2020年11月30日月曜日

電気自動車

 我が家の近くにはもうだいぶ前からドイツ製の外車販売店が軒を連ねている。池袋駅に近い方からベンツ、BMW、アウディ、ミニクーパーの4社。何れも車が4~5台は陳列できる豪華なショールームに加え、駐車場や簡単な修理工場を必要とするので結構な広さを占めている。山手線の外側2キロ以内だから設置コストと利便性が見合っていたのだろう。

ところが今年の7月初旬ころだったと思うが、にここからベンツが撤収してしまった。あとに何処が入るか興味を持っていたが、当分は分からなかった。しかし後釜はすぐに決まっていたらしい。今月半ばには改修工事の覆いが外され、「12月4日オープン BMW」の告知が窓に貼られ、先週は展示用の新車4台が運び込まれている。BMWはドイツでは高級車ではないらしいが、ドイツ車好きが多い日本では高級車だ。

展示されている新車の価格表示は未だ置かれていないが、天井がオープンになっているスポーツカーは1千万円近くするかもしれぬ。そのせいかどうか、毎日池袋との往還で見るよそのお宅の駐車場にはドイツ車が鎮座しているケースが多い。ターミナル駅まで直線で2キロ、最寄り駅までは1キロにも満たない上、ご丁寧に循環バス路線まで整っているこの界隈。皆さんよく車をお持ちになるものだ感心するばかりで、実際のところ車に興味は殆ど無い。

ところが今朝の朝日新聞掲載された記事は驚いた。<43万円のEV、中国でテスラ超え 五菱製「人民の足」>と見出しが踊っている。EVは言うまでもなく電気自動車、先日元ホンダの役員だった友人が言っていた。「ホンダにも既にEVはあるが、注文があって半年くらい経たないと納品できない。即ち積極的に売っていく体制にはない。日本は当分ハイブリット(ガソリンと電気の混合)で行くんじゃないかと思う。」

彼に言わせれば、小学生時代から地球の原油埋蔵量が残り40年と言われてきたが、現代では価格の変動にもよるが、埋蔵量は数千年分に変化してきている。更に自動車の排気ガスによる炭酸ガスの量と、電気の生産に掛かる炭酸ガスの量はほぼイーブンで環境の負荷は変わらないはずとのこと。世界の主要国が次々と打ち出すガソリン車規制論が正しいか、我が友人が正しいかはわからないので取り敢えず措く。

朝日の記事の見出しにある通り、1台42万円の中国(上海)製の小型電気自動車が7月に発売されたばかりなのに、9月に2万150台を売って、EV世界最大手の米テスラを抜いたということだ。日本には韓国や中国製の車を販売する皆無に等しいようだが、いつまでそれで済むのだろうか?

2020年11月29日日曜日

納税義務

 大分冬らしくなってきた。寝る直前に風呂に入って寝たら、気持ちよすぎて今朝は起きたのが5時過ぎ、日の出が遅くなっているので珍しく寝坊した。

稼ぎの無い年金暮らしなのでテーマは重すぎるかもしれぬ。しかし税金だけはその僅かな年金からご親切にもきちんと差し引いて下さっているので、云々するについての後ろめたさは無い。たまたま昨夜友人とのリモート井戸端会議で税金が話題になった。トランプ大統領が税金を年に750ドルしか支払っていなかったことは有名だから知っていたが、友人が言うには「日本の政治家は殆ど税金を支払っていない。」そうだ。

アメリカの大統領は毎年納税証明を公表するものらしいが、言われてみると確かに日本の政治家は年収は公表されるようだが、納税額が幾らとは聞いたことが無い。年収が億の単位に上る政治家が払った納税額も併せて公表してくれれば良いのかもしれぬ。政治家以上に優遇されているのが宗教団体とのことで、公明党が自民党にすり寄ったのもそこに理由があったとのこと。

政治も今や職業、即ち稼ぎの一種だから、政治家が金を溜めるも仕方ないかもしれぬ。前首相安倍氏のように金を溜め、別荘を構えて公務員としての国家国民への奉仕をおいて、ゴルフに興じているうちは良かったが、最早失職直前。既に検察の事情聴取も受けているとの見方もある。仮に未だだとしても、心は戦々恐々として休まることはないだろう。祇園精舎の鐘の声じゃないが、盛者必衰を絵に描いたようだ。

金もそうだが、持ち物は少ないほうが身軽でいいし、食い物も美味いものばかり腹いっぱい食うのは健康にも良くない。睡眠は適度な寝坊は許されると思っている。貧乏を嘆いてはいけない。お陰で長生きしてるわけだ。

2020年11月28日土曜日

接待の勘違い

 コロナ騒動が始まった頃「接待を伴う飲食」と聞いて、ビジネスマンの接待を禁止するのかと勘違いした。その後「接待を伴う飲食店」と聞くようになってやっと意味が分かった。なるほど我が国はこの類の店が多い。ひょっとすると日本固有の文化かもしれぬ。日本語の「接待」は四国巡礼のご接待とか、茶席などでも用いられ、客人をもてなすことで好意的に受け止められている。ところが外国ではどうだろう。想像するに女性に対価を支払いながら肉体関係を求めない同種の店があるかは知らないが、多分無いだろう。

和英辞書で「接待」を引いてみたら動詞で「entertain」と書かれている。若い頃は正にその一人だったから書くけれど、外国の友人が居てその話をすれば、大笑いして「うかつに身体にも触ることも出来ない若い女の子が酌をするだけで、目の玉が飛び出るような大金を払うなんて男の気がしれない。」と言われるに違いない。テレビが連日報道する「接待を伴う飲食店」が外国に紹介されるとしたら、日本は風俗(売春)店がすごく多いと錯覚されても仕方ない。

しかし嘘も言えない面が確かにある。この種の店には。従業員の若い子が風俗まがいの営業することを承認か奨励する店も少なくないのが現実だ。これも欧米人から見れば不思議に見えるかもしれない。日本で言うビジネス上の接待は、この種の店を使うこともあるが、その殆どは接待する側が、自ら行きつけの店にいい顔をしたいだけ、殆どなんの役にも立たない。ビジネスで会食するなら、たとえ芸者が入る座敷であっても、ビジナスが終わるまでは芸者を入れないとしたものだ。

2020年11月27日金曜日

手紙とハンコ

 今年も終りが近づいた。いつも年末年始は女房が宿下がりをして実家で正月の準備をしていた。正月3日間我が家の娘一家やら義理の弟の子どもたち一家やらで訪問客が絶えないので、その分の料理を義母に代わって準備するためだ。これは結婚以来岳父存命中からの習わしとなっていた。岳父が亡くなって久しいので、さすがにその関係者は来なくなったようだが、代わりに親類縁者が増えたから3日分の仕込みは相変わらず大変なようだった。あらかたこちらで仕込んで送り出しても大晦日はほとんど寝る間が無かったらしい。

こちらは5日ほど独居となるが、逆にゆっくり休めて有難かった。大体紅白歌合戦なんて下らないテレビの音がしないだけでも大助りと言うわけである。その間1泊程度でお伊勢参りをして土産に赤福を買いこむ。そして正月早々にそれを持って横浜に年賀の参上するのが習慣になっていた。3年前に義母からすれば頼りの娘が先に逝ってしまったので、義母も寂しい正月にならざるを得ない。我が娘どももなんとか母親の分をカバーすべく頑張ってはいるが、所詮はもう他家の嫁、なかなか泊りがけでの応援は為難いし、大晦日や元日の訪問もかなわない。

小生も及ばずながらお伊勢参りを大晦日の日帰りとして、元日から参上することにしていた。ところが今年はコロナの騒ぎである。娘や義弟とも相談の結果、正月の年賀も欠礼させてもらうことになった。なんとも不義理が大きすぎて寝覚めが悪いので、今朝久しぶりに便箋を取り出して詫び状めいたものを書き始めた。ところがである、字が下手くそなのは分かっているが、字が思いだせず間違ってしまうのだ。便箋を2枚破って気がついた。これは下書きをしないからだ。

このブログでさえ毎日エディターで下書きして定時に上げている。だからエディターに下書きして書き直した。多分漢字の間違いはなくなっただろうとホッとした。82円切手も見つかり封筒の裏書きはハンコで済ませた。年内は未だ郵便の土曜配達がされるのだろが、郵政改革とは何だったのだろうななんて思いながらポストに投函。近年字を書く機会が激減していることは世の中が便利になってきている証拠だろう。

話が飛ぶが、昨日は敷地内でのガス漏れを指摘され応急措置で間に合わせていた配管工事が行われ、終日家にいざるを得なかった。3時頃にやっと工事が終了して確認書類への署名捺印を求められた。自分の住所氏名すら書くのが久しぶりだ。前から悪筆は自覚してるが、それにしても嫌になるほど下手くそな字である。将来はハンコすら無くなるらしいが、唯一立派な朱色のシャチハタ印が失われることを思うと寂しさが限りない。

2020年11月26日木曜日

スーパースターへの哀悼

 僅か150年ほど前の我が日本を欧米先進国から見れば、文化果つる夢の島だったに違いない。が実態は西から見ても東から見ても、この島国が文明開化から取り残されていただけのことだ。緯度が異なり温暖であったり、極寒であったりして、もっと文明開化が遅れればまた違ったろうが、幸か不幸か北緯30何度という中途半端な位置であったので、鎖国状態が維持されたが、結局は少し遅れて文明の波をかぶらざるを得なかった。

