2021年5月31日月曜日

孤独

 家内が亡くなって既に4年以上が過ぎて、孤独な毎日が流れて行く。孤独は精神的に辛いものがあるのは確かだ。今日の新聞テレビは申し合わせたように、単身上京している大学生の孤独問題を取り上げた。神経が参って休学して帰郷する学生が多いとのこと。半分遊びたい一心で上京した我が身を思えば、20歳前後の時代、1年も狭い部屋で独居が続いたら精神に異常が生じても不思議は無い。勉強好きな人間の心理は分かりかねるが、いくら好きでも学校にも行けずに、自室に閉じこもり放しでは似たようななことになるかもしれぬ。

近年同年輩の友人には我が身と同じ環境になった人、或いは友人が先に亡くなって奥さんが孤独になっている人が増えてきた。それでも女性の場合は子供たちが別居していても、ご機嫌伺いにやってくる頻度が高そうだ。奥方に先立たれた友人も何人かいるが、多分子供さんの訪問回数は少ないのではと勝手に想像している。手っ取り早い解決はイギリスの首相のように新たなガールフレンドを作ることだろうが、80歳を超えるとどこでそのチャンスに巡り会えるかが問題だ。幸い個人的には、がん治療の際に女性ホルモンを大量に注入されたせいかどうか、足掛け5年孤独に耐え抜いたので、あと数年は頑張れそうだ。

身内には孫が一人、筑波で単身生活をしている。1年に数回合う機会があるが、学校に毎日通える環境にあるみたいで、孤立感の心配はなさそう。むしろ母と同居している下の孫の方が、部屋に閉じ籠もる時間が多そうで心配してたが、最近は彼女が出来たらしく、休日にハイキングに誘っても断ってくるようになったから善しとしよう。甥や姪もほぼ全員所帯を持っているからそれなりの毎日を送っているだろうが、一人だけ独居を続けている甥がいる。しかし彼は留学経験が長かったので、それなりに耐え抜く精神が鍛えられたのだろうと信じている。

人間は社会的動物で「たかが一人 されど一人」なんて粋がっても、集団から孤立しては生きられないことが科学的に立証されているとのこと。確かにその通りだ。独り身になってから毎朝仏壇に手を合わせるようになった。特に願い事は無いが、亡くなった人を含め家族、親族、友人、恩人一人ひとりの顔を思い浮かべるのが常になった。

閑話休題:昨日ブログのアクセス件数についた書いたが、どうも誰かの悪戯だったかもしれない。昨日のアクセスは又100件チョットに戻っていた。別件だが、今朝読みたい本をアマゾンで検索した際に、アマゾンカードを購入すれば5千円引きなるとの言葉に欲ボケして申し込んでしまった。全ての個人情報と銀行口座の紐付けを入力してからの最終メッセージが、なんと「誠に恐縮ながら今回はご入会をお見送りさせていただくことになりました。」

やられた、と思い昼に銀行に出向いて確認すると、未だ引き落とし被害は発生していない。それにしてもアマゾンはコールセンターも無ければ、チャットでの連絡もできない。余りにも巨大すぎて対応不能ということかも知れぬ。

2021年5月30日日曜日

サンデーモーニング

 このブログに不思議な現象が発生している。先週水曜日26日迄1日のアクセス件数は、100件前後で長いこと推移していたが、26日急に500件を超すことになった。びっくりしたが、システムトラブルの可能性もあるだろうから暫く様子を見ることにした。それから既に4日過ぎたが、昨日までアクセス件数が高止まりしたままだ。何かの原因で本当に読者が増えたとすれば、有り難いし喜ぶべきことだ。

今日は日曜でもあるのでメディアについて書きたい。広告屋だったのにCMが煩わしくて余り民放テレビを観ないほうかも知れない。しかし長いこと観続けている番組の一つに地上波TBSの「サンデーモーニング」がある。1987年の放送開始だから、既に老朽番組で若い人の受けが悪く、近い将来番組廃止の噂が高まるのは仕方ないだろう。この番組が世に出た頃は、小生も若くてTBSには毎日のように入り浸っていたので、当時の状況は今でも鮮明なところがある。

当時の我が肩書は記憶にないが、カウンターパートに居た営業課長はその後社長にまで上り詰め。そしてその1期か2期上で編成課長だった人物が奇しくも高校同窓の先輩だったので、営業課長に紹介されて親しくさせてもらった。当時はテレビ放送に時報なんかが残っていたかも知れない。作家の井上ひさしか青島幸男か忘れたが「セイコー社の時計が8時をお知らせします」なんて聞くと欲情が湧いてくる、なんて言った作家も居たと思う。

この編成課長がこの番組でヒットを飛ばしたのは事実。彼がよく口にしたのは「テレビには生物(なまもの)が必要」で、情報の新鮮さを強調するために、スタジオにゲストを招き、生で解説する重要性を発見したのだ。今では社会情報番組なるジャンルでごく当たり前になっているが、当時は新鮮な番組だった。MC(総合司会)の関口宏氏も相当な爺さんになってしまった。テレビ出演は殆どこの1本だが、タレント事務所を設立して多くのタレントを排出している。中で代表格は今でも関口氏に次ぐキャスターを務める橋谷能理子氏。彼女が最初から居たかどうか忘れたが、相当お年は召されただろう。

若い人には評判悪いかも知れぬが、出演者と同年輩の小生には共感を覚えるところがある。多くの出演者の中にはどうかと思う人物も時にあるが、今朝の出演者の組み合わせは特に好きだ。筆頭は元三井物産社長の寺島実郎氏、次いで長野県出身ジャーナリスト青木理氏、元毎日新聞科学部出身で論説委員元村有希子氏、朝日新聞メディアラボの竹下隆一郎氏。この組み合わせであれば決して爺や婆さんの寝言とは言えないと思う。

それぞれの主張には聴き応えがあった。特に強調したいのは2点。1.日本のコロナ対策が本格化して500日経つ。この間投じられた予算が77兆円、その使われ方適切だったかどうか、政府には説明する責任がある。因みに医療関係には4兆円くらいしか投入されていない。2.政府は口先で責任を取ると言いながら、これまでに責任をとったためしは皆無。オリンピックは強行の気配だが、その責任の所在も不明確で非常に不安。

2021年5月29日土曜日

絵本と童話

 現代と異なり小学低学年時代までは、書店も少なく、どこの家庭にも児童向けの本なんか殆ど無い時代だった。あるのは友人の家にあった古い絵本ばかり。友人に借りたりして読んだ絵本は殆どが昔話。桃太郎や花咲か爺や一寸法師に金太郎に牛若丸なんてところだったろう。小学4年生頃になって集英社の「おもしろブック」なんて雑誌を読み始め、高学年になって講談社の「少年倶楽部」を毎月買うために母からお小遣いをねだったものだ。

従って幼少の頃に外国の童話というものに接した経験がない。アンデルセンの童話にしろイソップ物語やピノキオなんかも全て文字で読み覚えた筈だ。児童向け小説で特に印象深いのは我が家に唯一有った児童向け文学「小公子」の分厚い本。これもかなり大きくなってから読んだ記憶がある。何が言いたいかと言えば、印象画面が画像でなく文字ばかりで脳みそに刻み込まれたので、変にませているが、どこか情緒に欠ける歪な性格が培われた可能性もある。

当然のことだが、一昨日死亡が大きく報道されたアメリカの絵本作家エリック・カール氏のことは全く知らない。報道によれば、世界各国で世代を超えて親しまれている絵本「はらぺこあおむし」とあるが、勿論初耳である。世界各国とあるから日本でも相当読まれているのだろう。しかしコロナ禍で子供に絵本を買って読み聞かせる経済的余裕が無くなって苦しんでいるお母さんも少なくない筈。

今日ふと思ったのがコロナ禍の中、我々大人が暗い気持ちになるのは仕方ないとしても、未来を担う子どもたちの教育や情操の発達に大きな影響が出ることだけは避けたいものだ。我々世代の子供時代は確かに貧しくはあったが、戦争の軛から開放されて、子供には分からなかったが、大人たちには遥かな将来に輝く希望ような存在があったのだろう。現状を打破する努力は子どもたちが大人になって初めて分かることだ。

子どもたちが大人になった時、親の苦労を知る時は必ず来る。子供はもう大人になっているから良いとしても、一番下の孫は未だ中学に入学したばかり。つい最近までトムとジェリーのアニメを繰り返し見て喜んでいた。この孫は未だブログを読むことはあるまい。他の子や孫もブログは知っていても読むには至っていない。ある日、それは我が存在がこの世から消えてからになるかもしれぬが、我が胸中にあったのが日本社会や政府への不満だったと知ることになる。これは互いの不幸だ。

