2021年3月31日水曜日

次期首相候補

 明日から始まる新年度予算が3月中にめでたく成立したと思ったら、急にマスコミに解散、総選挙と言う言葉が飛び交い始めた。菅首相は口では否定しているが、選挙の洗礼無しに就任した身としては、どこかで解散総選挙の必要を痛感しているだろう。しかしコロナ対策が全くできない中での解散に無理があることは百も承知の筈だ。コロナ対策に万全を期し難い中で、無理聖火リレーをスタートさせたり日米首脳会談に望んだりして、なんとか他の道を探っているようにも見える。

昨日どこのテレビ局か忘れたが、世論調査の次期首相に相応しいと思うのは?に対する回答が紹介された。詳しく記憶してないがトップが河野太郎氏で22%だっと思う。他には小泉進次郎氏や石破茂氏とか立憲の枝野幸男氏なんかが菅氏の上にランクインしていたような気がする。菅氏にしてみれば、自民党独自の世論調査報告が毎日のようにされているから、こんなしょうもない情報は見ないかもしれないし、意外に気にするかもしれない。

菅氏の心象はどうであれ、政治家の人材不足は目を覆うばかりと言える。菅氏は何を考えているか知らぬが、河野氏を重用している。先ずこれが理解できない。彼の祖父や父は善悪は別にしてそれなりの政治家だったとは言える。しかし彼自身には一体何があるのだろう?英語が得意と聞いたことがあるし、外務大臣も経験している。その外務大臣当時の言動で記憶にあるのは、時の政府に外務大臣専用機を要求したことくらいで、外交的成果で記憶に残っていることは皆無。

2016年の熊本地震の時は防災も担当する国務大臣(メインは行革)として熊本に乗り込んだものの、県側と全く反りが合わず干されてしまったのは周知のこと。実に子供じみた我儘勝手で、嘗てフリーの時代には自身のブログで、高速増殖炉文殊の存在を声高に批判していたのに、閣内に取り込まれるとそのブログを閉鎖する定見の無さ、とてもじゃないが、リーダーシップのかけらもない。現在も制改革担当で閣内にいて、規制改革とのつながりが理解不能だがワクチン担当ということになっている。

担当の意味も不明で、ワクチンは現在のところ海外にしか存在していない。ワクチン輸入と承認に関する交渉は当然厚労省が担当していると思うが、河野氏が記者の前で輸入予定などを声高に発信している。輸入されたワクチンをどのように配分して、国民にどのように接種していくか、具体的な道筋を彼のようなボンボンに考える力を期待するのは先ず無理だろう。イギリスでは、既に65歳以上の高齢者には50%の接種が終わって効果が現れ始めているとのこと。我が国ではテレビが連日模擬接種の風景を流し、国民に注意点を啓蒙している。

2021年3月30日火曜日

民主主義国

 米中の競争か対立か知らぬが得体のしれない緊張感が世界を覆っているにも関わらず、我が日本はコロナウィルスワクチン接種も置き去りにして、呑気なことに政党間の争いに終止している。置き去りになっているのはむしろ日本国そのものだ。嘗ての欧米先進諸国に加えて近年急速に頭角を現し始めた中国やインド、ロシアもそうかも知れないは、パンデミックのさなかではあってもコロナ後に向け、なんとか社会のあり方を変えるべく努力を続けているように見える。

翻って嘗て先進国の一翼とされ、現在でもGDP世界第3位の日本は、十年一日で、このまま行くと遠からず先進国から脱落しかねない。その兆候は多方面にで始めているが、ワクチン接種率の遅れなんぞはその最たるものだろう。アメリカの新政権のせいで世界が民主主義国家と専制主義体制国家に二分されて見られるケースが多くなり、日本は民主主義国家の範疇でカウントされている。ある人に言わせると専制主義国家は選挙の自由が担保されないと言う。その意味では日本の選挙は比較的公正で透明とも言える。