似たようなものでコロナ禍もおいおい本格化する勢いを見せ始めた。何処まで拡大するか分からぬが西や東の国々に傚うのを何処で止めるかだが、太平の夢は未だ覚めきっていない。火消しを担当する者同士が、さながら燃え盛る炎を前にして旗本火消しと町火消が喧嘩しているのを、楽しんで見ている野次馬ボケ老人だ。江戸時代と比べればお医者さんにしても学者にしても遥かに多いはずだから、難しいことはそちらの方面におまかせして、柔らかい話題について書きたい。

昨日プロ野球の日本一がソフトバンクが4連勝であっさり決まったとのこと。ソフトバンクなる親会社はインチキ臭くて嫌いだし、巨人軍と聞けば時代錯誤を感じるばかりでもっと嫌いかもしれぬ。野球ファンでもないのに言及するのは気が引けるが、どちらのファンにとってもストレートで決まりは感激が少ないのではと心配になる。こんな話を持ち出したのは他でもない、アルゼンチンのサッカー選手マラドーナ氏が昨日60歳で亡くなった報道に接したからだ。60歳の死亡報道はびっくりしないが、びっくりしたのはアルゼンチン全国民が3日間の喪に服すとのこと。

いかにサッカー王国とは言え、一選手の死亡で大統領までが服喪で公務を3日休むというのだからただ事ではない。政治の仕組みを知らないので分からないが、大統領がお飾りということはあるまい。どうもフォークランド戦争でイギリスに負けた翌年のワールドカップで、マラドーナ選手の活躍でイングランド戦に勝利した感激の興奮が国民に根付いているようだ。

何事につけ熱狂するのが苦手なので、プロ野球にしても国技とされる大相撲でも、熱烈なファン心理を理解できないのが正直なところ。だからアルゼンチンの国柄はもう全く理解不能だ。しかし反面で、そこまで国を上げて盛り上がる事象が存在することを羨ましく思ったりもしている。日本政府もオリンピックを開催できれば、世界中が祝福して日本国民に誇らしい感動が湧くことを期待してるのだろうが、それは無理というものだろう。JOCなる物々しい組織が作られているが、そこでは参加国の政府なり体協から選手の選抜を含む参加準備の実態を何処まで情報収集していることやらだ。

2020年11月25日水曜日

甘い国民

昨日読後感を書いた本の解説に「中国人民の政治に対する視線はとても厳しい。」と書かれていた。日本人にはチョット理解しにくいと言うか、分からないことだが、以外に的を射てるのかもしれぬ。中国の共産党幹部が如何に嘘をついて国民を騙しているかは知らないので、取り敢えず措くことにしたい。

翻って日本の政府幹部を思うと。彼らは小学低学年の児童でも言わないような嘘を公の場で吐き散らして平然としている。彼らは嘘の言い訳はしないが、国会ではのらりくらりと質問をかわし、都合のいい時期を見て選挙をして「国民の審判を仰いだ」と言って全てをチャラにして過ごしてきた。要するに日本国民は政治家に舐められているのではなく、我々国民自身が政治家を甘やかしすぎているのだと思う。

今日もまた安倍元首相の嘘が検察からリークされて、マスコミは意気込む風情を見せたり、野党も国会で騒いでいる。これがどのような決着を見るか未だ不明だが、何かとても虚しくなってくる。告発されているのだから司法がきっちり仕事をしさえすればいいではないか。結果が秘書が一人、二人起訴されて忘れた頃判決が出るだろうが、本人の連帯責任に行き着くには相当な日時が掛かるだろう。

問題はそれまでに行われる選挙での国民の意思表明だ。そこをうまく誘導する野党指導者が出ることを期待したいが、あまりにも政権幹部の嘘が多すぎる。他にも甘利明とか下村博文とか一歩間違えば議員辞職では済まないような半グレ議員が大手を奮って跋扈する政権政党。野党側には反転攻撃の絶好のチャンスだと思うが、彼らは国会で声を張り上げるだけでなく、先ず国民の方を向いて、何をすべきかを考えるべきだろう。

少なくとも国会での攻め一本では、結果も今までと同じことになりかねない。ボケ老人には方法論は思いつかないが、これまでとは異なる攻め口を思いついてほしいものだ。

2020年11月24日火曜日

読後感「武漢支援日記」査 瓊芳 (著), 宋 春暁 (翻訳)

 この本でどうしても欠かせない部分は羽根次郎氏が書かれている巻末の「解説」にある。著者も翻訳者も中国人という珍しい顔合わせだから意味不明のまま読み飛ばしてしまったところが多いと思うが、解説で丁寧に説明してもらった。著者は文学者ではなく上海の名門大学の付属病院に勤務する呼吸器科の女医さん。特に有名人でもないので何歳かも分からない。ただ本文中に高校生の娘さんがいることが書かれているので、医師になったばかりということはないだろう。

内容は書名にある通り「日記」そのものである。それも古いことではなく、今年の1月25日から3月31日までのたった67日間のことである。日記にしては1日も欠かさず丁寧に書き込まれたものだ、と感心しながら読み進んだが、解説を読んで納得した。中国社会ではウイーチャット(WeChat)と言う日本の(LINE)に似たメッセージのやり取りをするアプリがあり、これが大きな役割を果たしている。

著者は上海の家族や同僚を安心させるため毎日、現地で書き記したものや録音したものをウイーチャットで上海の病院の広報部に送り、その整理原稿が同病院の公式アカウントで公開されていた。それを日記の形で纏めて出版されたのである。これが国内で大きな反響を呼び、既に日本以外に英語版も出版済みで9ヶ国語の翻訳契約が成立している。日本の(LINE)にも多分同様な機能があるのだろうが、いじめだとか下らない利用ばかりが話題になりがちな日本と異なり、社会的な利用度に大きな違いがあるようだ。

話が前後してしまったが、現地で1月23日といえば旧暦の大晦日、明日の春節(正月)の準備で大忙しの時に病院から武漢に支援に行く準備をするようにとの命令を受け、元日に出発して正月2日には武漢に到着。それから3月31日武漢で患者をみながらコロナと格闘したことになる。武漢で新型コロナが確認されたのは12月末とされている。著者が武漢に入った時期はコロナ患者が急増して、湖北省という地方政府の手に負えなくなり、管轄が中央に引き上げられ、即座に都市封鎖された直後のこと。

狭い日本が未だにやれ自治体がどうした政府がどうだと毎日繰り返してることを思うと、まさに電光石火、神業のようだが著者の勤務先病院院長の序文によれば、全国から武漢に派遣された医療関係者は42600人とされている。中国の医療事情については、文化革命当時精神科医の給料と床屋の給料が同じと悪口を聞いた記憶がある。しかし現在は全く違うようだ。科学の発達程度も驚異的なんだろうが、医療関係者は勿論だがそれを支持する国民の意識も高いことが伺える。

何よりも、困難に立向う国民の協同協力意識か、共産党の組織力か分からぬが、武漢に集中的に投下された人的物質的資源の集中度と豊富さ、行政の縦割りを全く感じさせない軍民一体の協力体制は驚くばかり。日本であればこの予算は何処から来たかなんてことばかりが気になるのだろうが、そんなことは一切書かれていない。中国共産党の宣伝だとしても興味深い。

2020年11月23日月曜日

寸暇

 サンデー毎日、即ち365連休なので3連休なんか全く関係ない。昔は多分違っただろうが、連休は只管身体を休めることに専念して、出かけるにしても映画館くらいが精々だった筈だ。実態は知らないので間違っているかもしれぬが、欧米人は休日をホリデーとして短く捉えず、バケーションとしてやや長めに考える傾向が強いのでは、と思ったりしている。どちらが良いとか合理的と言った理屈の問題ではない。

寸暇を惜しんで花見をしたり、紅葉狩りをするのは日本人特有の生活習慣のように思えてきた。こう言った行為で培われる日本人固有の感性は欧米人には無いだろう。これに付きものが「花より団子」で、家族と或いは親しい友人達と楽しい1日過ごすことになる。今年はコロナ禍の影響で紅葉狩りの楽しさも半減だろうが、それでも観光地は賑わいが若干戻ったことは観光で生計を立っている人にはご同慶の至りだ。

これは菅首相肝いり事業のお陰と喜んだまでは良いが、明日からは却って先が見えなくなって、年末店じまいや倒産が増えることになるだろう。日本で最初に感染者が発見されたのは今年の1月24日とされている。武漢から帰国したビジネスマンだったが、それ以前の1月18日、隅田川の屋形船での宴会で既にクラスターが発生していたことが後に判明する。

細い話は別として、既に11月末だから、コロナ感染者が見つかってから10ヶ月の月日が過ぎた。政府としてはコロナ対策担当大臣まで設置して対策にあたっているつもりだろうが、現実を見る限りなんの効果も上がっていない。常識的に考えれば、緊急対策で置かれた人材が10ヶ月もの間無策であったのだから交代をさせるべきだろう。それをしないで無策大臣からの言い訳を延々聞かされる国民はいい面の皮だ。