2021年5月28日金曜日

 何の因果か、大都市の多くの飲食店が行政の命令に近い要請を受けて、酒類の提供が出来なくなっている。50歳台までは晩酌するほど酒が好きで、もちろん外でも多いに飲んでいた。ところが自然の成り行きで年齢とともに酒量が落ち、最近では殆ど飲まなくなっている。毎日の外食、特に夕食の場合も酒抜きで特別の不自由は感じなくなっているが、今週あるイタリアンレストランでの食事の際のこと、どうしてもワインが飲みたくなった。この店は、以前夕食のサービスメニューにワイン飲み放題が付いていたことがあった。

それに似た料理を注文してしまったので、当然ワインが出てくると勘違いしてしまったのだ。料理が来てから気付いたが後の祭り。この店では例え時間が早くても酒類は一切提供してないらしい。そうなると余計欲しくなるのが人情。料理がうまく喉を通らないので、已む無くジュースを注文したが、とんでもなく味気ない夕食になってしまった。店長が言うには缶ビールなんかの持ち込みも出来ないとのこと。もちろん隠れてある程度の種類提供している店はあるらしいが、営業している大部分は要請を遵守してるらしい。

百薬の長である酒を、身体が欲する時に飲めないのは確かに困ったことだ。行政の担当者にすれば「恨むならコロナウィルスを恨め」だろうが、我が家の2軒先にあった酒屋が廃業してしまったし、その家の脇に置かれていたビールの自販機も見当たらない。未だ本格的暑さにはなってないので今直ぐには必要無いが、家にも缶ビールくらいは置いておく必要がありそうだ。荷物になるがコンビニから半ダースくらいは買っておくことにする。

2021年5月27日木曜日

システムトラブル

 昨夜からの報道(日経)に「政府の情報システム「1者応札」7割 霞が関DX阻む」がある。他にも最近日本の重要インフラシステムが次々にハッカーのアタックにあっているとの報道が後をたたない。昨日だったか、加藤官房長官が富士通のシステムがハッキング被害を受けたことに関連してだったと思うが、「被害は生じていない」と言った趣旨の発言をしたのを聞いて驚いた。ハッキングにあったこと自体が被害ではないか。

自衛隊に運用を任せたとするワクチンの集団接種会場でのシステムダウンなんか、小さな事故かもしれぬが、兎に角日本のデジタル技術の遅れは目を覆うばかりだ。冒頭に上げた日経の記事には「20年度の経済財政白書によると、国内のIT人材のうち官公庁など公的部門に属するのは0.8%にとどまる。一方で米国は10.7%に上り、多様な部署への配置が可能だ。」とあるが、IT人材と言ってもどんな人材を言うのか分からない人が大部分だと思う。

勿論小生もその一人だが、大分昔、ウェブサイト(ホームページ)の制作・管理と受注先だった小さな公益法人のLANシステム(パソコンの社内ネットワーク)の管理を請け負っていたことがあるので普通の高齢者よりは少しマシかも知れぬ。生半可なりに知ってることだけ上げてみよう。IT人材と言っても多種多様の筈。孫が筑波の大学院生でAI(人工知能)の研究をしてるそうだ。内容は全く理解できぬが、彼なんかは先ずその一人だろう。

昔仕事をしていた頃は技術面を担当してくれたスタッフを纏めて一口にシステムエンジニアと呼んでいたが、当時でも担当する仕事はかなり細分化されていた。毎日使うパソコン上に表示される文字や画像や動画は全て数値化されたプログラム(これがまた多種多様)の指示に依っている。だから俗に言われるプログラマーが一番重要かと言うとそうでもない。個人的理解で言えば、重要な人物はやはりデザイナー、即ちある種の芸術的センスの持ち主だった。

ただ言えるのは、どの職種にせよ一朝一夕には養成することが出来ない人材であることだ。だから霞が関には実際に人材不足が発生して一社任せ状態が発生してるのが実態だろう。そしてこの機に乗じて荒稼ぎをしているのが竹中平蔵氏が率いてる人材派遣会社のパソナだろうと憶測している。これを打破しようとしているのか、悪乗りするつもりかが理解できないのが9月に発足するデジタル庁。霞が関のデジタルトランスフォーメーション(DX)を一手に担うとのこと。

そんなことより我が身のこと、暫く鳴りを潜めていた脅迫メール「貴方のパソコンを完全に乗っ取りました」が昨日また6通も入ってきた。これを搭載しているセキュリティーソフト(ノートン)の削除メールに一々登録しなければならなかった。

2021年5月26日水曜日

ビギナーズラック

 今日は父の誕生日で明日が海軍記念日。このセットがいつも記憶に蘇る。父のことは数日前に夢に見たことを書いたばかりなので重複を避ける。父が生まれた翌日(1905年5月27日)が東郷平八郎連合艦隊司令長官に率いられる日本海軍が日本海沖で、ロシアからアフリカ沖を回って遥々やって来たバルチック艦隊を迎撃、歴史的勝利を収めた日となった。父とは関係ないが、この時の日本人の興奮が如何ばかりだったかは容易に想像できる。

僅か38年前に日本が統一国家となったばかりで、外国との不平等条約はほぼ解消されていたかもしれぬが、国民の大半は欧米先進国に対して劣等感を持っていたに違いない。地理的には欧州でないかも知れぬが、ロシアもその先進大国の一つで、国境を接した隣国であり、江戸時代から何かと後進国の悲哀を目の当たりにしてきた国だ。この海戦の勝利がきっかけなったと思うが、結局日本はロシアとの戦争に勝ってしまった。

こんな事を言うと国粋右翼から非難を浴びるだろうが、これがそもそも間違いの始まりだったかも知れぬ。当時は日英同盟があり、ロシアも戦争に負けたと認めたくなかったろうが(事実その後、日本は国名がソ連と代わったロシアに何度も手酷い敗北を喫している)、アメリカの仲裁や国内の共産主義の燻りもあったのではと想像する。しかし結果は全てで、日本は賠償金の他に樺太、千島列島や満州鉄道の権益など些か分不相応な戦利を獲得してしまった。何事にもビギナーズラックとの俚諺があるように、博打の世界では特に注意されているようだ。

以来日本人はごくまともな人でも神佑天助とか精神力とか根拠不明なものに頼ることを肯定し、変な自信を持つようになってしまった。先の大戦前夜、東條首相が若手士官に諮問した日米戦争結果が、どう見ても日本の負け、との報告を受けた時のことが明確に示している。即ち、科学的根拠に基づく結果は精神力で克服できるとして答申を無視したのだ。残念ながらこの悪しき習慣が日本の指導層から脱しきれない。身体能力や知能は努力に依ってある程度の向上出来ることは理の当然だ。結果は運動会やテストに明確に現れる。

しかし、これはその時点でのこと、ある意味でその時既に過去のことだ。将来のことは環境の変化等変数が多すぎて誰にも予測は困難。環境の変化を見極め、事実を確認しながら謙虚に一から見直すことが、誰にとっても重要だろう。

2021年5月25日火曜日

常識を疑え

 代り映えなく退屈な毎日の中で最近努めて思うようにしてることがある。環境に変わりがなくても自ら変わること出来る何かを見つける努力だ。そうは言っても容易ではないが、小さなことで良いから、何かを見つけたい。そんな矢先、今日の朝日新聞デジタルに非常に感動的な記事があった。見出しは「カブトムシの常識、埼玉の小6が覆す 世界的雑誌に論文」埼玉県杉戸町の小学6年、柴田亮君(12)が素朴な疑問から始めたカブトムシの観察が、夜行性とされてきたカブトムシの活動リズムの常識を覆す発見につながったそうだ。

きっかけは小学4年の夏、自宅の庭に来ているカブトムシを見ると、夜行性の筈のカブトムシが昼間も活動している。不思議に思って図書館で題名に「カブトムシ」と書いてある本を片っ端から借りて読みあさったそうだ。その中に、柴田君の家でカブトムシが集まる木(シマトネリコ)について「シマトネリコにはカブトムシが昼間も残っているようだ」と書いてある本を見つけ、母に頼んで著者(動物生態学を研究する小島さん)に質問をぶつけてもらった。

小島さんも理由が分からないので、折角だから観察を続けたら、とのアドバイスがきっかけで、折からのコロナ騒動の昨年が夏休み返上には良いチャンスだったのだろう。庭に来るカブトムシの背中にアクリル塗料で印をつけ、区別が付くようにした。数の調査に加え、162匹の入れ替わりが記録できた。7、8月は毎日欠かさず観察。外出前と帰宅後、時には夜中に家族にビデオで撮影してもらって、時間をずらしてカブトムシを数えた。調べた回数は、231回になった。

