲気もある。

2019年8月12日月曜日

盆休み

盆休みは毎年のように長野に帰るのが習わしだったが、今年は久しぶりに暑い都内に留まっている。都内の人口は大分減っているのだろうし、休みのお店も多い。幸い行きつけの飯屋は新潟県人のご主人が盆の最中でも健気に店を開けてくれているので大助かりだ。昼少し前に申し訳程度のお湿りが来たのでこれ幸いと出かけたものの、帰りは元の木阿弥の炎天下で、わずか15分くらいの道のりで汗がびっしょり。

連日1万歩々行を心掛けていて、なるべく暑さの盛りは避け夕方日が落ちてからの時間帯を中心にしているが流石にくたびれ気味、昨夜7時ころ帰宅してすぐに冷水のシャワーを浴びたところ、鼻水止まらずなんだか風邪のような感じもした。その後昼間録画しておいた囲碁番組を見始めたら途中で居眠りしてしまった。こりゃヤバイと風邪薬を飲んで9時前には寝てしまったので、今日はなんとかなったようでもある。

今日の夕方はささやかな飲み会があって早めに出かける予定、ブログも早めに上げる。

2019年8月10日土曜日

世論への疑問

昨日は新聞も読まずテレビのニュースも見ずに過ごしてしまったので、今日は見どころ満載だ。毎度のことなのでまたかと思われる方が多いかもしれぬが、参院選挙後の安倍内閣支持率が数ポイント高くなっているのが不思議でならぬ。昨日の長崎における原爆被害者の遺影式典に出席した安倍総理に対して、長崎市長の田上富久氏や被爆者代表の山脇佳朗氏達が悲痛とも言えるメッセージを発している。

日本は「被爆者の訴えを原動力として誕生した核兵器禁止条約を一刻も早く批准すべきだ。」この条約は2年前に国連で122カ国が賛成して採択された後、批准国も少しずつ増えており、条約発効に必要な50カ国の半数になった。田上市長は次のように語っている。「世界から核兵器をなくそうと積み重ねてきた人類の努力の成果が次々と壊されている。」しかし安倍首相は広島、長崎両市のあいさつで今年も条約に触れず、記者会見では条約を「現実の安全保障の観点を踏まえていない。日本は核所有国と非所有国の橋渡しをして世界平和に貢献していくのである。」と言い放って済ましている。

辺野古の埋め立ても同様だが政府は国民の声に聞く耳を持たず、夜郎自大な屁理屈をこね回すのみ。まさに理屈と膏薬の喩えを絵に描いているようなものだ。マスコミが発表する世論調査はなにもNHKだけに限らないから、調査結果が歪められているとは思わないので不思議でならない。もう1件上げるとすれば、こちらも国民感情からして違和感どころか怒りを覚えるのが当たり前に思える記事。即ち、『森友改ざん、残る謎 特捜部、市民感覚とずれ 幹部「刑事罰適用に限界」』

告発していた弁護士の代表者が「日本の特捜検察とは一体何だ。存在する意味がない。」と怒りまくっていたが全く同感だ。公文書を改ざんしようと、国会で嘘の答弁をした官僚自身も関係する政治家たちの誰一人罪に問われない日本の司法制度。これをを法治国家と呼べるのだろうか、とてもそうではあるまい。言わば二流三流の独裁国家としか思えない。

テレビは日韓問題とか名古屋の報道の不自由展とか賑やかだが、今日敢えて取り上げ、読者の共感を得たいと思ったのは上の二件である。

2019年8月9日金曜日

新品のパソコンで

パソコンが新しくなった。10年近く使い続けたNEC製品に決別して中国製品LENOVOThinkPadE585なる機種に乗り換えた。10万円を覚悟していたが、約6万円で買えたのはラッキーだった。これも日頃から世話になっている師匠のおかげ。昨夜時から10時過ぎまで拙宅に来ていただき、基本設定をお願いした。時間がかかったのは古いパソコンが余りにメチャクチャで、師匠が整理をしてくれたせい。それから池袋に食事にでかけたので帰宅が0時就寝は1時ころ、流石に今朝は眠かった。