中国武漢では昨年末にコロナ発生が確認されているので既に11ヶ月経ったことになるが、中国ではとっくにこの疫病の抑え込みに半ば成功して経済活動を活発化させている。当然ながらGDPの伸びは世界最速だろう。日本政府には中国政府や中国人を尊敬する人は少ないようでもあり、共産党の支配体制を非民主的で、言わば悪いこととして国民に印象づけるのに一所懸命だ。しかし、対コロナ対策についてだけでも見習ったらどうかと思ったりしている。

果たして政府が自慢の対策、Go Toが4ヶ月(東京は50日余り)あったことが本当に良かったのかどうか、判断は歴史に委ねざるを得ない。

2020年11月22日日曜日

蒲柳の質

 小学校に入学した時、担任の先生がクラス全員の児童に真っ先にしたテストと言うか調査がいろは48文字を幾つ知っているかだった。このテストで全部読めた子が沢山いたが、半分くらいしか読めなかったことを懐かしく思い出している。言わばスタート地点で少し知恵遅れの気味があったものの、その後の長い人生ではなんの障害にもなっていない。

スタートの遅れは気にすることはないが、終盤に至った今日、余りにも分からないことが多くて戸惑うばかりだ。今ではひらがな・カタカナは勿論アルファベットや簡単な英単語もだいぶ知っている。お陰でテレビを観たりや新聞の掲載記事を読んだりして、世の中の動向はおおよそ知ったつもりでいるが、これが実にいい加減、知ったつもりでいても、よくよく考えると何も分かっていないことが多すぎる。

「あまり気にするな」自分に言い聞かせるが、毎日聞かされる「コロナ禍」関連はまかり間違えば己の健康に直結しかねない。なんとか理解したいと思うが百家争鳴の感があるので、あちこちの意見を聞いてますます頭が混乱してしまう。結局は一番無難な自己防衛にならざるを得ない。外出を極力控え、公共交通機関の利用も控えているが、横浜で独居を続けている義理の母への挨拶だけはせずばなるまい、と悩んでいるところだ。

コロナ禍関連で毎日のように聞きながら意味が分からず引っかかっているキーワードが2件ある。1が「PCR検査」2が「ワクチン」。あれこれ考えているうちに思いついたのが昔のこと。これが「ツベルクリン検査」と「BCG接種」これって少し似ているなぁ、なんて思い始めた。ご同輩の諸氏は思い出されたことだろう。小学校に入学したのが1947年、終戦から2年足らずの時のことだ。

少し前まで父が未だ復員してこなかったので、母の実家で祖母と伯父家族に同居させてもらっていた。伯父は肺結核で自宅療養中だったので、肺結核という疫病については少し理解は出来ていた。学校では毎年1度の割合で全児童にツベルクリン接種が実施されて、毎年陽性反応だったことを記憶している。従ってBCG接種は受けた記憶がない。BCGがワクチンかどうか未だに知らぬが、ツルクリン反応陰性の児童は全員注射され、左腕にその注射跡が生々しい友人が多かった。

最近若いタレントが腕を露出しても、注射跡が見られないのを不思議に思っている。中学に進学して1年目にレントゲン検査で異常が見つかり肺浸潤と診断されて1年間体操の時間は見学、夏休み登山は不参加と決められ辛い思いもした。命じられたのはそれだけで、特に薬を服用した記憶はない。しかし考えてみれば、当時の政府は学童の健康を守ることに懸命だったことが思い出される。そのお陰で子供の頃から蒲柳の質と言われながら、今日があるのだろう。

2020年11月21日土曜日

エビデンス

 30年くらい昔、パソコンも未だ普及し始めていない頃のことだ。いかにもインテリと言った風情の女性が多い会社に再就職した時を思い出している。ある時こちらがなにか頼み事でもした時かもしれぬ、彼女から「エビデンスがあるのですか?」逆質問されて意味が分からずしどろもどろになって退散した恥ずかしい思い出がある。しかし今になると「エビデンス」は大流行。どうも「証拠とか根拠」という意味らしい。

一昨日なるが、お馴染みBS・TBS「報道1930」がこの言葉に絡んで興味深かった。少し詳しく説明したい。先ずタイトル<新型コロナ 止まらぬ再拡大 GoToキャンペーンは継続すべきか>出演ゲスト:柴山昌彦(自民党幹事長代理)と倉持 仁(インターパーク倉持呼吸器内科院長)他に立憲民主党の岡本充功氏(医師でもある)と北海道医師会長の長瀬清氏がいたが、今回は省略する。

司会者は当然の手順として先ず柴山氏にコメントを求めた。氏はとくとくとして現在進めている政府の対策を述べる。中にPCR検査件数を現在の3万件から近々に50万件に引き上げる方針もあった。これに対して異を唱えたのが倉持氏、氏のクリニックは栃木県内の何処かだと思う。氏はテレビには連日出演していて、予てから医療品不足の実態を訴え続けている。この番組以前に印象に残っていたが、春先に注文した医療用マスクが未だに届かないことや使い捨てグローブの価格がこのところ5倍近くまで急騰していることがあった。

倉持氏が開口一番口にした言葉が「政府は感染拡大を容認しているので・・・今日の事態が招来されてしまった。」柴山氏が途端になにか言ったが司会者が倉持氏の発言終了後に柴山氏を再指名した。氏はまさに色をなして「政府が確認容認とは何事ぞ・・・」と発言の修正を求めるも倉持氏は応じない。「検査数を50万件に拡大なんて言ってくれるな。2万件にだって宣言から幾日経って届いてのか。どうやって50万件まで引き上げるのか、具体論を聞きたい。」

こうなると、両氏の話は噛み合わないが柴山氏が持ち出したのが「エビデンス」。「Go Toが感染拡大を齎したエビデンスがあれば我々も対応を考える。」との趣旨。倉持氏曰く「そんなにエビデンスが欲しいならGo To参加者から千人のサンプリングでもいいから集団PCR検査調査を実施して科学的に調べるべたらどうだ。」このやり取りを視聴者がどう受け止めたかは分からないが、政府が頼りにする専門家集団(分科会)が昨日やっと方向転換を口にした。

受けて、今日夕方には政府も泥縄の方針転換を打ち出すようだ。1週間、1ヶ月先のことは想像できないが、来年の夏の状況を早くから想像できる政府高官は嘗てのインテリ風情の女史と重なってしまう。

2020年11月20日金曜日

攻守の問題

 たとえ相手が碁敵だろうとウイルスであろうと、敵国であろうと、戦いは攻めと守りが必要であるのは言うまでもない。ところが日本は先の大戦以降、国連から敵国とされているが、もちろん日本が国連を敵視はしていない。むしろ積極的に国連に協力して世界平和に貢献しているいる。従って我が国には敵国は存在しない筈だ。

しかし国内論議となると、安全保障ということがやかましいのは何故だろう?日本の領土と思っている幾つかの島がロシアや韓国に実効支配されていることもあり、尖閣諸島では中国と実効支配をめぐって小競り合いが続いている。これは先の大戦の置き土産のようなものだから、嘗て鄧小平氏が言ったように100年くらい先の民族の知恵を待つしか無いのではと思うが、歴代の政権はやけにこの小島の問題にこだわっている。

だからと言って隣接する韓国やロシアや中国を敵視し、小島の奪還をすべく何か戦略があるかと思いたいが、戦略的発想は聞いたことがない。まあ、時々話し合うふりをしながら放っておくしかないだろう。しかしマスコミは、こと尖閣については何故か神経質で、日本の主権を国内的に大騒ぎで煽っている。アメリカの大統領が代わる度に、尖閣で事が起こればアメリカが応援に駆けつけることを保証してもらうのが、一種の儀式になっているほどだ。

中国の国内では尖閣が中国の領土とされていることは厳然たる事実でもある。そして、実効支配に向けた準備を徐々に進めている風情は感じるのも事実かもしれぬ。互いの主張が食い違っていることは双方が承知しているのだから、時折互いに第三者を交えず主張し合う話し合いをすべきなのだ。それが独立国の外交だろう。「いざという時にはアメリカという強い味方が駆けつけるぜ。」なんて肩を怒らせても相手は痛くも痒くないだろう。みっともないだけだ。

せめて中国の出してきている中国海警局の装備に負けない船を海上保安庁に装備させて、365日対峙するのが当面すべきことだと思う。攻める前に守りを固めるのが勝負の鉄則だ。日本に国防族という政治家集団があるのかどうかも定かでないが、国防に関する戦略は国家にとって最重要課題であるのも間違いはない。専守防衛の基本に沿う時、国防族は今何をすべきと考えているのだろう?どうして解せないことがある。インド太平洋平和維持のための日米豪印四ヵ国同盟である。

中国の太平洋進出を阻止するためとされているが、既に行われたらしい合同訓練の映像を見ているとどう見ても攻撃型の訓練だ。予算委員会では何故このようなことが取り上げられないのか?これが日本防衛のために必要とはどう考えても思えない。尖閣で領海線を強化するなら分かるが、インド洋の果で他国のために戦争に巻き込まれる必要は全く無いはずだ。なすべきことがピント外れに見えて仕方ない。

2020年11月19日木曜日

最後が気になる

 放送局まで覚えていないが、今朝観たテレビで中国の認知症介護施設の実態を垣間見た。中国は人口が多いだけに認知症患者も多く、現在推定約1千万人、近い将来に4000万人と予想されているとのこと。ある看護師の女性が日本に留学して、日本の介護施設の実態を知った。この女性が帰国後広州市だったかにオープンしている介護施設のルポが主な報道内容だった。中国政府も介護施設不足の実態を認識しはじめ、様々な手段を打ち始めているようではある。