データを見た小島さんは「想像した以上に精緻。大学の卒論でもここまで丁寧にやる学生はいない。論文にできるのではないか」と思ったそうだ。柴田君は「新型コロナで旅行にも行けなかったけど、カブトムシがいたおかげで楽しい夏休みになった」と振り返る。かくして、 2人の名前で投稿された論文は今年4月、この分野のトップ学術誌の一つ、米生態学協会の「エコロジー」(電子版)に掲載された。

論文に不備がないかの査読をした外部の研究者は、データの分厚さに、「記録を集めた人間は称賛に値する」と驚いていたという。論文の謝辞の欄には、柴田さんの両親のほか、家族で外出する際に観察を手伝った祖父の名前も記された。朝日新聞本紙にも掲載されている可能性が高いので、周知のことかも知れぬが、暗いニュースが多い昨今なんとも心温まるニュースだった。柴田少年のように常識を疑って自分の目で確かめる努力をしたいものだ。

2021年5月24日月曜日

専門性の欠如

 日本政府のコロナ対策がうまく行っていると思う人は殆ど居ないだろう。しかしコロナ対策失敗の原因がどこにあり、誰の責任がについて声高に語る人が少ないことが不思議でならない。マスコミは一体何をしているのか?政府の中枢には主要マスコミのほぼ全社が記者を派遣し、内閣の記者会見は1日に2回も行われているにも関わらずだ。確かに大手メディアは月に1度位のペースで世論調査を実施し、その結果を公表している。

結果は大分前から殆ど変わらず、対策の失敗が指摘されているが、内閣支持率は下がりつつあっても、政権交代を求めるには至っていない。現政権を支持する理由のトップに上がるのが「他に人物が居ない」との理由。余人を持って代えがたいとの意味ではなく、誰がやっても同じとの思いが強いことが明らかだ。確かにその思いは正しいかも知れない。日本は他人の不出来をあからさまに指摘することが道徳に反すると思われている節があるからだ。

政治家は典型で、野党の支持率が上がらない原因の一つに「政権への批判ばかり」があるので、野党も苦慮するようだ。対案を提示する以上は現政権の政策批判は欠かせないと思うが、マスコミは前段を多く取り上げ、意図的に後段の代替案はネグっている。今日の報道でも、ベラルーシの反政府ジャーナリストが他国の航空機に搭乗していたのに、搭乗機が国境線すれすれのところでベラルーシ軍の策略でベラルーシ国内に強制着陸されて逮捕されるという事件が起きている。

先日ミャンマーで反政府よりの活動していた日本人ジャーナリストが逮捕された事件もあったが、日本国内で反政府よりの活動をしてる記者は会社の上層部から「程々にしろ」との命令が出されて、筆をを折るか曲げる状態に追い込まれてしまう。サラリーマン社長が殆どだからそうならざるを得ないのだ。香港の「りんご新聞」のようなマスコミは残念ながら育ちようが無い。

これが民主主義の限界と言ってしまえばそれまでだが、イギリス最大手メディア英国放送協会(BBC)はそうでもないかも知れぬ。日本では余り報道されていないが、イギリスでは政府や皇室まで巻き込んで、BBCが自社内に設けた1995年に放送の「故ダイアナ元妃のインタビューをめぐる第三者報告書」でもちきりになっている。即ち偽りの情報に基づいてインタビューを仕掛け、結果的に皇太子夫妻の破滅に導いたとの理由からだ。

言いたいのは日本では全てのことが馴れ合いの結果、専門性が生かされていないことだ。コロナ禍のように高度に専門性が要求される危機に於いてすら、烏合の衆の合議を募って結果的には誰が責任者かが分からなくしている。武漢でコロナ事件が発生した際に政府が真っ先に取った政治決断は当該地区の政治責任者の更迭だった。このことが可能だったのは中国の政治体制だったとする意見もあるが、違うと思う。民主国家でも組織が整備されていれば、その管理職に求められることが最重要課題が意思決定にあることで同じだった。昨日観た映画で再認識したことだ。

2021年5月23日日曜日

危機管理

 朝一番から昼近くに掛け、昨夜のリモート談義で友人が紹介した映画を観た。2019年製作となっているので少し古いがものだが、最近映画を観る機会が少ないので興味深く観ることが出来た。タイトルは「9.11 ジョージ・W・ブッシュ 空白の9時間」(アマゾンが配給したドキュメンタリー作品)あの日のことはつい最近のようにも思うが、もう20年も前のことになってしまった。

21世紀に入って間もないことになるが、あの出来事はその後の世界に大きな変化をもたらしたことだけは間違いない。事件発生の大分前1983年にカナダの経済学者ガルブレイス氏が書いた「不確実性の時代」が評判になったことがある。彼は今世界を覆っている資本主義の未来の21世紀は何が起きても不思議は無い。即ち、大恐慌、戦争、超巨大企業の支配、貧困問題等々と予言めいたことを言った。アメリカ本土の経済と政治の中心で発生した大規模テロ事件は、正にその10数年後に起きた象徴的な衝撃事件だ。

大恐慌だけは未だ起こっていないかも知れぬが、資本主義を信じきっている日本で近い将来起きないことを願うばかりだが、本のことはこの際措く。この映画は、テロ発生当日フロリダで小学校の授業参観中の大統領が一報を受け、9時間後にワシントンに帰還するまでの一部始終を語るもので、殆どが静止画像ではあるが、当時の実写と当事者本人のインタビューで構成されている。先ず驚くのは大統領の身辺警護の厚さ。

もう一人の主役とも言える専用機の性能もさることながら、周辺を固めているスタッフについて感心したことがある。大統領はどこに居ても会話はすべて記録として残されている。この日の記録は千ページ以上になってるそうだ。スタッフとの会話を追っていくと、この緊急事態の混乱の中にあっても大統領の身辺警護の責任者が大統領の意に反し、飛行経路の変更に関して「貴方の身辺警護をする権限は私にあります。」と反論するシーンが出てくる。

優秀な側近とは仕える主人に対しても自分の責任分野では専門的な反論が出来るようでなくてはいけない。特に危機に於いてはそのような専門性が必要だろう。情報の伝達に関してもCIA(諜報機関)のトップが補佐官を通さず直接大統領に犯行一味アルカイダに関する情報を伝え、補佐官からクレームを受ける場面もある。情報が混乱する危機の場面で大統領に的確な判断を求めるためには、そういった細かい配慮が普段からなされていないといけないということなんだろう。

アメリカの危機管理システムがどのように機能しているかが想像できる、ある意味で参考になる映画だった。翻って思うのはやはり日本政府の粗雑さ、専門家の不在(このことは明日書くつもり)危機に及んでも司令塔が誰かはっきりせず、そこに至る情報の流れの曖昧さ。911の10年後に起きた東北大震災、そのまた10年後のコロナ危機、危機は10年に一度は起きて不思議はないが、日本政府は3年もすれば忘れてしまうようだ。

2021年5月22日土曜日

夢見

 1週間ぶりで明日は天気が良くなるそうだ。明日のことは気にしないと言ったばかりだが、流石に嬉しい。昨日ブログも休んでゆっくり寝たせいか、今日はなんとなく何事もスムースに動いている。ブログも手短に行きたい。

今朝の明け方、本当に久しぶりに親父の夢を見たのも何かの因縁を感じてならない。その夢が面白いことに、親父のハガキを高校同期の友人が持ってきてくれた筋立てだ。親父の字は子供の頃から何度も見慣れているので直ぐ分かる。

特徴は縦書きの硬筆サイン。親父は祖母や母からいつも悪筆を誂われていた。にも関わらず、自分では悪筆とは思っていなかったようで、大切な熨斗袋の表書きなど母に任せず自分で書いていたのが懐かしい。夢に現れたのは親父の顔でなくてそのサイン。内容が同窓会の報告というのもまた面白い。発送日が親父の90歳の誕生日だから、この頃と言えば既にハガキを書く必要や力も無くなっていた筈だ。先日同窓会に出席したが、米寿(88歳)に達していた友人は僅か6人だけだった、との内容。

親父は学生時代落第が多く、普通の人に比べると3年は遅れているので、その点でも辻褄はあっている。顔が一切出てこないのに気持ちだけは妙に正確に伝わってくる。学生時代の道草なんか気にするな、長生きすることが一番大事。いつも大事にしてるつもりだ。夢は、潜在意識が意識朦朧の明け方に脳裏から浮かび上がると言われるが、改めて何かを教えられたようで、気分が良いのかも知れぬ。