だから民主主義国家として位置づけられても良いのだろう。しかし日本の民主主義にはどこか不自然さが拭えない。なにも前法務大臣夫婦が犯した選挙法違反だけだはない。この資金の出どころが自民党から提供された1億5千万円の資金であったのはほぼ間違いないだろう。長い裁判の末にこのことは否定されるかもしれぬが、否定されたらされたで余計日本の司法制度が民主化と程遠いことがはっきりするだけだ。

ある意味で、アメリカに支配されている日本は政治体制そのものが、75年前の占領体制から何も変わらない砂上の楼閣、或いは虚構体制にしか見えなくもない。国民も民主主義でありたいと思っているだろうが、実態はアメリカという専制君主に操られていると思えば、最近の体たらくは概ね納得できる。アメリカが日本に期待しているのは中国との間で武力紛争にならないようにするためのショックアブソーバー機能で、国内体制がどうであろうと関係ないのだろう。

むしろ、フィリピン何かと異なり、外向きには完全に民主化されたような顔をしている中途半端な国家の性格がハンドリングしやすいかもしれない。外向きには民主主義を装いながら、実質的にはハンドリング容易な自民党の1党支配が定着しつつある。政権のスキャンダルは絶えず、不人気であっても代替する政党の出現は抑え込まれている。産業的には嘗てアメリカの下請けとして重要な役割を果たしていたが、現在は嘗ての日本に代わる多数の国が存在している。

今や期待するのは安全保障上の機能だけだ。

2021年3月29日月曜日

ゴールデンウイークは?

 昨夜は雨と風が激しかったが、今朝晴れたと思ったら夏の暑さがやってきた。曲がりなりにも未だ3月というのにだ。昨夜は遅くまでネット碁にのめり込んでしまい、まるで中毒状態だ。少し反省せねばいけない。世の中にはパチンコ中毒の大人やゲーム中毒の若者がいるようだが、彼らの悪口を言えたものじゃない。

昨夜次女からメールが来て、やっと筑波山ハイキングの日程が決まった。つくば駅から登山口まで、筑波大を先日卒業して大学院生活が始まったばかりの孫が送ってくれるとのこと。登山口から山頂までの行程はどんな塩梅かとの質問に「概ね片道2時間で行けると思う」と答えたが、最近足の衰えが気になるし、この暑さだともっと掛かるかもしれない。一昨日と昨日は東京の緊急事態宣言解除後初週末。雨模様の天気の割にどこも人出が溢れていた。

テレビに出演する専門家は口を揃えて「解除をすべきではなかった」と言っている。専門家画の指摘どおりで、感染者は増え続けている。政府関係者はあれこれ言い訳ばかり繰り返して、何の根拠も無いことがありありで、予定通りオリンピック開催を目指したいだけのようだ。一般市民は無能政府と知りながら、折角の短い春休みを楽しんでいる。結果は2週間後から判明する。今年のゴールデンウイークはどうなることやらだ。

話は全く変わるが、今日は朝から既に3通、全く同じ文面のメールを受信した。差出人のアドレスはそれぞれ異なるが、「初めまして! 残念なお知らせをするために、ご連絡を差し上げております。 僕は、約2?3ヶ月前にネット閲覧用に貴方が利用しているデバイスにアクセスし、その後ずっとネット行動を追跡していました。 以下省略・・・」要するに悪さをされたくなかったら、金を支払えとの警告で終わっている。気持ちが悪い限りだ。

呑兵衛あなさんどうすればいいでしょうか?