短い報道だったので詳しいことは分からない。ただ日本との違いを感じたのは、取材先の施設のこと。当然ここでも介護師の不足は深刻、介護師には必要な細かいスキルが様々あって、この習得が大変らしい。そこでこの介護所が行っているのが資格の無い未経験者を積極的に採用して所内で教育訓練を行い、1年ぐらいで資格を取らせていることのようだ。教育費とアルバイト料との関係がよく分からなかったが、それこそウインウインの関係にも見える。しかしこう言った行為は、日本のように業界ごとの細かい規則に拘る国では難しいかもしれぬ。

そんなことより問題は自分自身の認知症問題だ。ある意味ではコロナより深刻で身近な問題かもしれぬ。認知症即ちボケを感じる出来事は殆ど毎日のように起きるが、それが如何に深刻かは自覚できない。独り身の悲哀とも言える。認知症を少し調べようとネットで検索すると、先ず典型的な病名はアルツハイマーで、たしかにこれはよく聞くが、他にも沢山あって引用しきれない。先に中国の患者数1000万人と書いたが、日本も既に5~600万人はいるらしい。近い将来高齢者の5人に1人はそうなる筈との記述もある。

人生100年時代なんてよく言うよ!高齢者とは65歳以上の人のことだ。齢既に80、幼馴染との会話でも、同じ話を何度も聞いたりすることは珍しくもない。勿論こちらも同様だろう。しかしお互いに「お前少しボケてきたな。」なんてことは言わない。隣のお婆さんはお花とお茶の師匠を示す看板が掛かっていた。夕方の散歩を日課にしていて、出会って挨拶を交わすと大変しっかりしてボケているように見えなかった。

でも、昨年だいぶ久しく見なくなったので若奥さんに聞いたら「施設で楽しく暮らしています。」と言われて複雑な思いがしたものだ。ボケ始めても周りで見てる人がいれば気づいてくれるのだろう。父にしても母にしても長兄にしても同じことが言える。また長ずるにつれてのボケは本人には幸せだろう。出来るならば父のように、自宅で若い女性の介護師に身体を拭いてもらっている時ふと旅立つ、なんてできれば最高かもしれない。家内は認知症とは無縁だったが、年末に出先のクリーニング店で突然倒れ、誰にも何も言わず逝った。

今朝観たテレビ番組も正確に思い出せないが、昔のことが毎日のように頭をよぎる。

2020年11月18日水曜日

家の面倒

 東京は既に10日間、雨が降っていないとのこと。年寄りには何よりの小春日和続きだ。何も考えずボーと過ごしているが、リフォーム会社の営業マンは何処の会社であれ忙しいらしい。妻を亡くして暫く後、身辺整理を兼ねて家の中を少し手直ししたが、外回りには手が回らなかった。築60年を超す木造の小さなボロ屋だから内も外も直すとなると、リフォームではなく建て替えになる。

今月に入ってから既に3人の営業マンが訪問してくれた。表を通り過ぎるだけで、この家がリフォーム会社から見て文句なしの好条件を備えていることは、営業マンのご指摘を待たずとも十二分に理解できている。3社が同じように指摘をしたのは玄関の庇が裏側、雨が染みて中から腐り始めていますよ。との趣旨。最初の営業マンの時、チョット外で一緒に確認を、と言われて外からも確認した。毎日出入りする玄関の庇なんぞ見上げたことがなかったので、なるほどこれは相当やられていると理解できた。

しかし、依頼すれば相当な物入りを覚悟しなければならないので、その場はお引取り願った。すると今週に入って別会社の営業が2日続けての訪問だ。何れも趣旨は同じなので玄関先で、留守番故に話は聞けないとお引取り願った。しかし考えると、今月は天気が続くらしいから更なる営業攻勢があるかもしれぬ。考えただけでも気が思いが、仕方なく同じ町内でよろず引受人をしてくれている畳屋さんに来てもらい相談に乗ってもらった。

畳屋さんは約3年前のリフォーム以来何かと相談に乗ってもらっているので、こちらの事情はよくご存知の仲。一通り外側を見てもらったところ、玄関先の庇は足場を組む必要があるので少し大変とのこと。「一度ペンキ屋を連れて下見をさせますが、塗り直すとなると切りがないので、最小のところで抑えて見積もりを出しましょう。」となった。営業が動き回っているということは存外職人の手が空いていれば良いのだが、果たしてどうなることやら。

「年を超すと雪が降ったりして大変では?」と聞くと、「雪が降っても構いませんし、正月のほうが職人が暇かもしれません。」とのこと。来週26日にはガスの配管工事がある。これは夏に前の道路を掘り返してガス管工事が行われた時に発見された、敷地内でのガス漏れ。応急措置がされていたがいよいよ交換だそうだ。大分前に見積もりが届いて30万円弱である。今朝畳屋さんが言っていた。「アパート住まいであれば、毎月管理費が発生しますが、こう言った面倒臭さはありません。持ち家はそれなりに面倒なものです。」

亡き妻がいつも言っていた。「独り身になったら、コンビニが入っているアパートの2階に移り住むに限る。」自分のことかこちらを思ってか分からない。全くその通りだが決断がつかない。

2020年11月17日火曜日

世界と日本

 今朝観たワールドニュースでドイツの放送局が、IOCバッハ会長の日本訪問について報じていた。バッハ氏はオリンピック・マフィアのトップだからスイスのローザンヌ辺りに居住してるかも知らぬがドイツ人だ。日本を訪問した理由は来年のオリンピック開催に向けた準備状況の視察と、あまり報道されていないが安倍前首相に勲章授与のためらしい。IOCが発行する勲章にどんな意味があるか知らぬし、これを受賞した日本人が過去何人いるかも知らぬ。

バッハ氏は日本関係者の来年開催に向けての努力を大いに多として、応援するので頑張ってください的な発言はしているが、日本政府のコロナに打ち勝つ保証が何処にあるかは発見できなかったようだ。ドイツの放送局がこの報道の締めくくりに発した言葉がバッハ氏の言動に「違和感を感じる」である。当たり前といえばそれまでだが、それにしてもこの期に及んで「人類がコロナに打ち克った証として、更には東北大震災からの復興を示すためにも・・・」を聞くと日本人でも鼻白む思いの人が少なくあるまい。

数日前に観たテレビでも昔のオリンピック選手が「万全の準備ができて初めて挑戦する意味がある。」言っていたが、どの国のアスリートにしても同じだろう。同期の友人は結局は開催できないだろうと言うし、個人的にはお祭りだから開催にケチを付けるつもりもないが、税金の投入に思いが至ることもたまにはある。やりたきゃやるが良いが、パンデミック宣言が解除されないだけでなく、ヨーロッパではドイツですら第二波の警戒が高まっている最中だ。

ドイツでは大きな国際スポーツ大会が幾つも中止になっていると聞く。何処に住んでるか分からない同国人のバッハ氏が、能天気国日本に行って取った行動にドイツのアスリートと国民がどのように思っただろうか?友人に言わせると「ロシアは既に国として不参加が決まっているし、アメリカが選手派遣を見送れば欧州も追随して不思議は無い。中国と韓半島、そして日本等の東アジア諸国の選手で競技会を開き、ネットで配信するオリンピックにでもしたらどうか。」

デジタル省もできることだし、丁度良いかもしれぬ。

2020年11月16日月曜日

総理番記者

 今朝の朝日新聞ニュースレターで興味深い記事が送られてきた。菅首相の働きぶりについてだ。首相は今日で就任2ヶ月を迎えるが、首相動静を分析すると就任直後から閣僚などの政治家だけでなく、有識者や企業経営者らと矢継ぎ早に面会を重ね、公表されているだけでも個人的な面会数が歴代首相の中で群を抜いているらしい。トランプ大統領のように個人的関係を大事にしようとする姿勢が読み取れる。実数で言うと就任1ヶ月で650回を超えている。

特に際立つのが、全体の約2割を占める民間人や報道関係者との面会だ。計110回超で第2次安倍政権の倍近く、いずれも2000年以降の首相9人の中で最も多い数字となっている。この記事には現在と20年前の総理番記者に対する質問と応答の音声記録が付いていて、更に面白い内容が披瀝されている。菅氏は就任して間もなく、番記者との懇談会(食事会で朝日新聞は出席しなかった)を設営したことが明らかになっているが、この席で菅氏は番記者全員と名刺交換をしたとのこと。

橋本氏と小渕氏のの番記者を努めた古参番記者が言うには、そんな事をした首相はこれまでいないはずとのこと。人間関係を大事にするのは悪いことではないかもしれぬが、一方で「貴方の事は覚えておくからね。」は巷間言われるように、菅氏の公安警察体質を露呈していると取られる可能性も否定できないだろう。他にも番記者に依るぶら下がり会見に関する実態が披露されている。これも事前に質問を提示する約束になっていて、しかも回答は1問だけについてとお約束が出来ているとのこと。

安部首相はそれでも回答を自分の言葉で喋ったが、菅氏は官僚が書いた原稿を読むだけに変えてしまっている。そう言えば最近の映像では記者からの距離が大分遠のいている。それでなくても回答に関する再質問はしない、あっても答えないのがとのお約束。関連して同じ問題を取り上げた小さな記事が今月発売の「月刊文藝春秋」12月号にも掲載されている。巻末にある「旬選ジャーナル」他誌からの引用となるので出典は「論座」10月15日号の掲載記事とのこと。