2021年5月20日木曜日

最近の報道から

 俗に「毒にも薬にもならぬ」とされるのが下らないこと。このブログも毒は多少あるかも知れぬが、薬になるようなことは皆無。それにつけても感心するのがテレビコマーシャルの薬(もどきを含め)の多さ。コロナワクチンの広告は無いが、世界各国で既に承認され発売されているものが10種類以上あるそうだ。これは高級なことだから措くとして、毎日テレビで放送される薬の中に「馬鹿につける薬」が見られないのが少し残念であるが、これだけあれば日本に医者は不要と思えてくる。

テレビ関連で次いで思うのが、未来予測。パットしない日を送る人が多いと思うので仕方ないが、「明日になれば、来月には、再来月には、来年には、」とどこかで希望を探りたいのだろう。これも常識人で構成されているテレビ局社員の人情として当然かも知れぬ。ただ小生はその常識からは大分規格が外れている明日をも知れぬボケ老人、依って明日のことはあまり関心が無い。アメリカプロ野球ロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手が3試合連続の14号本塁打を放ち、米国で連日、注目の的となってることのほうが余程喜ばしい。普段野球なんか全く観ないのにだ。

これも俗に「予断を許さない」とされるが、パンデミックがいつ収束するか、米中対立がどのように発展し、結果がどうなるか。パレスティナとイスラエルの関係がどうなるか。ミャンマーの内乱はどうなるか。偉い先生方がテレビに出演されて色々解説して下さっても結局は「予断が許されない」ことなんだろう。予断が難しいからと、自衛隊はアメリカやオーストラリアばかりか、欧州の軍隊まで交えた演習に余念がない。実にご苦労と思う一方、なんて馬鹿なことを、なんて思ったりしてる。

しかし自衛隊は実質軍隊だから戦闘訓練は仕事だから仕方あるまい。むしろ仕事とは言えない保健所の役割を急に命じられたことの方が可哀想としか言いようが無い。元幕僚長が怒るのもよく分かる。ワクチン接種を手伝わせるのは良いが、自衛隊が日頃訓練してきたことに留めるべきで、今回は全くお門違いの任務を負わせている。先の大戦末期でもあるまいに、全く慣れないことを命じられて孤立無援、命が掛かっていないだけに余計惨めだった。

ついでに最近マスコミによく登場するシステムの統合、これも意味がよくわからず使われるので、その時々登場してくるデジタルの専門家の言うことが意味不明なのも困った問題だ。

2021年5月19日水曜日

女性礼賛

 今朝の朝日新聞デジタルに『「女性活躍」宣言に女性社員が反発 本当に必要なのは?』があり、内容的には味の素の社長と女性役員へのインタビューで構成されている。これを興味深く読んだので、今日はこれをテーマにしたい。この記事でもお二人から同様に指摘されているのが、日本社会における女性リーダーの少なさだ。先ず大雑把な統計から見れば、人数的には男性が6100万人に対し女性が6400万人と女性の方が少し多い。自然法則がどうなっているか知らぬが、女性の平均寿命が男性より少し長かった筈なので当然だろう。

ボリューム的に多い女性陣なのにリーダーが少ない理由は様々あるだろうが、結果がそうなっていることだけは確か。味の素でも女性管理職(本社の現状10%)を増やす努力しているようだ。食品会社だから当たり前だろうと思う人が多いかもしれない。しかし食品会社でなくても女性管理職の比率は似たようなものだろう。

自分のことだ。育ったのは男ばかりの5人兄弟7人家族で女性は母一人だけ。従って母のリーダーシップは非常に強かった。長じて結婚して家庭を持つと、出来たのが娘二人。妻のリーダーシップは母以上に強く、唯一の男性の主張は人口比の25%を遥かに下回っていたと思う。常日頃から妻の口癖は「男女分権」。男女にはなすべきことが別にあるから別に同権でなくても結構、互いに互いの権利を侵さないようにしましょう、の意味だ。

これはある意味でこちらにとっても都合が良かったので、お説に従って子どもたちの教育なんぞは全面的にお任せさせてもらった。学校にはPTAがあって、これは両親と先生の懇談を意味するが、我々の小中学生時代は父兄会と言われていた。しかし我が家は妻に全面的に任せていたので、小生は一度も顔を出したことがない。職場での管理職に男性が多いのは、男性が多い職場であれば当たり前で心配することではないだろう。

そもそも小中学校や今で言えば高校くらいまでを思い起こせばいい。成績の上位にいるのは常に女子ではないか。これも家内の受け売りになるが、生物学的に見て人間の男子は、同年齢の女子に比べて知的に劣るとのこと。確かに6歳年下の家内の方が遥かに頭が良かったと思う。男子の取り柄は、頭の構造がやや単純らしく、行動が早いとか決断が早いことかも知れぬ。

書いてきたことは個人的なことなので、日本人全体に共通するとは思わないが、昔から日本人は、天照大神以来女性リーダーが多く存在した。男子で社会的リーダーになった人の陰には必ず内助の功があるとしたものだ。反対に妻の不作が他人にどんなに迷惑かけたかは、安倍前首相を見ればよく分かる。

2021年5月18日火曜日

コロナ禍(下)の経済

 社会には法律があって、社会に属する人間はこれに従わなくてはいけない、と力説するのが政治家の先生。一応もっともらしい理屈ではあるが、所詮は気まぐれな人間の決めたことだから余り信用したくないへそ曲がりだ。しかし自然界には法則があり、これに従って動いている生き物が多いと思う。ウィルスなんかでも、生き物のようなそうでないようなものらしいが、一定の法則はあるだろう。

兎も角天然自然には何らかの法則がありそうだが、今週の天気は如何なる法則に則ったか知らぬが、どうも不景気極まりない。未だ5月なのにずっと雨または曇りでお日様が全く拝めないようだ。社会はそれこそ面白くもおかしくもない下らないニュースばかりの上にこの天気では気がおかしくなりそうだ。毎日無理して1万歩の徘徊を心がけてはいるが、だんだん面倒くさくなって辞めたくなり始めている。辞めて他にすることがあれば良いが、それも無い。

政府が推奨するテレワークがあるが、これをしているサラリーマン諸氏の運動不足はどうなるのだろう?嘘か本当か分からないが、テレビ報道では、出勤するよりテレワークの方が上司の監視が厳しく、サボりにくいなんてことがあるようだ。先週末長女が来たので、旦那のテレワークについてチョット聞いてみた。コロナ前は6時過ぎには家を出て1時間半以上掛けて通勤していたのに、現在は殆ど在宅勤務、朝7時前から仕事を始めているらしい。ご本人の運動不足はさりながら、私の方が大変とのこと。9時頃やってきたが、10時には旦那にお茶を淹れなくてはと、早々に帰宅した。

人によっていろいろな運動不足解消法を模索されているが、向かいの家のご夫人は旦那が長期入院してるので手持ち無沙汰とのことで週に1回はゴルフに出かけるのが習慣で、実に溌剌としている。友人たちもゴルフに通っている人が多く、ゴルフ場は場は結構客入りが良いらしい。ヨット販売をしている姪の話では、湘南のビーチも賑やかで、船の購入希望者も沢山いるが、首都圏ではハーバーが満杯で売りあぐんでいるとのこと。景気は全体的に良くないとしても、所謂K字基調の2極化が進行中と言うことなんだろう。

2021年5月17日月曜日

1400ドルの小切手

 今日からワクチン接種の予約が開始された。かかりつけ医に昼頃電話をしたら一発で繋がり、馴染みの受付嬢の誘導で接種日が確定した。1回目:6月4日16時、2回目:6月28日16時。次の通院予定日が6月4日なので「その日に合わせられないか?」の問には「接種日は通常診療ができません出来ません。兎に角今日予約をしてください。さもないと、次の予約日は6月30日になってしまいます。」

個人的には「目出度し!目出度し!」だが、アメリカでは2歳の赤ちゃんでさえ接種を受けてるそうだ。日本の成人はいつから接種が始まるか、他人事ながら心配だ。昨夜も池袋のレストランで20歳代半ばの淑女4人様が向かいの席で大声を出しながら食事を楽しまれていた。食事は一人で食うより大勢の方が楽しいことは分かるが、彼女らが無症状のウィルス保菌者だったらと、落ち着けなかった。

毎日コロナ関連ばかりで面白くないが、土曜夜のリモート談義では自衛隊が設営した東京・大阪の大規模接種会場が話題になった。「自衛隊が自前の人的資源と設備で設備一切を巻かぬことなんか出来ない。また電通がしゃしゃり出て、医療スタッフなどを密かに募集しているそうだ。」ある友人が言っていた通り、昨日の報道では民間の看護師が大分大勢配置されることが明らかにされた。報道では看護師だけになってなっていたが、友人が言ったのは「受付や誘導のスタッフは目下暇になっている旅行社の社員」「医者だって自衛隊の病院にしてもそんな暇はないから、密かに民間から1日10万円の日当で募集している。」