今朝もシコシコとパソコンの引っ越しに追われて1日が過ぎてしまった。本当のところはパソコンが軽くなったので、嬉しくなって途中でネット囲碁にハマって道草を食ったせいもある。どうやら4時までにはブログを書ける状態は完成したが、他には思考停止状態に付き本日ブログはお休みということにして、腹が減ったので今日はここまでにする。

2019年8月8日木曜日

熱中症対策

暦の上では今日から秋、しかしテレビでは毎日のように高齢者の熱中症死亡事故が報道されている。この暑さだから仕方ないかもしれぬが何とか、その範疇に入らぬようしたいものだ。そこで昨日は年に一度の後期高齢者の健康診断に行ってきた。先月の中旬に案内状が届いて、期間が8月1日から11月30日までとなっていた。確か昨年も早めに行った記憶があったので今年も同様が良かろうと思った次第。朝食抜きで受診となっているので朝一の9時に掛かりつけ医を訪問。

今年は心電図測定が無い年だそうだ。尿や血液の検査結果はを聞くのは数週間先になるが、身長、、体重、血圧だけは昨年とほぼ変わらず。特に変わったことはしていないので当たり前かもしれぬ。むしろ久し振りのお医者さんの方が少し様子が変わった感じがした。この先生(女医さん)は昔通っていた池袋のジムで毎週土日の開門前にエレベーター前で顔を合わせていた仲で、当時こちらはプール、先生はジムに向かっていた。「先生、相変わらずジムに行っていらっしゃいますか?」と聞くと。

「行ってはいるのですけど、膝が痛くなってジムはやめて、プールで特別指導を受けてやっと泳げるようになりました。」とのこと。こちらの方が少し年が上だと思うが、こちらは水泳をやめて専ら歩行訓練に徹して、時に山などの行くのに対し、先生は真逆のようで面白い。帰宅して遅い朝食兼昼食を摂って暫くすると、玄関からピンポーンと呼び鈴が鳴る。今頃誰かと思うと、民生委員のHさん、すぐには思いだせなかった。それもその筈、1年振りのお越しとのこと。

プレゼントに「肌に爽やかクールタッチの涼感タオル」と<熱中症:思い当たることはありませんか?>4色裏表に熱中症患者の半数は高齢者ですとして丁寧に注意事項イラスト入りで書かれている。普段この手のチラシは読まずに捨てるが、昨日は折角タオルまで頂戴したので丁寧に読んだ。書かれている注意の殆どは実行しているが、先日来気になっているのは日傘のこと、今のところ買う気にはなっていないが、今年は凌いでも来年の夏生きていたら買うかもしれぬ。

2019年8月7日水曜日

読後感「三体」劉 慈欣 著

SF小説が特に好きということも無いが、書店で大量に平積みされているのでつい読んでみたくなった。2006年と言うからも大分前に中国で発売され、その後英語圏で翻訳されるや数多くの賞を獲得したとのこと。アメリカの前大統領バラクオバマ氏が「とにかく スケール が ものすごく大きく て、読むのが楽しい。これに比べ たら議会 との日々の軋轢 なんか ちっぽけなことで、くよくよする必要はないと思えてくるのも本書を楽しんだ理由の一つ。」と語ったそうだから。本書の面白さもうかがえるし、オバマ氏の知的水準も大したものだ。

何しろ450頁のボリュウームなので読了まで相当時間が掛かった。SF作品の特徴かもしれぬが、主人公が数人いるが、彼等が時空を超えて飛び回るのだ。しかもそれが時には敢えてバーチャル世界に飛び込んだり天文科学分野に話及ぶので、余程しっかり読み終えた部分を記憶していかねばならない。しかも著者のか科学的知識にはとても及ばないので、勝手に想像しなければならないところもある。正直に言えば年寄りには少し荷が重かった。

著者は本書のあとがきでは河南省となっているが、WIKIでは山西省何れにしても電気も通っていない片田舎の出身ようだ。1963年生まれで本職は発電所のコンピュータ管理をするエンジニアとのこと。内容は紹介し切れないほどボリュームがあり、ことは文化大革命の実相から現代科学の発展を経て、人類の未来に至る洞察に基づいて発想された一大娯楽作品であるのは間違いない。本書は最近早川書店から発売されて評判になっているが、日付が分からないが既に日本でも翻訳本は発売されていたようだ。