五百旗頭幸男氏(ドキュメンタリー映画監督)が書いた記事らしい。タイトルが「劇団記者クラブに潜入 官邸記者クラブの常識は地方の非常識」少し前に福島県南相馬の地方局員だった朝日新聞記者三浦英之について書いている。内容的には内閣記者会の閉鎖性を「劇団記者クラブ」と揶揄する内容。中で「質問とは本来、頭の中で想定はしていても取材相手の表情や周囲の雰囲気、相手の出方などによって変化する。相手と周囲を観察した上で繰り出すものだ。」とあるが全く同感だ。

とするとテレビは、毎日本当につまらない素人芝居を報じていることに他ならない。

2020年11月15日日曜日

読後感 現代語訳「論語と算盤」

渋沢栄一(口述)守屋 淳 (翻訳)

 偉人伝を読むのは嫌いではないが、明治維新後に活躍した偉人で少し知っていると言えるのは、福沢諭吉先生くらいと言っても差し支えない。西郷隆盛とか東郷平八郎や乃木希典のような人たちは、丁髷に二本差しの武士として刷り込まれているので、どうも現代との関連性で薄い印象を禁じえない。従って渋沢栄一に関しても、明治初期に日本近代化に貢献した金融マン程度の認識でしかなかった。

今回<現代語訳>のタイトルに惹かれて読んでみて、「近代日本設計者の一人」としての活躍と人となりについて随分と認識を新たにした。渋沢栄一は現在で言えば埼玉県深谷市の豪農に生まれて幼い頃から学問を良くしているので、著書が多くても不思議は無いが著書は意外に少ない。代わりにこのような口述本は多数出版されている。その中でも「論語と算盤」はかなり有名らしく、これをちくま新書が現代語訳として出版したのは2010年。購入した20年11月には既に44版になっているから相当なベストセラーと言える。

新書判だからボリュームは大したことは無いが、内容的には非常に読み応えがある。渋沢は、自分の人生を次のように語っている。「はじめに卵だったカイコが、あたかも脱皮と活動休止期4度も繰り返し、それから繭になって蛾になり、再び卵を産み落とすようなありさまで、24,5年間に、ちょうど4回ばかり変化しています。」彼は豪農の息子ながら書を学び、剣を修行して武士を志して、京都で勤王の志士として活動し始める。

しかし後に幕府側徳川慶喜の水戸家に鞍替えをし、維新末期に将軍慶喜の弟・徳川昭武に随行してフランス政府の招待で渡欧、途中で日本は天下がひっくり返ってしまうが、帰国した時は新政権が誕生していた。そして新政権からの誘いで大蔵官僚に就任するが、数年にして官僚職だけでは日本の近代化が難しかろうと、民間に転じて官僚時代に設立を指導していた第一国立銀行(後の第一銀行、現在のみずほ銀行)頭取に就任し、以後は実業界に身を置く。そして多種多様な企業の設立に関わり、その数は500以上といわれている。

「天は自ら助くる者を助く」とはよく聞くが、典型のような人物だ。しかし感心したのは渋沢は宗教的な意味で「天」を考えていなかったこと。論語の作者の孔子と釈迦とかイエスの違いは奇跡を起こしたとされるか否かにありと断じている。その意味で彼は非常に合理的でもあったのだろう。しかしなまじな宗教者以上に道徳を尊重していた。道徳の基本は「思いやり」にあるらしい。大変迷信深い自分としては、そろそろ来年版高島易断の暦でも買おうかと思っていたが、本書を読んで買わないことにした。

渋沢は偉業を成し遂げ92歳の長寿で往ったそうたが、残した子供は30人以上、最後の子は彼が80歳を超えてからできたそうだが、これもとても真似の出来ない偉業と言える。

2020年11月14日土曜日

日中韓米

 長かったアメリカの大統領選挙もやっと落ち着き始めた。それでも正式な政権交代は来年1月20日だから相当な日数が必要。当事者も大変だろうが、年中アメリカの顔色を伺わなければならない日本政府も忙しいことだろう。そこで思うのがアメリカ新政府の対中政策に変化が起きるかどうか大いに気になる。当然急に仲良くなることはないだろうが、経済力において中国がアメリカを急速に追い上げている実態を新しい担当者がどう見るかだ。

トランプ氏はこれを阻止するべく関税戦争を仕掛けたりしたが、結局はアメリカ産業や農業にも反動が出てあまり成功したとは言い難く、結局は大統領選でも悪い影響が出たかもしれない。何よりも、新型コロナの発生源だった中国が、一応制圧に成功したのに比べ、アメリカが対策をうまく機能させず、最大の被害国になってしまったことが明暗を分けたように見える。

バイデン新政権は中国を意識しないことはないだろうが、何よりコロナ対策を優先するだろう。その間と言いうか既にと言うべきか、中国は香港を完全に掌握することに成功したようにも見える。反中國で大騒ぎしていた住民の多くも、やがては中央の権力主義も民主主義も大した違いがないことに気がつく日が来ることだろうし、納得しかねてカナダやシンガポールやオーストラリアに移住することになる人達も移住先で特に暮らしやすさを感じるかどうかは分からない。

日本人の間でも反中とか反韓感情が異常なくらい強い。反韓感情については多少分かるような気もする。嘗て日本が植民地化していたことから半島人を見下す気持ちが強いこと、当然裏返せば先方からの反発は強くなる。韓国人には戦勝国との意識もあるだろうが、日本人には負けたと言う意識は皆無である。日本が半島に残してきた資本のせいかどうかは兎も角、今や韓国は経済的にも日本に迫りつつある。更に軍事的に見た場合、韓国は日本人が平和を貪っている間に朝鮮戦争とベトナム戦争と2度も実戦を経験している。

日本の自衛隊と韓国軍の実力差は、竹島の実効支配を取り戻せないことに象徴されると見て差し支えあるまい。分からないのが反中感情だ。なんで中国をこれほどまでに敵視するのだろう?確かに先の大戦の原因が日中戦争にあったのは事実だ。結局日本は大敗したが、勝った蒋介石は徳を以て敗戦国日本と向き合ってくれたし、その後の内戦で蒋介石を打ち負かした共産党政権も日本に大きな賠償は求めなかった。

精々「尖閣諸島領有権は100年ぐらい棚上げにしましょう」と提案した程度のことだ。昨日読んだ本に「和魂漢才」と言う言葉があって初めて知った。てっきり「和魂洋才」だと思っていたからだ。何百年も前から日本は中国を見習ってきたことに改めて思いをした次第。

2020年11月13日金曜日

「能天気」二題

 選挙での負けを認めないアメリカのトランプ大統領、「困ったものだ」では済まない人もいるだろうが、ほくそ笑むのが反米のテロリスト。これへの対策を立てようにもバイデン氏に対する毎日の機密情報ブリーフィングが実施できないでいるのがワシントンの実情。その上トランプ大統領はバイデン氏が就任後に、とっても困るような事態を惹き起こすべく準備をしているとも言われている。その典型が国防省高官の首を一気に切り、何やらきな臭さを感じさせる人間に交代させているとのこと。

諸説あるが、アフガンやイラクや韓国から米国部隊を撤収させるなんてことは程度のいい方で、南シナ海とか台湾海峡かペルシャ湾か知らぬが、何処かで戦争を仕掛けるなんて物騒なことまで言う人もいる。なんと言われようと核のボタンは1月20日までトランプ氏の手に置かれるのが厳然たる事実。しかし、司令官を代えて戦争を仕掛けようにも、中国やロシアのような大国は少々のことでは反撃なんかしないと言われている。やはり怖いのはテロリスト、得体が知れない、訳が分からないと言う意味ではトランプ大統領と同じだからだ。

本邦唯一のクオリティーペーパー「日刊ゲンダイ」は来年オリンピックが開催されれば、テロリストの絶好の的になりかねないと書いている。考えてみれば、世界の殆どの国が鎖国状態をしき、国内移動も厳しく制限している中で、コロナをある程度抑え込んでいる中国を別にすれば、日本だけが能天気に世界に門戸を開放する方向に向かい、国内にあっては移動を奨励しているのだから、テロの準備には絶好のチャンスであるやもしれぬ。

閑話休題:このところころコロナ陽性者が急増している。今日の発表では今朝までに全国で1600人を超す勢いらしい。つい2週間前の10月末では確か500人前後で推移していたと思うので容易ならざる事態だが、政府や自治体の首長さんたちはのんびりしたもので、相も変わらず国民に向かって手を洗えだとか、マスクをしろだとかの説教を垂れるのみだ。政府へのアドバイスをする専門家集団のトップ尾身茂氏に至ると「緊急事態宣言なんて出したくないでしょう。」?なんて訳のわからないことを仰っている。

能天気なんてものじゃない。脳みそが腐っているんじゃないかだ。認知症になりかかっている小生だって今月に入って急増し始めた陽性者が来週で止まるなんてとても思えない。人出が増え始めているのは誰の目にも明らか。陽性者が幅広い年代に亘っているのは家庭内感染が増えていて、これは誰にも防ぎようがない、との専門家の意見はよく理解できる。