確かにありそうな話だ。先週来多くのマスコミが取り上げているが、テレビによく出演している前統合幕僚長の河野克俊氏が政府と首相の独断専行(法に基づかない)に怒りを顕にしている。氏は以前からテレビ出演の度に政府寄り発言を繰り返していたが、今回は別人のようだ。河野氏は東京五輪開催と日本の接種率の低さにも言及。「(五輪)開催国が先進国で最下位、クーデターでゴタゴタしているミャンマーと同じだと。これでワクチン接種が順調とは、私には到底思われない」と呆れ気味に語り、「危機管理として失敗している」と指弾した。

コロナ関連でも一つ。我々6人の参加者のうち二人が、前々回も一昨日もリモート談義でアメリカから送られてきた一人当り1400ドルの小切手について話題にした。夫婦であれば30万円近いのでちょっとしたボーナスになる。一人が話題にしたのは換金可能な銀行が近くにないので、友人に換金を依頼することだった。話を聞いてると、この小切手に裏書き欄が無かったらしい。依頼を受けた友人が調べることを請け合ったが、今朝になって「つかの間の夢、我々が換金するのは違法性が有る様です。」と返事をしている。

事前に広く手を打ち、後に修正をするのと、手を打つ前から細々とチェックするのとどちらが良いかだ。

2021年5月16日日曜日

期待

 昨夜のリモート談話で聞く限り、6人中5人がワクチン接種の予約ができて、予約が取れていないのは小生だけになってしまった。豊島区は明日から予約受付が始まることになっている。幸い近くの掛かりつけ医が接種会場になっていることは有り難いが、初めは混むに決まっているので、暫く日を置いて電話をしてみるつもりだ。夫婦で診ている医院で、診察室が2部屋に処置室とレントゲン室があって結構繁盛している。

通常は診療開始が9時。診療開始の15分前にドアを開けてくれるので9時には待合室に10人くらいは患者が溜まる。小生も3ヶ月に1度は通っているが、いつも5番目くらいかな。平日は9時から1時間半の昼休みがあって午後7時までやっているが、ワクチン接種はどのように組み込むのか一寸イメージできない。普通の診療時間は一人10分足らずだろうが、それでも処方箋を貰って出るまでには約1時間ほど掛かる。ワクチン接種希望者が、1日100人としても、通受の診療は受診できなくなるのではないかな。

豊島区内の65歳以上の高齢者が7月中に接種を終わるかどうか、分からないが多分難しいだろう。人口が約29万人だから、約5割が接種を希望すれば14万5千人。この人達に2回の接種を完了すには3ヶ月かかっても不思議は無い。お盆が終わる頃そうなっているものやら、期して待つことにする。

2021年5月15日土曜日

読後感「官僚と国家」古賀 茂明 佐高 信 共著

 古賀氏と佐高氏の対談形式で綴られている平凡社新書。結構売れているようだ。この二人はインターネットでよく対談を行っており、その場では二人の意見の一致が多い。その興味に引かれて購入したが、本書ではむしろ意見の相違がはっきりして、読んだ価値が有ったと思っている。尚サブタイトルが<菅義偉「暗黒政権」の正体>となっている割には、正体が明らかになっていない気がする。

佐高氏は根っからのジャーナリストで、どちらかと言えばフリーな立場、古賀氏は現在フリーの言論人ではあるが、元は経産省の高級官僚。一時は内閣府にも出向したこともあるし、現役時代には与野党の政治家と幅広く関係を持っている。二人共安倍氏から続く現政権に、大きな不満をもっているのは間違いないが、古賀氏は現役の政治家や現役に近い官僚が未だ健在なので言葉を選ばねばならない。

一方の佐高氏は、既にテレビ界からも追放されている点では古賀氏と共通してるが、歯に衣着せる必要が全く無いので言いたい放題。はなから菅首相や安倍元首相を呼び捨てにして、なんとしてもこの二人を今の座から引きずり下ろしたいことがはっきりしている。しかし古賀氏に言わせると、日本の政治システムはそんな単純なものではなく、政官財にマスコミを加えた厚い壁によって現在の政権が守られていることから容易ではなさそうだ。

現に、安倍・菅政権では数多くの失敗がありながら支持率が多少下がるくらいで、政権は持ち堪えている。霞が関官僚の質が変化しているのは事実だろうが、それでも優秀な人材で構成されていることに違いはなさそうだ。そして彼らがそこに在籍する限り政権を支えることに変わりがない。古賀氏にしても現在反政権的立場を取っているが、官僚機構の抜本的改革方法には至らない。

繰り返し言われて、行われた行政改革も実効があったのだろうか?原発問題やエネルギー問題も関係してると言うが、どうすれば良いか、本書が道筋を示したとは言えないだろう。聞き手に回っていた佐高氏としては少し消化不良だったと思う。

2021年5月14日金曜日

インフラの安全性

 昨日書いたばかりの続きになるが、アメリカでハッキングされた石油パイプラインのシステムの件。今朝の報道によるとどうやら解決の方向に動き出したようだ。先ずは目出度いが、被害者側企業が犯罪者に対して身代金を支払ったらしい。犯罪者は当初ロシア政府との繋がりも噂されていたが、今のところその根拠は確認されず、この問題の対策にについて近くバイデン大統領とプーチン大統領が話し合う機会が持たれるとも伝えられている。

大国であればあるほど内外に多くの問題を抱えるが、相手の正体不明は厄介なことだ。アメリカは諜報機関も多くて007のジェームス・ボンド張りの実行部隊も多数擁していると思う。当然彼らにも指示は出ているだろうが、石油の流れを止められたと言うことは、人体に例えれば実弾を食らって出血が激しいことに匹敵したのかも知れない。応急措置がやむを得なかったのだろう。小説や映画であれば、身代金の受け渡し場面で一波乱があるとしたものだが、システムが回復に向かっているとのことだから、この山場は過ぎたのかも知れぬ。

ダークサイドを名乗るこの犯罪者が早く捕まれば良いが、今後どんな悪さを企んでいるか分からないし、ウィルスではないが似たような悪者が出る恐れは十分ある。日本でも電力、通信、水道、運輸などインフラシステムの管理者はハッキング対策の見直しが必要だ。くだらぬ小説や映画を見すぎているのでヤバイ想像だけは豊富に湧いてくる。新幹線運行システムの乗っ取りとか、考えるだけでも鳥肌が立つ。

日本のインフラシステムではどんな対策が取られているか知らないが、政府がこんな時にこそ本気になって支援をすべきだ。素人考えだから間違っているかも知れぬが、先に上げたインフラの中心を占めるのはやはり「通信」だと思う。殆どの人が通信を毎日利用していると思うが、認識しにくい面がある。電話やテレビ以外にも通信は見えないところで働いている。どこをターゲットにしようと、ハッカーが先ず襲ってくるのも通信網のどこかだ。

日本はデジタル化が遅れているくせに通信インフラは結構整備されていると思う。人によっては5G通信なんか遅れていると思うかも知れぬが、ネットワークの整備では大陸国家に比べれば遥かに優れているだろう。それだけにハッカーからすれば抜け穴もたくさん見つかるかも知れぬ。政府もマイナンバーカードの使い勝手なんて言ってる場合じゃないかも知れぬ。

2021年5月13日木曜日

デジタル関連法成立

 昨日夕方の報道で「菅内閣の看板政策(デジタル庁)創設を柱としたデジタル改革関連6法が参院本会議で成立」を知った。菅首相と平井担当大臣が肩を並べて満足そうな笑顔を浮かべながら会見。平井氏が「これで我が国のデジタル化が急速に加速していくことになる。」と述べていた。それは結構なことで是非そうなってほしいものだ。しかし同じ枠のニュースで、ワクチン接種に関してインターネットに不具合が生じて自治体のシステムにエラーが発生、一時接種予約の受付などを中断せざるを得ない事態が発生したとのこと。

なんとも言えない違和感を感じるニュースだった。更に後段のニュースを注意深く見ていると、このエラーが発生したシステムのメーカーがアメリカの企業と知って更にびっくり。企業名をメモして今朝ネットで調べてみた。社名は「株式会社セールスフォース・ドットコム」本社:米国セールスフォース・ドットコム / salesforce.com, Inc. (所在地:サンフランシスコ)となっている。ホームページのトップに来月行われる講演会の予告があり、小泉進次郎氏の顔が大きく掲載されて講師になっている。

企業紹介の概要は「Salesforceは、企業と顧客をつなぐ顧客管理ソリューション。マーケティング、営業、コマース、サービスなどすべての部署で、顧客一人ひとりの情報を一元的に共有できる統合CRMプラットフォームです。」一読して理解できる人は少ないだろう。CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」とのこと。 平たく言えばよくある今風のIT企業。現役時代に15年ほどにウエブサイト制作と管理をしていたので、その方面の知識が少しあるが、ワクチンの流通と接種の受け付け程度のシステムは簡単なものだから、電子通信大手企業でなくても受注出来たことに因縁つけるつもりはない。