2021年3月28日日曜日

春の憂鬱

 はやくも3月の最終週、あと数日で今年の4分の1が終わる。年度末だからとてなにか特別のことは無いが、困ったことに何かをする意欲が湧かない。昨日はブログも書かなかったし、今日は歩くことをやめようなんて思っている。朝早くに次女から電話が来て、「今日は昼から雨になりそうだけれど、それでも歩くの?」と聞かれ、反射的に「歩かないよ。」と答えてしまった。1日くらい休んでも良いだろう。と自分を納得させている。

昨夜の恒例高校同期生6名のリモート茶飲み話で、互いの体調が話題になった。一人が血中酸素濃度のことを言い始め、「これが少なくなると徐々に認知症に繋がる。」とのこと。なんでもこの濃度が97%以上が正常値らしい。すると聞いていたもう一人の友人が自ら手首のスマートウォッチを指し示して「俺も94しか無いぜ。」と言い出した。結構他の友人達も、この濃度を心配して時々チェックしているらしい。親しかった人の名前が出てこないのも、これと関係があるらしい。

金曜日に友人から古い書類を見つけて欲しいと依頼され、そう多くない物入れを引っ掻き回したが結局見つけられなかった。こうして記憶力が衰えているのは少し気になるが、話題になった認知症にはまだ程遠いだろうと思っている。朝の次女との電話で「次男の誕生日が今日じゃないか?」と聞いたら、残念ながら明日だった。同期生とも会話で「記憶すべきことをパソコンデータで保存しておくのもそろそろ考え直すべきで、紙に書いて保存しないと、万が一の時遺族が苦労する。」これは成程ねだ。

お互い不幸な事態はいつ起こっても不思議は無い。パソコン自体はパスワード設定していないので誰でもすぐ開けるし、備忘録ファイルもすぐ見つかる仕組みにしてある。しかしこれもプリントして長女が来週日曜日に来たら教えることにする。とにかく最近はこんな気が滅入る話が多くて困ったものだ。兎も角血中酸素濃度なんて初めて聞く言葉だし、家では体温すら計ったことがない。確か昨年の健康診断時だったか、計ろうと思って取り出さいたら電池が切れていて使えなかったくらいだ。最近は銭湯に行かないので久しく体重も測ったことがない。あと何日或いは何年生きるか分からないが、もっと明るく考えないといけない。

2021年3月26日金曜日

既成事実と長期的視点

 報道でご存知の読者もおられるだろうが、「東海」とは韓国が使う「日本海」のことだそうだ。これを北朝鮮の弾道ミサイル発射に関し、昨日、アメリカのインド太平洋軍が公式声明の中で、日本海を韓国式名称である「東海」と表記したとのこと。もちろん日本政府は既に米国政府に日本の立場を申し入れ、訂正を求めていることも明らかにしているが、アメリカ側の反応は報道されていない。これと関連するが、竹島に関しても似たようなことがあるのを初めて知った。

孫崎享氏のメルマガからの引用である。「当初米国は竹島を日本のものと位置付けていたのに、韓国の執拗な工作の後、ひっくり返している。(残念ながらこの事実はほとんどの日本国民は知らない)。」詳しい経緯は省略するが、2008年7月ブッシュ大統領が関与し、韓国大使とライス国務長官の会談で韓国領とすることに合意したとされている。

当時の朝日新聞は「町村官房長官は7月31日の記者会見で、“米政府の一機関のやることに、あれこれ過度に反応することはない”と述べ、直ちに米政府の記述の変更を求めたりせず、事態を静観する考えを示した」と報じている。従って、このことはそのまま放置されているのだろう。アメリカにおける日本のロビー活動が殆ど無いに等しいことは知られているが、法治国家を自称する日本だが、ここまで外交下手では放置と法治の洒落にもならない。

既成事実とは恐ろしいものだ。日本海も放置し続ければ数十年後には無くなり、東海に生まれ変わりかねない。中国や韓国はその意味において執念深いと言うか気が長いと言うか、日本とは大分異なる。政府はコロナ対策なんか典型的だが、問題を処理するに当たって、口先では最大級の形容詞を使って万全の対策を講じてと言うが、具体的に何を言ってるかは分からないし、結局は簡単に場当たり防衛戦を突破されてしまい、二度三度とと同じセリフを聞かされる。