それをSF作家であり、数多くの翻訳もこなした経験を持つ大森氏が当初の翻訳本と英語版からの翻訳をしながら完成させたのが本書とのこと。あとがきに詳しく書いてあるので、関係者全員に敬意を表するために出版に関係した全員の名前を下記に紹介して簡単だけれど読後感に代えたい。
立原 透耶 (監修), 大森 望  (翻訳), 光吉 さくら (翻訳), ワン チャイ (翻訳)

2019年8月6日火曜日

永遠の敗戦

真夏の暑さはどうしても8月15日の敗戦の思い出に繋がる。今日は広島に原爆が投下された日、そして9日が長崎と続く。当時は既に5歳で幼稚園に通っていたが、夏休みであったせいだろうか原爆投下のニュースを聞いた記憶がない。記憶にあるのは日付までは覚えていないが、この頃長野市内にも深夜に空襲警報が発せられ、母や祖母たちに連れられ市内北の山裾、しぐれ沢なる所まで避難したことだけ覚えている。

後は終戦の詔勅が発せられた15日の光景だ。晴れた空と座敷で泣き崩れていた母と祖母と叔母。その後暫くは敗戦国民として人並みの苦労は経験してきた。しかし小生も齢既に78、敗戦という言葉さえ意味を知らない年齢の人が多い昨今だ。後から知ることになったが、当時日本は世界平和に著しい損害を与えた国家として、連合国側から厳しい制裁を受けていた。占領軍司令官マッカーサー氏は「日本をアジアの最貧民国に落とす」と明言していたそうだ。これは国民生活の万般に及んでいたが、敗戦後5年目、昭和25年に朝鮮戦争が勃発することで風向きが変わった。

アメリカのご都合主義は今と変わらず、共産主義に対抗するためには占領国日本の協力が欠かせないことになってしまった訳だ。この朝鮮戦争が長引いたことで日本は思いもかけず命拾いをしたような格好になったとは言え、連合国側と真の和解が成立しているかどうかは怪しいものだ。

何故ならば、アメリカのご都合主義のお陰で今や日本はアジアの最貧国ではないが、独立主権国家としての国際的地位や名誉が果たして復活しているのだろうか。大いに疑問を感じる人も少なくあるまい。日本は一時アメリカの経済学者から経済大国と 持ち上げられたことさえある。しかしその時、アメリカ国内には猛烈な反発が生じたと思う。結局1989年を最後に日本はデフレ不況のどん底に突き落とされ、以来貧国への道を辿り続けている。

日銀と現政権は今やデフレで無いから、失われた20年と言い張るがとんでもない。間違いなく30年間デフレは続いている。今年の3月日本経済新聞が発表した「ニッポンの賃金」に依れば1997年を100とした場合、2017年の先進諸国の賃金は、伸びが最低のドイツでさえ155%、英米などは180%、日本だけがマイナスの約90%。国民が政府になめられていることは、トヨタなど国際企業の賃金動向を見れば一目瞭然だ。

トヨタ自動車はアメリカに生産拠点を移し、現地で約13万人を雇用している。アメリカトヨタの労働者の賃金は間違いなく増え続けているのに、日本トヨタの社員の給料は減り続けている。これを問題視する人の少ないのが不思議でならぬ。故に前回の選挙でれいわ維新に清き2票を投じた訳だ。

2019年8月5日月曜日

無責任時代

日韓の貿易トラブルに関して連日マスコミが取り上げているが、国内外で取り上げるべき報道が余程少ないと見える。そんな筈は無いだろう。例えばかんぽ生命の不正取引事件はこのまま「ごめんなさい」で済ましていい事件ではない筈だ。あの小泉・竹中二人組でもたらされた郵政改革とは一体何だったのか。最近テレビカメラの前で形ばかりの謝罪をした三人組の経歴を調べれば一目瞭然、民間銀行から天下ったビジネスマンである。

ここからは経済評論家荻原博子氏の受け売りになるが、本来郵便事業はユニバーサルサービスであり、民間銀行のように機械化が進むからと言って店舗の統廃合何ぞ簡単にできる話ではない。事業が赤字なるのは仕方がない。この赤字を保険と貯金でカバーすべく、トップに据えたのが先の面々。民間企業で尻を叩かれ育って、ノルマ性罪悪については百も承知の筈が、喉元過ぎれば何とやらの譬え通り。