政府は人の動きを止める方向に動かないばかりか、GoTo何とかで人の移動にアクセルを踏み続けながら様子を見るのだそうだ。

2020年11月12日木曜日

アメリカの民主主義

 子供の頃から人間社会で重要なことは「民主主義」で手本はアメリカにあり。と教わってきたので、そんなものかと深く考えてみたこともなかった。しかし今回のアメリカ大統領選で、民主主義の根幹とされる選挙がうまく機能しない実態が露呈している。大統領選の仕組みについては未だ十分理解できていると言い難いが、新たに分かったことが幾つかある。

一つは投票権のこと。一定以上の年齢に達した普通の市民には公平に選挙権が付与されるようだが、どうも申告する必要があるようだ。区役所から自動的に投票用紙が送られてくる日本の方が余程民主的だ。続いては予備選挙と言われる政党ごとの選挙があること。被選挙人は相当数出馬するが、ここで各政党で大統領と副大統領のセット一組に絞られる。

そこから再度投票が行われるが、これが今最終集計段階に入った11月3日の投票らしい。郵便投票については省略するが、ここで選ばれるのが政党ごとの選挙人で、投票数で勝った政党が選挙人を総取りする。このことは大体理解できたつもりでいたが、先週アメリカ在住が長かった友人が教えてくれたのは「選挙人の選び方が全くブラックボックス」だそうだ。

そして各州に割り当てられているこの選挙人であるが、この数がまた民主主義の原則から程遠く、州によって1票の格差が5倍近くにもなるらしい。日本だったらそれこそ裁判沙汰の大騒ぎで、区割り州ごとだからの変更が難しい。では、選挙人の数を変更となれば、都市部を制する政党が永遠に勝ち続けるなんて不都合が出かねない。だから選挙人の数は200年くらい前に憲法で決めたままになっているとのこと。

日本の憲法が70年以上も前のまま使われていることをアメリカ人は不思議がると言うが、「で、そちらはどうなの?」と聞いてみたくもなる。選挙運動の有り様も、なにかやりたい放題に見える。運動期間や時間は言うに及ばず、戸別訪問に選挙妨害。一番驚いたのが金の掛け方、使い方。買収も有りかどうか分からぬが、テレビで相手の誹謗中傷ネガティブキャンペーンなんてのが公然化しているようだ。仮に公職選挙法的な法律があるにしても、日本のそれとは比較にならない程ゆるいのかもしれぬ。

金曜資本をバックにつけている民主党バイデン陣営が今回の選挙でテレビコマーシャルに投じた金額が1000億円以上と聞く。陣営と言っても使っているのはバイデン氏の一組だけだ。日本の広告会社も仕事を貰いに行きたいだろうが、電通や博報堂でもそこまで手は回らないようだ。

2020年11月11日水曜日

日本人のけじめ

 立冬を過ぎてだいぶ経つが東京は小春日和が続いて気持ちが良い。しかし昨日くらいから朝晩の冷え込みはやはり冬らしくなってきている。季節はそれこそ淡々と進んでいる。今日はこの「小春日和」という言葉が俳句の世界で「小六月(ころくがつ)」とも言うということを初めて知った。いくら歳をとっても知らないことは多いものだ。

マスコミは今月3日に行われたアメリカ大統領選挙の話題をずっとトップニュースとして取り上げ続けている。お陰でアメリカについてこれまで知らなかったことを色々知ることが出来た。「知ったからと言ってもそれがどうした?」程度のことだし、これまで非常識な政治家として見ていたトランプ大統領の人気が、当選確実となったバイデン氏と遜色ないことを知って少しびっくりしている。

ボケ老人の好き嫌いは別として、日本政府はバイデン氏の当選確実を受け祝意は表したし、今日の報道では当選が確定したら就任前の来年早々にも訪問したい旨を明らかにした。しかし次のように解説する人もいる。「トランプ大統領が就任する直前、即ち民主党オバマ政権時代末期のアメリカ対北朝鮮の関係は武力衝突寸前まで行っていた。」トランプ大統領が戦争嫌いだということはなんとなく分かってきたが、北朝鮮との武力衝突をトランプ大統領が回避したのは事実だ。これは孫崎享氏の解説で、他にもバイデン氏が就任した場合の日本にとっての不都合は沢山ある。

安倍政権がそれを知ってトランプ氏を最初から応援していたかどうかは相当怪しい。恐らく北朝鮮の金王朝を潰してもらいたいくらいに思っていただろう。それは兎も角<ドナルドと晋三>の関係か友情は現在どうなっているのだろう?菅氏が安倍氏の影武者であることぐらいは、いくらトランプ大統領でも知らない筈は無い。しかし来年アメリカの政治体制が代わることはほぼ間違い無いだろう。だから日本政府の外交マネージメントが非常に難しくなっていることは理解できる。

孫崎氏に言わせれば、米中対立の中にある日本がアメリカ一辺倒スタンスを考え直すチャンスとすべきだと言う指摘。小生にはこれが正論かどうかも判断しかねる。ただトランプ氏に対する日本政府、或いは安倍晋三氏が個人的でもいいから、どのような意思表示をするかが非常に気になる。一庶民のセンチメンタルな人情論に過ぎないが、政治の世界は人情論では機能しないところがあるのはトランプ大統領がどのくらい理解しているかは分からない。

しかし、政治の世界でも特別な個人的な関係があった以上は、何らかのけじめが必要だと思う。これはトランプ大統領にせよ共和党だっていつ復活しても不思議は無い、なんて打算含みでなく当たり前のことだ。

2020年11月10日火曜日

組織と職位の権限

 法律について勉強したことがないので間違っているかもしれない。今国会では日本学術会議の新議員選考が大きな議論になっている。学術会議側が推薦した新議員105名の中6名を政府が任命しなかったのがその発端。学術会議の存在すら知らなかったのだから、何故それが問題かとか、会議側と政府どちらの言い分が正しいかなんて分からない。政府側の言い分は「会議には推薦権があるが、任命権は政府にある。だから不適切だと思った人物を任命しないのは当たり前のことだ。」との理屈。

反対する側は、それを言うなら政府が推薦した首相を天皇が拒否できるか、なんてことを言う人もいる。先日テレビで政府の論理を支持する元大阪市長の橋下徹氏の理屈を聴いた。「法律に任命権が政府にあるとはっきり書いてあるのだから、今回の措置は全く問題がない。しかし、推薦権が会議側にあることを思うと、両者が事前に考え方をよく相談すべきだった。」としているし、政府も内閣府特命担当大臣の井上信治氏をして落とし所を見つけるべく会議側と話し合いをさせる方針のようだ。

ここで文科相でなく、また内閣府特命担当大臣が出てくるのかも不思議だが、それは一旦措いておいて、考えさせられることがある。日本人の組織に対する考え方が少し間違っていると思うのだ。それは今朝のニュースで知ったアメリカ政府の国防長官エスパー氏解任の報道によるものだ。後2ヶ月もすれば大統領も首だから国防長官も自動的に失職するのに何故かとの疑問が湧く。原因は夏の<ブラック・ライブズ・マター>騒動取締に非協力だったとされているようだ。

組織の動きが気に入らないからトップを代えるのは当たり前との理屈だ。善悪は別にして、組織内の動きが気に入らない時は先ずトップの首をすげ替える。これこそ当たり前で、誰にも文句のつけようはない筈だ。トップをそのままにして、そのやり方にイチャモンを付けるやり方は、日本では民間でもしばしば見られる現象だ。ずっと中間管理職できた小生も、それが原因で辞めた会社もあるくらいだから、間違っていると思わざるを得ない。

だから、法律を変えるなら議員の任命は会議に任せ、会議トップの任命権だけ留保するように変えたほうが余程スッキリするだろう。同じことが政府と地方自治体との関係にも顕著に現れているの日本の実情。組織はピラミッド型で構築されるのだから、その要所々々には明確な権限移譲がなされないと、組織全体の機能不全が発生する。冒頭に書いたように、日本は法律が細かい規定を書き込みすぎて権限移譲の原則が不明確すぎるように思えてならない。

内閣府特命担当大臣なんて職位も権限を不明確にする最たるものだ。

2020年11月9日月曜日

判断基準

 本当のところは分からないが、人は脳に保存蓄積されている情報(即ち知識)に基づいて様々なこと判断していると思う。この情報がもたらされるのは第一が経験、次は読んだり聞いたりしたことと言えるかもしれぬ。従って現代の近代社会ではマスコミが人々に及ぼす影響の大きさは計り知れないほど大きい。極論すればマスコミによって世界が動かされている可能性すら無きにしもだ。マスコミ嫌いと言われるトランプ大統領でさえ、一般市民になったら新たな放送局を立ち上げようかとも思う、なんて言ったそうだ。小生もこの1ヶ月ほどの間、興味深く大統領選に関心を持って報道を見続けてきたが、最近では興味の中心が日米マスコミの報道姿勢の違いになってきている。

毎朝見慣れているワールドニュースにはアメリカの放送内容が少ないのが残念だが、他の国の放送でアメリカの放送が頻繁に引用されるので大凡の見当はついている。アメリカには国営放送局や日本のNHKのように国営もどきの放送局も無い。代わりに全国をカバーする民放の3大ネットワーク+2【NBC・CBS・ABC+CNN・Fox】がある。この中でCNNは反トランプで有名だし、逆にFoxは政権寄りとされ、前者の3社は比較的公平とされているようだ。