これは今に始まったことではなくて、昔からのことだ。困難な問題に立ち向かう時、先をどのくらいの時間軸で考えるか、中国や韓国との差は大きい。先日の米中外交首脳会談で一躍有名人になった楊潔?(よう けつち)氏。まるで漫画の主人公のようなノンキな父さんだ。齢は70歳とのことだが、20歳代前半からの共産党員英米への海外経験は当然としても、シニア・ブッシュ宅に居候した経験もあるそうで、米語がペラペラ。今回の会談でも通訳に米語で注意をしていたそうだ。

戦いは先ず相手を知ることから始まるのは当たり前。今問題となっている中国や韓国の問題行動が果たして何年前から計画されたことだろうか?一朝一夕で太平洋の真ん中に人工島が出来るはずがないだろう。既成事実の裏に存在する深慮遠謀を知らずに大騒ぎするのはみっともないから慎むべきだ。

2021年3月25日木曜日

感激と無感動

 東京は桜が満開で、街ではポチポチ卒業式帰りの親子連れが見られるようになった。隣の板橋区に娘夫婦が住むんでいる。一人息子の孫のことが気になったので、娘に電話をすると、今日が卒業式で、親も二人まで出席できて無事終了したとのこと。6年間は長いと言えば長かったかもしれぬが、何だがあっと言う間だったとも思える。ある意味で感激もした。来月4日が小生の誕生日なので、朝こちらに来てくれるそうだ。その時ゆっくり話を聞いて、お祝いをあげる約束をした。

卒業と関係はないが、何事も予定の変更または取りやめは難しい。圧倒的多数の人が中止すべきだと思っているオリンピックだが、強行するつもりの日本政府。今日はついに聖火リレーを始めてしまった。まさに先の大戦末期を見ているようだ。数兆円と言われる国費をつぎ込み、挙げ句に何が残るのだろうか?スポーツは多くの人に感動を与えるものだが、もし開催されてもそうはなりにくいだろう。

2021年3月24日水曜日

新宿と映画

18歳で初上京以来2年以上住んだ新宿は、ある意味で非常に懐かしい街とも言える。しかし新宿程移り変わりの激しい街もそう簡単に見つからないだろう。だから今や昔の面影はもう殆ど残っていない。昔と変わらないのは、小生と同じで地方から東京に来た若者で溢れていることかもしれない。今日は新宿まで足を運び、15ヶ月ぶりで映画を観てきた。映画館が多いのは昔と変わらない点ではあるが、所在地や館名が青年時代の記憶と全く違っている。

今日行ったのは昔東映の映画館があった場所で、京王電鉄の本社だったはずだ。今でも所有者は変わっていないのだろうが、ビルの9階が大きなシネコン「新宿バルト9」になっていた。観たのはアフガン戦争がテーマの「アウトポスト」。監督などのスタッフも出演者も知っている人は一人もいない。ただ数日前にNHK・BSで月に1度映画紹介をしている東大教授の藤原帰一氏が推奨していたのを観て、緊急事態も解禁になったので行こうかという気持ちになった。藤原氏が言うほど深刻さは感じなかったが、それでもアフガンから撤退できずに居るアメリカやその同盟軍の存在に思いが及んだのは確かだ。

アフガンはもちろんで、知ってるだけでも朝鮮戦争は仕掛けられた意味があるかもしれぬが、その後のベトナムやイラクなどに若者を送り込んでは殺しているアメリカの指導者の神経は測りかねるものがある。こう言っては何だが、最近は自国の若者を戦地に送り込むのを反省したからか、外国に紛争に火をつけて、外国人同士が殺し合うことに趣旨を変えたように見えなくもない。典型はウクライナと南米のベネゼラやボリビアと思うが、最近は香港の学生運動もCIAの資金で動いているなんて噂もある。

どこの国にも外国での工作を担当する組織があるのは当たり前のようで、英国の小説007シリーズやジョン・ル・カレのスパイ小説は読み物として面白いのは事実だ。しかしこういったスパイ工作で蹂躙される国家や、巻き込まれて命を失う人やその家族にすればとんでもに話だ。日本にそのような組織が無いことは良いことかもしれぬが、外国にはその危険が常にあることだけは承知しておく必要がある。