嘗ての公務員にノルマ制で鞭を当てた。大体民営化前から郵便局の不祥事は多かったそうだ。僻地に行けば郵便局員の信用は絶大、そこにノルマ云々の圧力が加わるのだから後は一瀉千里、不祥事が発生しない方が不思議なくらい。今のところ十数万件の事案なんて言っているが、これがどこまで広がるか誰にも見当がつかぬのだろう。それが証拠に3000万件の悉皆調査なんて話も出たりしている。トップが責任を感じていないのは顔を見ての通り。進駐軍だから他人事なのだ。

荻原氏に言わせると、これから投入されることになるであろう税金の額は予想がつかぬとのこと。要するに郵政改革なるものに関して改めて見直す必要があるみたいだ。財務省の一件も二件も三件も誰一人責任を取る人間がいない。これが現在の日本の姿。追及すべきマスコミはすっかり毒饅頭どころか、薬でも一服盛られた感じで、声一つ上げない。今夜あたりは円高株安で、少しバタバタするかもしれぬが、本質的な責任問題に発展することはあるまい。

消費税増税やオリンピック終了を待たずに、我が国の経済がおかしくなりそうなことはボケ老人でも予想できる。何を考えているか分からぬが、韓国イジメで威勢のいいことを言っても、我が国の経済に良いことは一つもあるまい。安倍総理閣下、八方塞で自棄になっているのではと心配しているよ。

2019年8月3日土曜日

暑気払い

昨夜、娘夫婦と暑気払いとしゃれ込んだ。久し振りの和食懐石で料理は美味かったが、最近の酒量は生ビール中ジョッキ1杯と冷酒1合で十分。娘夫婦は未だ47歳、飲酒の量が半端ではない。特に冷酒をグラスで何杯も明けるのを見て「よく飲めるな」と半ば感心して言うと「お父さんも若い頃を思い出してよ」と反論されてしまった。孫も一緒できれば良かったが、彼等はそれなりに忙しいらしい。そんな話を聞きながら盛り上がったから結構な暑気払いだったと思う。

新宿のビル内で冷房の効いた店に4時間以上居続けたのですっかり冷えてしまったが、帰宅すれば元の木阿弥汗だくで、改めてシャワーを浴びて寝床に入ったら既に11時を回っていたお陰でぐっすり眠れた。毎朝トマトを1個食する習慣にしているが、今朝はいつものマヨネーズでなく、塩を振りかけただけにした。これが意外と美味かったので当分はこれにしようと思ったりしている。

暑気払いをしたからとて天気が涼しくなるはずも無いが、寒さに比べれば暑さは凌ぎやすいが、暫くは日中の外出を控えた方が良さそうだと思い、これまで家でパソコンで遊んでいた。屋内の風通しを良くして、裸に近い格好でいれば日中でも1階は何とか凌げる。ただ、パソコンを置いている2階は日当たりが良すぎてエアコン無しには過ごせない。今も窓にカーテンを引いてエアコンを掛けています。間もなく午後4時、今までずっと引きこもり状態だったので早めにブログをアップして、1万歩目標の散歩に出かけ、外で早めの夕食を食べてこようと思っているところです。

2019年8月2日金曜日

仮初の宗主国

既に8月、酷い暑さは当たり前かもしれぬ。1か月前が異常に涼し過ぎただけと思うしかない。異常と言えば、日本よりはるか北に当たるドイツやシベリアの森林火災に比べれば日本は未だ異常とは言えないかもしれぬ。焼失面積が覚えきれないほどの広さで、原状復帰はどんなに努力しても最低100年は要するらしい。SF小説ではないが、地球が得体のしれない魔物に襲われているような気がしてきた。

ここ1、2年毎朝海外ニュースを観続けているせいか、日本は太平洋の端に浮かぶ小さな島国であって、そういった魔物の目にも止まらず、ある意味で幸せだと思っている。同じような条件の国を挙げれば台湾だろう。しかし台湾は香港と同様、中国との関係が微妙で、独立主権国家とは言い難い。国民は否応なしにある種の政治的判断やときには決断を求められる。日本国民には強い政治的プレッシャーは皆無に近い。選挙の投票率が低いのも当然かも。