昨日行われたバイデン氏の勝利宣言だが、これも選挙結果が出てないにも関わらず3大ネットワークがほぼ同時に「バイデン当選確実」を報道したことに基づいている(+2局もほぼ同時に追随)。更に言えば、政権寄りとされているFoxが3大ネットに先んじてアリゾナ州で「バイデン当確」を報じていたことが印象深いし、投票日翌日の官邸(ホワイトハウス)での大統領記者会見を3大ネットワークは、会見内容に虚偽が含まれているとして、放送を途中で打ち切った。因みにアメリカには日本の放送法如く、放送局に対してお上が「放送は公平であらねばならない」なんて縛りは無い。彼らは国からなんの補助も貰わず、純粋に商業ベース(主はコマーシャルだろう)で事業展開しているから可能になるわけだ。

日本でも官邸での首相会見を「内容に嘘が多すぎる」として途中で中継を打ち切る放送局が出現するようになれば良いなと思うが、小生が生きている間には無理だろう。アメリカでは新聞も同じで、報道機関は経営者の判断で如何様に報道を取り扱うかを決め、読者や視聴者がその判断を支持する人がそのメディアを買ったりするだけのことだ。少し脱線するが、アメリカには発行部数が100万部を超える新聞も無い。数百万部の発行部数を誇る新聞なんて日本以外の国では共産主義国家だけにしか存在しないだろう。こういったことから、日本人が毎日受け止めている判断基準の情報が相当偏っていることが分かる。

日本のテレビに出演するコメンテーターを観ていると、この人物が日ごろ接しているメディアについて本人が言わなくても透けて見える思いがして興味深い。

2020年11月8日日曜日

読後感「ジョン・ボルトン回顧録」

ジョン・ボルトン著 梅原季哉訳

 ハードカバーで500ページ以上の大著なので読み終わるまで10日以上掛かったが、アメリカ大統領選真っ只中だったので余計興味深く読めた。副題に<トランプ大統領との453日>とあり、原題は『それが起きた部屋(The room where it happened)』である。著者は昨年9月10日までホワイトハウスの中に執務室を持つ 国家安全保障問題担当大統領補佐官で、日本にも度々来ていた人物、即ちアメリカ政府の外交問題に関する最も重要な高官だった。

その人物が退職後1年も経たずにこれだけの著作を表すというのはただ事ではない。毎日のように大統領と接して1年半に亘って外交上のアドバイスをしていたのだから、ホワイトハウス内(即ちアメリカ政府内)の最重要機密を知り尽くしていることになる。政府側もこの出版をできれば差し止めたかったことだろう。しかし著者の法律家、弁護士として頭の良さは居残ったスタッフのその努力を全く寄せ付けなかった。

著者自身があとがきで述べているが、政府に依るチェックは繰り返し行われても、公務員として誓約している秘密漏洩防止に引っかかるような記述は一切ナシとして出版を承認するしか無かったようだ。しかしよく読むとトランプ大統領の異常さ、頭の悪さは十分すぎるくらい丁寧に書き込まれている。何よりもも大統領が国家に対する責任より個人的利益、と言うと誤解されるかしれぬが、個人の人気とか次の選挙にどう響くかということを優先してしまう癖が重大な局面で出て、スタッフが練ってきた政策を潰してしまうことが多すぎたようだ。

しかし著者は1歳の赤子をあやすような思いで我慢に我慢を重ねてなんとか大統領をハンドリングしてきたことがよく分かる。根っから商売人でディールによって外交が解決可能と信じる戦争嫌いの大統領も、この補佐官が恐らく性格的にも合わない筋金入りの超保守で、頭が良くて非情に論理的であることは当然最初から分かっていた。しかし積み上げてきた外交手腕を捨てる訳にはいかなかった。だから結果的にはこの思想の違いが二人を別れさせたのも間違いない。著者は1年半の間に北朝鮮、ウクライナ、アフガン、イラク、シリア、イラン、ベネゼラ等きな臭い各地を駆け巡り、大統領即ちアメリカのために相当な件数の外交の下工作をしている。

外交は対象国との下交渉は勿論だが、国内においても様々な要因が複雑に絡み合うので政府内の調整が大変だったようだ。政権内でこれがうまくいかないこともあるし、何よりも大統領自身の思いつきが閣内で調整が済んだはずの案件をひっくり返すことがままあったようだ。日本との関係で一つ上げれば、イランとの調整を日本の安倍首相に依頼した件。これも全く大統領の思いつきで既定路線にブレーキを掛けることになった。後に大統領自身も「あれは大失敗だった」と安倍氏言ったらしいが、あとがきによれば日本外務省ホームページは全く違う書き方になっているそうだ。この辺から著者は「やっていられぬ。」との思いを抱くようになったらしい。

*昨日の原稿が何らかの不手際で消えてしまったので、今日は早めにアップする。

2020年11月6日金曜日

関心事

 毎朝テレビで同じような報道を観ながらふと思った。多くの人が在宅時間の長くなることを余儀なくされている昨今、どんなことに興味を覚えているのだろうか?個人的にはあまり関係のないはずのアメリカの大統領選挙や、新型コロナの世界席巻事情にもっぱら関心を寄せる自分と以外の人との違いが気になった。少なくとも今、世間で大いに流行っているとされるアニメ映画「鬼滅の刃」については全く関心が沸かない。

年齢を思えば当然だろうが、年齢に応じてインパクトがあったのがレナウンの倒産報道だ。長いこと広告業界で過ごしたせいもあり、レナウンと言えば男女ともに一時はファッション界のリーダー的存在で、自動車や電化製品のような工業的消費財が台頭してくる前の広告業界では、西のサントリーと並び立つ東の雄のように思っていたものだ。時代が進んで現在は衣料も食品も豊富になり、住宅内に物が溢れるようになると、必然的に音楽とかアニメのように文化的価値を追求することになるのだろうか?

スポーツ観戦などもこの範疇に入れていいかと思うが、コロナ禍の影響でプロスポーツ業界も苦労しているように見える。今度の日曜日から開催される大相撲も九州場所ではなくて両国国技館での開催、しかも観客は5千人限定、横綱鶴竜の全休が発表されている。ファン(特に九州の)も寂しいだろうが、力士たちも精神的にはきついことだろう。

普通の人は環境が変わればそれなりに趣味嗜好を変えていくことが出来るが、プロ即ち職業人はそう簡単に進む道の変更ができない。立ち止まるしか無いことになるのだから余計辛いはず。精神が落ち込めば怪我の回復も遅くなって当たり前だ。一般人の関心で「そうだろうな」と思った記事がもう一つあった。産業能率大スポーツマネジメント研究所が7月末に実施した「コロナ禍のスポーツ観戦意識調査」の結果である。

<東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)について84・8%が「現実問題として、来年の開催も難しいと思う」と回答した。世間の目はオリパラ開催に冷めつつある。>と解説されていた。なるほどこれが一般関心事の現状らしい。

2020年11月5日木曜日

ことの成り行き?

 妻を亡くして間もなくまる3年になるが、以来年賀状を一切やめてしまっている。にも関わらず昨日古い友人(昔の勤務先の同僚)の奥さんから喪中はがきが届いた。確か一つ年上だったと思うので既に平均寿命は超えているし、傍目にも彼の人生において心残りも少ないだろうと推察するので不思議は無いが、我が余命もそう長くはないことに思いが至り身につまされる。

今月に入ってからは良いお天気が続くので体調も悪くないと思うが、コロナがさっぱりしないので精神的には重苦しい気もする。しかしよく考えれば、コロナのせいで行動を制限されているのは経済的に無駄遣いする機会が減ることであり、経済基盤の弱い年寄には却って有り難いことかもしれぬ。お陰でアメリカの大統領選をテレビを観て改めてアメリカという国柄を認識し直したりしている。

今までも不思議に思っていたのだが、投票結果がはっきりしても新大統領の就任が何故年を越さねばならぬかである。今回のトランプ氏の粘りを観て大分分かった気がする。11月初旬に行われる選挙の結果から2ヶ月以上先の1月20日まで大統領職を続ける必要性は何故か?政権が変わる可能性があることも想定すると、アメリカの場合は官僚も大幅に交代と聞いているので準備にも手間取るだろう。

更に全く個人的理解だが、大統領には重要な意思決定権が付与されていて、これは1日の猶予遅滞も許されないのがアメリカ大統領職だと思う。この辺が大阪市長職とは随分異なるはずで、大阪市長なんて自ら市を無くすなんてとんでもないことを言って選挙にまで持ち込んだのだから、敗北したらさっさと辞めるべきだと思う。大阪の市役所は何も困らないはずだ。アメリカ大統領には旅行先であっても核ミサイルの発射ボタン持った随行者が片時も離れない。四六時中世界への目配りを怠ることが出来ないのだ。

今回は多分政権交代になるのだろうが、大統領職の空白は許されないので就任式までは飽くまでトランプ氏が大統領だ。従って4年前の選挙で当選が確定したトランプ氏の私宅にいち早くお祝いに駆けつけた安倍氏を日本国内では褒める向きもあったが、当時のオバマ大統領が強い不快感を抱いたのもよく理解できる。今回は流石に日本では控えると思いきや、昼食時に池袋のスタンドに入っていた「日刊ゲンダイ」の1面見出しに<特使に安倍氏を検討か>なんて書いてあった。