たまたまLINEのサーバーが中国にあったり韓国にあることで大騒ぎになっている。この会社のことは詳しく知らぬが、元ホリエモンの会社にいた技術者が韓国に渡って立ち上げた会社と聞いたような気がする。サーバーの所在は外国の方が当たり前だと思う。小生でさえ時にこのアプリを利用するくらいだから、利用者が8千数百万人と聞いても驚かないし、現在立派な大人になっている孫たちが中学生時代から使っていたことを思うと、何を今更の感がある。

2021年3月23日火曜日

皇位継承問題

 今日、皇位継承策を議論する有識者の初会合が開かれるとの発表があった。近く開かれるとは前々から聞いていたが、そのメンバーが気になっていたところだ。昨日その人選も合わせて発表されている。メンバーは6人で男女3人ずつ。これは良いとして。この人選は誰がしたか分からないが、一寸不思議な気がしている。中で知っていたのは一人だけ、元慶應義塾々長の清家篤氏だけ。清家氏は塾のOBとして行事の際に何度も話を聞いているので、人柄や見識については申し分ないように思うが、それでも専門は経済学者だ。しかも清家氏が座長ではないらしい。では座長は誰か、菅首相自身かもしれぬ。

他の5人は初めて聞く人だが、少なくとも歴史学者は一人もいない。更にびっくりしたのはJR東日本の経営トップや元アイドルの女性タレントや元NHKのニュースキャスターが入っていたこと。更に詳しく見ると、清家氏を別にすると学者らしき専門家は二人だけ、一人は慶応教授の国際政治学者、もう一人は上智教授で行政法専門の学者(女性)で、ご丁寧に今悪名高い総務省御用達のようだ。このメンバーで、果たして平成天皇が退位の際にも心配されていた「象徴天皇のあり方」について突っ込んだ議論ができるのだろうか、と余計な心配をしたくなる。議事録が公開されたら読んでみたい。

今朝の天木直人氏のブログには「誰が何を基準にして選んだのだろう、人選そのものから国民的合意が必要」との文言があったが、その通りだと思う。先の大戦の終戦時の詔勅(玉音放送)の下書きをしたとか、平成元号を竹下首相に提案したとされている安岡正篤氏のような人物は時代錯誤かもしれぬが、せめて憲法学者の木村草太氏のような人を人選に加えてほしかった。

皇位継承問題の再検討はもう大分以前から問題になっていて、一時は御厨貴氏などが中心になっていたような感じもあったが、いつの間にか消えていた。コロナ対策もはっきりせず、東北大震災や原発事故も同様な上に、コロナにも打ち克つことが出来なかったしょぼくれオリンピック議論もなにかすっきりしないまま、日にちは淡々と進んできたし、これからもはっきりしない日が続くだろう。そこに突如浮上した皇位継承問題、学術会議を潰す算段に走るほど学者嫌いな政権でもある。

口先では、「落ち着いた雰囲気の中で静かの討論を」なんて言うが、このメンバーで出来るはずがあるまい。コロナの諮問委員会を見ても、この政権は学者のことが何も分かっていないようで、ピント外れの人材を集めて、本当に必要な学者の意見を採用しないのか、または出来ないのか。愚か者とは言いたくないが、困った政権だ。

2021年3月22日月曜日

今は昔

 今朝は購読しているメルマガで懐かしいことを思い出した。大学に入学して初めて東京に来た時、毎日利用していた山手線の新宿渋谷間の風景が次第に変わっていったことが思い出されたのだ。未だ昭和34年だから戦後の名残があちこちに残っていたが、山手線の代々木から原宿にかける外側、現在は明治神宮と代々木公園とNHKの関連施設で極めてスッキリしているが、当時はワシントンハイツと呼ばれたアメリカ軍関係の施設が立ち並び、日本人は近寄れなかった。