アメリカの無法な占拠でやや属国に近い扱いに泣かされていることは否定できないが、日本を占領状態においているアメリカ軍は、いざとなれば武力鎮圧も辞さずと言える程強力ではあるまい。自衛隊がもう少しましになれば、逆にアメリカ軍を追い払うことだって不可能ではあるまい。幸か不幸か、戦後70数年日米安保条約の下、日本政府は常にと言っていいほどアメリカに従順であって、香港が本国政府に対するように仮初の宗主国アメリカに楯突いたことは無い。

実に結構なことではあるが、ここに来てアメリカの大統領がトランプ氏になったことで少し複雑な要素が幾つか出現している。一つはアメリカがペルシャ湾で対イラン牽制のため多国籍軍を編成するからと協力の要請、も一つは似たような立場にある韓国との外交がぎくしゃくし始めたこと。前者については今朝の毎日新聞が「自衛艦を派遣せず」と書いたとの話もあるが、果たしてどうなるか。後者は、今夜アメリカが仲裁に入ると報じられてはいるが、諸般の報道からは難しそうな雰囲気。他には核弾頭持ち込みの可能性もある。

共にどうなるか分からないが、今後宗主国モドキのアメリカに対し、日本の主権をどこまで主張できるのか見守りたい。

2019年8月1日木曜日

これが忖度

東京は、昼間の気温では内陸部程には上がらぬようだが、夜は他のどこより気温が高いとのこと。即ち、不夜城の江戸は夜になっても気温が下がらぬらしい。言われて見るとその通りだと思う。昼間余程しっかり汗でもかいておかないと睡眠不足になってしまうとのこと。幸い寝ることだけは得意なので、今のところ睡眠障害の恐れはない。今日も朝から相当に暑かった。冷房の電気代節約の意味もあり、午前中から国会図書館に行ってきた。

読書すべき本は持参したが、ここに来た以上はここでしか読めないものをとの思いで「月刊文藝春秋」1950年8月号を少し読んでみた。朝鮮戦争が始まったばかりで、金日成と李承晩を巡る今後の予想とか面白い読み物が沢山あったが、マスコミ関連で興味深い読み物が巻頭随筆にあったので紹介したい。筆者は池松文雄氏、もちろん知らない人だが当時は毎日新聞社論説委員の肩書で随筆を書いている。

タイトルは「書けなかった特ダネ」昭和16年の秋。近衛内閣が退陣して東条内閣になって暫くしてのこと。いわゆる開戦前夜である。池松氏が地下鉄で銀座から渋谷方面に向かっていた時である。虎ノ門で停車した際、ドアのところに黒い人影があり、ちょっと躊躇した気配を感じて目を上げると背広に大きな風呂敷包みを抱えた紳士が「やあ、暫く」と言って隣に座った。それが山本五十六氏。時の連合艦隊司令長官、供一人付けずに持っているのは明らかに軍服らしい。

池松氏は10年前に海軍省を担当していて、山本氏の自宅には何度も夜討ちした経験がある周知の間柄。山本氏もまさかこんなところで新聞記者に会うとは、一瞬思ったようだ。当時海軍は敵の目を欺くため、東京にわざと水兵を大勢上陸させたりしていた。もちろん山本司令長官の所在は秘中の秘。池松氏としては聞きたいことは山ほどあったが、何も聞かず僅か10分足らず、長官の「身体に気を付けて」が最後で、会ったことは言うなよとも言われず別れてしまった。池松氏も勿論会ったことを誰にも言わなかった。

として山本氏の思い出をいくつか書いている。その一つが山本氏の眼光の話。山本氏のことを「眼光炯々」と評する向きがあるが、私はそう思わない。むしろやや濁った眼で少しうつむき加減にこちらを見ている。他に同じような目つきの人を政治家で一人だけ知っている。とだけ書いている。知らぬ仲ではないので「自宅までお供させてください」と言えなくは無かったが、ひょっとすると家族と最後の夜かもしれぬと黙って別れたのだそうだ。