しかし、デジタル庁設立を目指す政府が、何故態々アメリカ企業に発注したか一寸不可解だ。エラーは数時間で回復したのでサーバーダウンではなく、プログラム上の単純なバグ(誤記)だったのかもしれぬ。しかしアメリカの石油パイプラインの管理システムがサイバー攻撃でダウンして、全米の石油流通が止まって大騒ぎになっているように、大きなサーバーはそれなりのリスクが有る。

デジタル化を進める政府は、取り敢えずマイナンバーカードに金融機関の取引口座を紐付けたいようだ。貯蓄が少ない庶民は特に問題ないだろうが、問題視する人も多いだろう。他にも今朝の日経には次のような記事がある。「国内で利用者が多いアプリの運営企業の6割が、国内ユーザーの個人データを海外に移転しているか、海外からアクセス可能だったことが分かった。内部監査など情報漏洩対策を取るが、利用者に移転先の国名を示していないケースもあった。日本の個人情報保護のルールは欧州に比べ曖昧な部分が残る。」


2021年5月12日水曜日

裸の大様

初めから「短期集中」なんて言わねば良いのに、誰に入れ知恵されたのだろう?世間では専らオリンピックとの関係とされているが、菅首相がオリンピックに拘る理由が分からない。素人考えでは、菅氏がIOCに対して何の義理も無い筈。むしろ個人的人気を考えれば、中止に舵を切った方がプラスに働くと思う。菅首相は損な性格で、自らを苦しい方へと追い込んでしまっているとしか見えない。

「国民の命と健康を守る」にしても同じこと。出来ないことを言うより素直に「国民の苦楽を共有したい」とか言って、3回目の非常事態宣言発出に当たっては「再度ご不自由掛けるのは誠に申し訳ないが、感染状況がステージ3を脱するまでご辛抱願いたい。」とでも言っておけば、今ほど苦しい立場に追い込まれてはいない筈、と思うのが素人の浅はかさかな。

昔からオッチョコチョイの非難は免れず、気がついたことは直ぐしたくなる質で、何事も深く考えるのが苦手だった。従って考えが浅く行動に出て、犯した失敗は数しれない。仮に菅首相が似たような性格でも、首相には周りに優秀な人材が揃い、行動や発言のアドバイスをする仕組みではないのか?日程が多忙すぎて、社会の現実に接する機会が極端に少なくなっていることはある程度は想像できる。

秘書官も大勢いるだろうが、彼らとのコミュニケーションはどうなっているのだろう?そう言えば秘書官とは別に内閣官房参与なるポストが有って、ここには共同通信の論説委員長だった柿崎明二氏が入った筈。入閣した途端に彼にも市井の情報が入らなくなったなんてこともあるかも知れぬ。取り巻きだけ多くなって結局は裸の大様になってしまったようにしか見えない。 

2021年5月11日火曜日

元の木阿弥

 だいぶ昔のことになるが、47歳で慣れない職探しをした挙げ句の勤務先も、結局前の勤務先と似たようなワンマンの広告関連会社だった。今度の会社は霞が関の全省庁と広い付き合いがあった。

中でも大蔵省と通産省に関しては社長が非常に熱心に気を配っていたものだ。当然その配下になったのだから、この2つの役所の仕事は多くした。大蔵省的には、橋本内閣時代だから消費税増税対策の広報、通産省的には原子力発電推進広報だった。当時は、税制で農家が優遇とされていたので、直接税である消費税の比率を上げることに関して何の疑問も起きなかったし、原子力発電比率の拡大についても何も疑問は持たなかった。

むしろ仕事を初めてから、物理学者の高木仁三郎氏や早稲田の理工学部出身ながら作家として活躍し始めた広瀬隆氏などが原子力発電に警報を発していることを知ったぐらいだ。広瀬氏の「危険な話」が丁度発売された年でもあり、これは一応読んだが、連日吹き込まれていた電力側の洗脳を払拭するには至らなかった。今更非難する気持ちはないが、当時多くの文化人が原発推進に乗っていたのも事実だ。お陰で会社も小生もその波に乗って大きく成長できた。

しかしこの会社も8年足らずで辞めることになり、その後更に2つの会社を転々として、どれもまともに務まらず、結局はうらぶれた人生になってしまったが、そのことは措くとしたい。言いたいのは2021年の現在、消費税や原子力発電が置かれている位置のことだ。今回はその原発について。

2011年3月の東北大震災が原因で起きた東電の福島第1発電所の事故で、日本では原子力発電に対する認識が様変わりしたと思う。小生も勿論だが、80年代後半に仕事で付き合った多くの電力関係者や電力文化人たちも認識が変わった人が多いと思う。しかし電力関係者は生活が掛かっているから、自分の勤務先を潰せとは言いにくいことはよく分かる。また文化人たちは、電力絡みだけで生計を立てている人を別にすれば脱原発に趣旨を変えている人も多い。

問題は、そこで原発推進派の勢力が減少したのか否かだ。昨日、旧通産官僚の古賀茂明氏の話をYouTube(下記)で聞いて驚いた。メンバーの顔ぶれは変わっていても原発推進勢力は衰えていないとのこと。東電そのものが倒産もせず生き延びてるのも不思議に思う人がいると思うが、国が取っている選択がエネルギーの供給構造を変化させないのだから仕方ない。嘗て推進する通産省の内部に置かれていた原子力安全・保安院は原子力規制委員会となって経産省から独立したように見えるが、事故から10年を過ぎた現在、全く元の木阿弥だそうだ。

現在溜まっている福一の汚染水「飲んでも大丈夫」と言った大臣に飲んでもらいたい。

https://www.youtube.com/watch?v=MP0Hm7E6g1A

2021年5月10日月曜日

興味半減

 余談;「本論とは無関係ながら。今日の午後突然気がついた。今日から平日なのに、近くにある2軒の保育園のうち大きい方が、人の気配が全く無い。この保育園は廃校となった小学校を利用して老人ホームが併設され、校庭は区民に開放されている。従ってこの脇を通るといつも賑やかなのに今日は静まり返っていた。何も確認できていないが、コロナとの関係が気になる。」

最年長の孫が既に筑波大々学院の1年生。専攻は情報類(筑波大は学部とは言わない)で、AIを勉強していると言っている。と言われても殆どイメージがわかないのが困ったことだ。AIとは高性能のコンピュータを駆使する人工知能とい言うことは知っている。近年これが如何に発達しているかについては、囲碁の世界で見ることが出来るとも知っていた。昔と言ってもそんな昔ではない、精々15年くらい昔のことだ。

その頃は未だ池袋の碁会所に通って少しは強くなりたいと思っていた。碁会所の席亭とも親しくなって無料で指導を受けたりしていたことが懐かしい。この席亭は嘗て早稲田囲碁部の主将か何かをしていた人で、しかも理工学部の出身者。前にも書いたことがあると思うが、この人が「コンピュータがどんなに頑張っても人間の頭脳には及ばない。一流のプロ棋士に勝つことができる日は我々が生きてるうちには来ないだろう。」事実当時の先進的囲碁ソフトでもプロ棋士に対して4目か5目のハンデをもらっても勝つのが難しかったと思う。

それが今は、プロ棋士の大部分がAIを搭載した囲碁ソフトに教えてもらう時代になっているらしい。中国で数年前に強い囲碁ソフトが開発されて、その後日本でも匹敵するものが出来たというところまでは知っていた。昨日のNHK囲碁の時間でそのAI囲碁ソフトのことが紹介された。ソフトの進歩は凡人の小生には驚異的で、現在プロ棋士を負かすような強い囲碁ソフトが多数市中に出回り、プロ棋士が競ってそれを利用して研究に励んでいるとのこと。事実昨日のNHK杯トーナメントに出場したベテラン棋士(55歳)が若い棋士(27歳)に負けを喫したが、解説者曰く「ベテランの方が少しAIについての研究が不足していた可能性はあるだろう。」

この放送を見終わって、つい先日まで最も熱中していたネット囲碁も、興味が冷めてきたように感じ始めている。正直なところ、囲碁が面白くて毎日のように打っていた理由の一つは、囲碁には人間には極めきれない何かがあるとの思いだ。このところめっきり弱くなったにも関わらず、迷っていても精進を続ければ、いつかどこかで新たな道が見つかる筈、との思いがあったからだ。しかし、AIを使えばその道が簡単に見つかってしまうらしい。それでは囲碁の面白みが無くなってしまうではないか。人工知能とは聞くだにおどろおどろしいが、これからは想像を遥かに超えた世界に入っていくのだろうが、そのことは既に興味が無い。