トランプ氏再選となればそれもありだろうが、政権交代が決まったらまさかそれはないだろう。首相は落ち着いてことの成り行きをじっくり見極めることが肝要で、他国に先駆けても得るものは少ないはず。頭の良い外務官僚と相談するに限る。

2020年11月4日水曜日

慌てる理由は何も無い

 タフな爺さん二人が数ヶ月、ひょっとすると1年近くかもしれぬが戦ったアメリカ大統領選の結果を興味深く見ているが、接戦が続き結果は未だ分からない。日本のように候補者の名前が書かれた紙を単純に集計するのと訳が違うのだから時間がかかって当たり前だろうが、1億3千万人以上が投票した投票所は全米で何箇所になるのだろう?そこで作業に当たる人はボランティアも多いようだが何れにしてもご苦労なことだ。

チョット話が変わるが、このところ物事の結果を慌てて求めないようになってきたと思い始めている。気がつくのが遅かったかもしれぬが年齢のせいもあるだろう。「急いては事を仕損じる」の意味が少し分かってきたような気がする。自分ではスタスタ歩いているつもりでも、最近は他人にどんどん追い越される。最初の頃はこのことが凄い気になっていたが、最近は無駄な抵抗はしないようになってきた。

人の性格は三つ子の魂でなかなか治りにくいとされているが、昔からかなり慌て者のおっちょこちょいの悪癖が少し矯正されたとすれば年の功かもしれぬ。悪癖が長く続いてしまった原因を自分なりに分析して思ったことの一つが、常に楽な道を選び、難しい道に挑戦しなかったことだ。典型に学生時代の受験で浪人をしなかったことがある。今にして思うと、学生時代に浪人をすることは決して悪いことではない。

むしろ長い人生で1年や2年浪人して、自分なりの勉強をする期間があったほうがその人のためになるのではと思い始めている(親父は3年浪人したと聞いている)。人は人生の重大局面を他人の投票で決めてもらう人もいるが、大部分の人は分かれ道に来た時、自分自身で進む方向を決めねばならない。振り返って考えると、そのような重大局面に本当にぶつかったのは、既に60歳を過ぎて、4度目の会社を首になった時かもしれぬ。

手持ちの金は100万円だけ、年齢からして就職先も探しあぐねた。妻に今更働きに出てくれとも言えず、本当に参った。結果的には多くの友人の助けがあって小さな個人会社を立ち上げて約10年、これでやっと一息つけて今日がある。数えれば起業以来17年だ。今は年金制度に頼りながら細々暮らしている。例えれば、人気の無い山道を一人トボトボ歩いている感じだが、ここまで来ると、この先がどのような場所になろうと着いた先が目的地だと思えば良いだけのこと。

気がつくのが遅かったかもしれぬが、慌てる理由は何も無い。


2020年11月3日火曜日

大統領選を観ながら

 アメリカの大統領選もいよいよ本番、いつ決着がつくか分からないが日本時間の明日からは開票速表が出るらしい。最近分かってきたのだが、どうもアメリカの大統領は日本の首相と違って、議会でなにか述べることはあっても直接議員から質問を受けたりしなくても良いようだ。認識が間違っている可能性もあるが、大統領は何処の国でも好き勝手にものが言える立場かもしれぬ。

でも韓国の李明博元大統領みたいに、職を離れたら逮捕されて実刑17年の懲役刑なんてこともあるから、トランプ氏が必死になるのも理解できる。そこで思うのがトランプ氏のタフネス振り、彼の見解は兎も角、彼が病院を脱走のように退院したのが僅か1ヶ月位前だったと思うが、それから昨日までの報道を観る限り、まさに獅子奮迅の活躍でとても病み上がりには見えない。

いくら飛行機でも1日で数千キロの移動なんて想像を絶する。大阪にいた頃、日帰りの出張から帰ると大変な疲労感を覚えたことを思い出す。特に身体を酷使したわけでもないが、空間的な移動はそれだけで身体に結構なストレスを齎すと、妻に言い、彼女も同意してくれていた。東京大阪間は若干気候が違うと言ってもアメリカのそれに比べれば無いに等しいだろう。

トランプ氏は北海道より寒い場所から、飛行機を乗り継いで1日で4箇所も5箇所も周り、遂には沖縄より暖かい地方まで連日飛び回ったりしている。アメリカには日本のような公職選挙法による運動の制限時間も無いように見える。また己のことになるが、飛行機恐怖症であって飛行機の離着陸時には身体が緊張しているので、飛行機の乗り継ぎなんて考えただけでも不整脈が起きそうだ。彼が酒を飲まないことは知っているが、普段どんな生活をしていいるのだろう?

暇があればゴルフをするのは安倍氏と同じだが、腕前は格段に違うらしい。何れにしてもトランプ氏のタフネスは脱帽に値する。同時に少し観点が異なるが、アメリカ国民の選挙に対する思いれ、これも凄い。wikiには近年のデータが見つからないが、2008年選挙の有権者数が2億3千万人、投票数約1億4千万人(約57%)とある。2020年の現在は多少の違いがあるにしても、事前投票が1億人に迫る盛り上がりのようだ。

国民が選挙に熱心になるのは結構だが、その興奮ぶりが日本では考えられない。昔選挙になると玄関先の塀にいろんなポスターを貼らせていたことがある。政党を限ると、他正統支持者からの嫌がらせを恐れたからだ。アメリカの国民の多くかどうかは分からないが、自分の家にヤードサインと称して態々支持者を明確するサインを出すらしい。但し今回の選挙は支持者同士の対立構造が激しく暴力沙汰が頻発しているようなので、今後どうなるかだ。

2020年11月2日月曜日

GoToトラベル

 明日は文化の日だが、我がi家族も目出度いことが2件、弟と一番年下の孫の誕生日でもある。昨日用意した孫の誕生祝いを娘が今朝受け取りに来てくれた。孫も早いもので小学6年生の12歳になるそうだ。来年は中学生になるので、母としては学校説明会に行くなど結構することが多いらしい。入学するのは近くの区立中学だが、制服などがあるらしい。これから指定の洋服屋に電話して、採寸の日を予約しなければとのこと。どんな制服か知らぬが、体操服まであって胸に名前が刺繍されるとのこと。

いくらの費用になるか聞かなかったが、安くはあるまい。義務教育といえど結構お金が掛かりそうだ。シングルマザーが増えているご時世だ、生活が苦しい家庭もあると思うが、その辺りの救済策は何か手当がされているのだろうか?少し気になった。年末年始の里帰りについても話し合ったが、娘の嫁ぎ先は山形市内にご両親がお住まいだ。先の夏休みは、実家から「来てくれるな」の連絡が来たので行かずじまいになっているが、正月も同様になるような気がしているし、本人達も未だ列車には乗りたくない気分のようだ。

旦那の実家が済むと家内の実家に回るのが恒例だったが、これも問題。義母は今月96歳になるが未だ健在。とは言っても、ここに家族で押しかけて万が一コロナに感染させるようなことが起これば、取り返しがつかなくなるのは必至。毎年小生も加わり、狭い室内で箱根マラソンを観ながら真っ昼間からの酒盛り、これも如何なものかである。未だ2ヶ月先と言っても、東京のコロナ禍はそう簡単に収まりそうにない。

あれこれ話したが、結局これもやめたほうが良いだろうとの雰囲気。年末に伊勢神宮に参拝して土産に赤福を買って義母にお届けする習慣が長く続いたが、これもどうやらやめたほうが良さそうな雰囲気。となると、伊勢神宮参拝そのものも中止することになりかねない。いよいよ来る年末年始はGoToトラベルで都内のホテルにでも籠ろうかと考え始めている。

2020年11月1日日曜日

冬か

 昨夜同期の友人5人でリモートミーティングをしていた時に一人が言った。「今年は老人の認知症と鬱の患者が増えているそうだ。」なるほどと思う。籠もりきりで、ボケが進んだり鬱になるのはもっともだ。他人事ではなく、まかり間違えばこちらもなりかねない、否、なっているかもしれない。2ヶ月分暦が1枚に印刷されているカレンダーがついに最後の1枚となった。2箇所にあるが、一つは電気店の広告入りでクリスマス模様、もう一つは上高地の冬景色。但し東京はここ1週間以上穏やかな秋晴れが続いているので、少しちぐはぐ感が無きにしもあらずだ。

しかし今年は例年と大分感じが異なり、振り返っても感傷に浸るべきことは何も見当たらず、年末までに果たすべきことも思い浮かばない。報道も段々つまらなくなってきた。安倍政権が形式的には倒れたが、変わって誕生した政権にはなんの新鮮味も無く、面白くもなんとも無い。政府は景気刺激策ということで相変わらずバンバンお金をばら撒いているが、恩恵に浴したのは10万円だけ。ありがたく次女一家と夕食を楽しんで終わり。

これが景気にいかほど貢献したか知らぬが、10兆円単位で1次2次3次と聞くと、景気が良くなるのは結構だが、誰がこのつけを払うのかが心配になってくる。それよりもやっぱりコロナを収束させることが先だろうと思うが、コロナ対策は何も目新しい話は出てこない。東京は先に書いたように未だ暖かいから良いようなもの、寒さがつのってきているであろう北国でのクラスターが増えていることが気になる昨今だ。

冬来たりなばとは言うが、春は遠そうだ。