2021年5月9日日曜日

無策

 台風下の荒海で遭難した船に乗っているうような気分の毎日が続いている。コロナが中国の武漢で確認されて以来既に500日近く。この間、船長さんは「私が皆さんの命を守りますからお任せください。」と言うばかりで実際には何もしてこなかったに等しい。もとより日本は医学では先進国で、ノーベル医学賞第1回候補者になった北里柴三郎博士やお札に肖像画が描かれた野口英世博士から2018年にノーベル賞を受賞された本庶佑博士の例を引くまでもない。

事実500日間に海外では有効なワクチンが何種類も開発されたのに、先進国日本では未だに1種類も開発がなかった。この不思議さの原因はどこにあるのか?毎日のように書いているが、一に掛かって政治の舵取りがなっていないからと断定せざるを得ない。今朝の日経報道によれば「厚生労働省で医薬品業務にかかわる担当者は「米国や欧州ほどの感染爆発は起きていない。何がいけないのか」と開き直っているらしい。

そもそも日本は1980年代まで水痘、日本脳炎、百日ぜきといった日本のワクチン技術は高く、米国などに技術供与していた。にも関わらず、今や首相が態々アメリカ迄足を運んで、メーカーのトップに頭を下げて供給をお願いするみっともなさだ。どう考えても船の性能以前に操船する責任者の能力、判断力の欠如に依るとしか言いようがない。これは昨夜の高校同期生のリモート談義でも、参加者の大部分が自民党支持者だったにも関わらず衆目の一致するところだった。

そう言えば都議会議員選挙が近づいていることもあるようで、それを意識したポスターが多く張り出されているが、自民党候補者のどれを見ても菅首相の写真が見られない。自民党内でも首相の不人気ぶりが伺える。もっとも野党立憲民主党候補のポスターにも枝野党首の写真が無いのでどっちどっちかもしれぬ。何れにせよ、今の政治状況を市民がどう見ているか知らぬが、少し前の参議員補欠選挙で自民党が予想を超える負けを喫したように、これまで無党派層といわれた人たちの動き如何では思わぬことが起きるかも知れないし、期待するところだ。

2021年5月8日土曜日

リーダーの決断

 今週は友人が亡くなったりして2回もブログ書きを休んでしまった。ルーティン化していることが出来ないと、どうも気持ちが落ち着かない。しかし改めて考えると、ブログを書くにしても思いつくことがあまりに少ない。テレビをつけてもネットで新聞を確認しても、ニュースの大半はコロナ関係で、それもろくなニュースは無い。アメリカ、イギリス、イスラエルなどがワクチン接種が進んで、少しずつ規制が緩和され始めて入るようだが、日本は遅々として進まない。今朝やっと区から接種の案内が届いた。

今月17日から予約を受け付けると書いてあるが、既に報道されている通り肝心のワクチンの数量が不足しているのだから、予約できる日も遠いことだろう。また当然予想されていた通り、緊急事態宣言の延長が決まった。もう酒を飲まなくなって久しいので、酒に不自由することは無いが、行きつけの飯屋の閉店が続くのは迷惑だ。こちらの迷惑より閉店を余儀なくされている経営者や従業員は、生活が掛かっているだけに単なる迷惑では済まないだろう、本当に可哀想だ。

これも全て政治のリーダーシップの間違いに他ならない。ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授に言わせると「ここでワクチン接種が広がらないと、来年の今ごろまた同じことを繰り返している可能性があると思う。」とのこと。凡人でない医学の専門家の発言だけに恐ろしい。政府は山中教授の心配を他所に、憲法改正に真剣に取り組み、早いとこ緊急事態の対応について憲法に付け加えたい、なんてトボケたことを言っている。専門家が言うところの検査拡大のための方策も取らなければ、ワクチン接種のスピードアップ図れないで何が「国民のために働く内閣」だ。

連休が明けたばかりというのに、昨日は死者数が遂に100人を超えた。事態の悪化は最終局面が最も悲劇となる。これが最終局面であってほしいが、山中教授はそうは見ていないようだ。先の大戦は、日本が連合国側にポツダム宣言の受諾を通知した1945年8月の半ばをもってほぼ終結に向かった。正式な終戦は9月2日だが、連合軍側がポツダム宣言を発出したのは7が26日だ。受諾の決断をするのに要した約20日間。この間に亡くなった戦闘員と非戦闘員の数は知らない。

太平洋戦争での戦没者が約300万人と聞かされているが、その中に広島や長崎の原爆犠牲者がカウントされているかどうかも知らない。日本の領土とされていた当時の言葉での「外地」に居た一般市民の犠牲者の殆どは、この判断の遅れによる犠牲者に他ならない。現政府の政策決定「ツーレイツ、ツースモール」は今に始まったことでなく、日本政府の悪しき伝統かも知れぬ。

2021年5月6日木曜日

違和感

 大型連休も終わった。仕事がある人は張り切って仕事に取り組めばいいが、仕事の無い年寄りは、我が身にいつコロナが押し寄せてくるかと身勝手な不安が消えない。昨夜のテレビで興味深い社会現象を知った。年寄りは自己中だから不安を感じてればいいが、働き盛りの所帯持ちは不安より怒りが強いようだ。それはツイートの世界で「人々の命と暮らしを守るために、#東京五輪の開催中止を求めます #StopTokyoOlympic」が話題になっているとのこと。

自らツイッターを利用したことがないのでよく分からないが、多分この中にあったと思われる「私はオリンピックより子供の運動会や学芸会を観に行きたい」趣旨のツイートが多くの賛同を得たと紹介された。これは簡潔な一言だが非常に説得力があった。毎日のテレビ報道を観ていて、なにかチグハグ感が拭えなかった原因はこれだろう。日本の政治が行っている政策決定が庶民感覚と余りにも大きく離れすぎている。

2ヶ月一寸に迫ったオリンピックを観に行きたいと思っている人の数と、子供の運動会を観に行きたいと思っている人の数の差が理解できない政策決定者たち。この差を無視して、ヨーロッパに本拠を置く国際的なマフィア(IOC)の求めに応じて「決まったことだから」として税金の無駄遣いをし続けている。この政策決定者を支えているのが自民党支持者と言うことになるが、この中には小学校に通う通う子や孫を持つ人も多いと筈だ。彼らに、次の選挙に際して「もっと真面目に自分の生活を考えて見ろ」と言ってやりたい。

閑話休題

ロンドンでG7(主要7カ国)外相会議なるものが開かれて、日本からも茂木外務大臣が出席している。そもそも何故今対面会議か分からない。しかし何かが急に必要だったのだろう。7カ国と言いながらインドとか韓国とからも外相がゲストとして参加しているが、日印の外相会談はリモートで行われている。ここでもチグハグ感が否めない。この(主要7カ国)はどう見ても世界の主要問題を話し合うのに相応しくない。現下の問題点を話し合うなら、日本は扠置いても、中国とロシアが参加しなければ意味が無いと思うのが普通ではないか。

その当事者を欠いた席で、その二人に対する重要な懸念を共有したところでどんな意味があるというのか。一方的非難を声高に言い募ることの意味が分からない。喧嘩を売るつもりか?マスコミはさも重大な会合であり、申し合わせだと取り上げるが、この会議に参加している紳士の腹の底にあるのは、それこそ覇権主義そのものにしか見えない。

2021年5月5日水曜日

経年劣化

 立夏のこどもの日、昼まで雨は降っていなかったが、正午を過ぎると雨も降り始めた。正午の天気予報では風速7.8メートルと言っていたが、風が唸りながら吹き荒び、家屋ががたぴし言ってるのでもっと強く感じる。何れにしても荒れ模様の天気になった。昨夜は友人の仮通夜、一緒に行く友人との待ち合わせ時刻を間違えて迷惑を掛けてしまった。3:15分を直前になって3:45分と勘違いして家で悠然としていたら、友人から電話が来て我に返ったご粗末。

最近似たような勘違いや、物忘れが多すぎる。家内が亡くなって以来石油ストーブは使用をやめて、一応ガスと電気だけにしているが、それでもスイッチの消し忘れは頻繁にある。ガスは毎晩、元で切っているが、電気はそうはいかない。朝起きて、昨夜消すべきスイッチを切っていなかったなんてことがザラになってきた。こういった頭の働きとは別に外形的肉体の衰えも相当進んでいる。一昨日娘と行った里山ハイキング、疲れが出ないよう優しいコースにしたつもりが、今日になってふくらはぎの筋肉痛が酷くなってきている。

原子力発電所には耐用年数について、それこそ第一人者だった故高木仁三郎氏は次のよう言っている。「日本の原発は平均寿命は16年あたりの所にあって、16年だとトラブルを起こすことが意外と少なく、運転年数が20年以上になると、トラブルがみられるようになってきます。」理由は圧力容器の脆化だけでなく、延長数千キロに及ぶとされるパイプや電線、それを繋ぐ数万のボルトやナット。これらに小さな事故が起き始め、一つ一つのうちは良いが、これが重なると大事故にになりかねないと警告を鳴らしていた。

人体は原発なんかと比較にならないほど複雑な構造だ。それは水耕栽培されているような数十兆個の細胞で構成されるが、これがどのようなリズムになっているか分からないが、新陳代謝に依って何日かで全部が置き換わるそうだ。毎朝同じ顔を鏡で見ているが、今朝の己は1週間前とは別人かもしれぬ。話が余計なところに飛んでしまったので戻したい。人であれ、ウイルスであれ、一定の数が集合すれば、小生のようなへそ曲がりが必ず現れて、規則の基づいた行動を取らない者や物が必ず出現する。

一個や二個の異物は簡単に排除されたりするだろうが、ある日これが複合化されるととんでもないことに成りかねない。理屈は分かるが、これを医薬品で防御するのは至難かも知れぬ。現れ始めている我が身の経年劣化現象、どのようにくい止めるべきか?やっぱり医者に聞くべきだという友人もいる。医者に行くなら自分が感じ始めている肉体の劣化現象を上手に説明する必要がある。第一、医者は脳の専門家、消化器の専門家、循環器の専門家などに分かれているのもややこしい。我が身も心配な腎臓病で最近入院した友人が言った。「医者の言うことを全部聞たら、食う物が無くなってしまいました。」となると、座して天命を待つしか無いか。

2021年5月4日火曜日

諸行無常

 明日のこどもの日は余り天気が良くないらしいが、代わりに今日は終日五月晴れが続きそうだ。東京都から外に出ることは緊急事態宣言の趣旨に反するので自粛して、昨日は都内の里山に日帰りでハイキングに行った。目標は御岳山と日の出山、7時に次女と新宿で待ち合わせして立川で青梅線に乗り換えたが、初めて見るような混雑ぶり。恐らくこれまで春の大型連休中に青梅線に乗ったことが無かったのだろう。

当然ながら山も結構人が出ている。家族連れが多いのも頷ける。今回は山登りを敬遠して、最初はケーブルカーでいきなり800メートル超える地点からの歩きはじめ。200メートル登ればもう御嶽山、神社にお参りしてから後は謂わば尾根歩き、なだらかな登り降りの快適なハイキングで目標の日の出山。あとは少し距離はあるが降り一方の初心者向けコースにした。娘は先月筑波山に行っているので、毎回翌日に疲れが残るような目に合わせたくないとの思いもあるが、娘からするとそんな心配は無用で、むしろ親父のことのほうが心配らしい。

実は早朝に娘から電話が来て「今日は午後に雷注意と言ってるよ、明日の方が天気が良さそうだから明日にしない?」と言うのを「心配するな。」とやや強引に引っ張り出したので内心ヒヤヒヤしていたが、幸い1:40には日の出山の登山口に下山が出来て心配は無用になった。詳細は下記をご参照ください。https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3140679.html

少し無理を言ったのには訳がある。と言うのは、高校生の頃から長く付き合った友人の息子さんから「父が会いたがっているので、見舞ってほしい。」と言われて1日の土曜日に見舞いに行ったからだ。彼は東京の人で学年も一年下なので学校での縁は何も無かったが、スキーが好きでこちらが高校時代からアルバイト同様に住み込んでいた山小屋で知り合った。そしてこちらが大学生になって上京すると、逆に彼の家族に世話になったりはしたし、彼からは、こちらが全く不案内な東京について色々教えてもらい、以来生涯を通して付き合うようになっていた。

その彼が末期の膵臓がんであることは知っていたが、実際に見舞ってみると、自宅で酸素吸入をしながら既に起き上がることさえ出来なくなっていた。末期の病人を見舞った経験は少ないが、やはり癌で亡くなった次兄を最後に見舞った時の印象が蘇った。見舞いを喜んではくれたが、どう見ても命が旦夕に迫っていることが分かったような気がした。故に不要不急の遊びごとは早く済まそうと思って娘の言い分を聞かなかった次第だ。

案の定と言っては申し訳ないが、先程息子さんからの訃報が届いてしまった。改めて命の儚さに思いが行ってしまう。周りには元気な人も多いが、なんと言っても年が年、娘の言葉「お父さん、山を付き合うのは良いけれど、一緒にいる時転ばないでね。」が重く響く。

2021年5月2日日曜日

おそ松くん

 昨夜も高校同期生のリモート団議で面白かった。皆が日本の不甲斐なさと、この先の見通しが良くないことを嘆きあったものだ。どうしてこんなになってしまったのだろう?東京の永田町、霞が関には優秀な人は沢山いるだろうに。との意見が多かったが、小生は持論の「どんな組織であっても、トップ以上の力量は発揮されない。」を披露して政権トップが変わらない限り、日本は良くならないだろうと悲観論を述べた。

そこから結局は選挙制度に話が及んで、外国の例などを引きながら投票率を上げる方法が色々出された。中でできればそうなってほしいと思うのが、投票の義務化のように思う。国政選挙で投票が選挙の度に50%を切ることが常態化するなんて異常で、国民が如何に政治に失望しているかの証拠ではないか。参加者はいつも6人で、小生以外は外国に長期在住経験者が2人に他の3人も仕事の関係上外国との付き合いが多かったので、話が大変興味深い。外国に住んでみると日本の金融機関が如何に世界を無視しているか、或いは無視されているかがよく分かるらしい。

外国の年金を受領している二人が口を揃えて言うのだから間違いないだろう。日本の良い点もなにか一つぐらいは話題に上げたかったが、残念ながら話題の提供は出来なかった。当分はお互い我慢のしどころのようだ。それにしても最近のコロナ禍の様相は政府の想定を遥かに超えて、悪化しているのは誰の目にも明らかだと思うが、テレビ出演している与党政治家はいずれも口を揃えて「日本は法治国家だから、それは法律を変えないと出来ないのです。」と言う。報道記者やゲストが「今は非常事態なんだから、これまでは認められていなかったかも知れぬが、こういう方法を取り込んだらどうですか。」

と言った投げかけに対する反応である。言ってしまえば与党政治家は未だに現状を非常事態と認識できていないことになる。昨夜のリモート談義で友人の一人が言っていた。外出を自粛してくださいのお願いは、もう効き目がなくなっているのは明らかだ。いっそ、「もうこの状態ではオリンピック開催は無理です。」とでも言ったほうがインパクトがあると思う。すぐに賛意を表明したが、お金を上げるとかインセンティブがあれば別だが、お願いばかりしていても意味がないかも知れない。若い人に五輪中止の脅しは通用しないかも知れぬが、なにか知恵は無いだろうか?

政治家は手品師ではないのだから、一声掛けただけで何かが生まれたり出来たりすることはありえない。医師会のトップ、看護師協会のトップを呼んで話を聞いたら「看護師資格を持ちながら休養中の方が多いと聞きました。」これで政策決定をされたら、現場で働いている看護師が怒るなんてことは想像できない人が現代日本の最高意思決定者である訳だ。これまでに日本のワクチン接種件数の最高は1万数千件とのこと。オリンピックの件はさておいても、国民への接種が年内に終われば拍手すべきかも知れぬ。

赤塚不二夫さんのキャラを無断借用しました、ごめんなさい。

2021年5月1日土曜日

何処に

 また月が変わってしまった。政界では「一寸先は闇」と言われるそうだが、人間は誰でも明日何が起きるかには分からないとしたものだろう。とは言っても、明日もまた今日のようでありたいと思うのが普通だろう。しかし巣篭もりが続く中で思うのはそうではなく、明日でないにしても早くこの状態から開放されたいとの一念だ。要するに明日は変わってほしいのが万人の思いではなかろうか。

すがる思いで政治家の言葉に耳を傾けたいが、残念ながら政治的リーダーの言葉にそれを見出すことが難しい。ワクチンが6月には大量に届く見通しがたったとか、オリンピックは何が何でも開催しますと聞いて、ああ良かったと思う人がどのくらい居るだろうか?例えば首相に聞いてみたい「貴方はは今何を考えていますか?」コロナの収束時期はいつか誰にも分からないだろうが、これからこの国はどこに向かうべきなのか、誰かに是非教えてもらいたい。

午前中ここまで書いた時急用が発生してしまった。帰宅したのが既に4時半。あと倍以上書く事がありそうだが、1日から休むのも気持ちが悪いので、中途半端な文章になったが取り敢えずアップする。