この風景が大学を卒業する昭和38年頃には一変して、オリンピック施設の建設が始まっていた。当時は一寸不思議に思った程度だったが、今朝読んだ元外務官僚の孫崎享氏メルマガ「一人の官僚の動きと1964年東京オリンピック時での米軍代々木施設(ワシントンハイツ)の返還」には次のように書かれている。当初オリンピック村は朝霞に建設の予定であったが、外務省の北米局安全保障課長が代々木の競技場で競技した選手が朝霞まで帰るのは大変だ。競技場の近くにオリンピック村を建設するにはワシントンハイツに朝霞へ移転してもらうのがベストと判断、そしてライシャワー大使に掛け合って了承を得ることが出来た。

ところが、国内でオリンピック担当の文部省が既定事実だからと了解しない(この辺は昔も今も変わらないなぁ)。この課長は諦めずに官房副長官に相談、副長官は当時のルールを破って、この事案を次官会議に掛けずに一気に閣議に提案して、事情を知らずにいた文部大臣の了解に漕ぎ着けたとのこと。

孫崎氏は、当時の北米局安全保障課長魚本氏がソ連大使の時代に部下で、氏が帰国する時大使から直接聞き、「外務省では課長というポストは重要だ。それで政策が作られていく。外務省は課長には好きなように仕事をさせてくれる。自分の信念に基づいて最後までやり抜け。」と激励されたとのこと。

そして次のような文章で締め括っている。

『かつて、霞が関の課長は自分たちが国益と思うことに邁進した。そして日本の政治機構はそれを是としたのである。それは外務省に限らない。多くの霞が関の官僚は生きがいを持って働いていた。「今は昔」のお話です。』

2021年3月21日日曜日

見切り時

 昨夜、高校同期6人のリモートミーティングで、毎年桜の季節に群馬でやっていたのお花見ゴルフを開催すべきかどうかで議論があった。これまでの永久幹事が病気のため当然中止と思っていたが、一人が代わりにゴルフ場を予約したとのこと。小生はゴルフと縁を切って久しいので黙って聞いていたが、皆さんコロナ禍で籠りがち故だろうか、結構開催に思い入れがあるようだった。中には毎週ゴルフをしている友人も居て、ゴルフ場は結構賑わっているらしい。確かに会食さえしなければ、スペース的には全く問題が無いのだから健康的だろう。

まして緊急事態宣言も解除されるわけだし。結局開催で決まるかと思っていたら、八ヶ岳山麓在住のTK君が「長野もだいぶコロナ患者が増えてきたこともあり、春は取り敢えず中止にしようや。」と発言して中止に決まった。ゴルフはおろか、単に外出することさえ困難になった永久幹事のKK君もホッとしたことだろう。この決定の直後小生は「来シーズンから恒例のスキー合宿にも参加しないつもりなので了承願いたい。」旨の発言をした。するとスキーのリーダーだったTK君が「実は俺も膝が大分くたびれてきている。」とのこと。

実際に来シーズンを迎えてみないと分からないが、80歳を過ぎてゴルフにしろ、スキーにしろ、昔のように連泊で夜は酒盛りしながら、連チャンのスポーツは健康には却って有害かもしれない。何事にも見切り時が大切だ。ほぼ全員が、コロナ後は我々の生活様式も大分変化せざるを得ないだろう、てなことで意見が一致したようだ。

諦めが悪いのはオリンピック関係者、これも昨日のことだが、IOC・POCの会長も出席した組織委員会・日本政府・東京都の5者連絡協議で「外国からの観客は入れずに開催」が決まった。では日本人観客の制限があるかどうかは来月決めるとのこと。外国からの観客を拒否してオリンピックと言えるのだろうか、大いに疑問だ。国内でもオリンピッっ開催に賛成する人は少ないが、諸外国でも、日本政府やスポンサー企業が五輪開催を推進していることを「止まらない暴走列車」と批判する声が大きくなってるらしい。至極当たり前の発想だろう。

2021年3月20日土曜日

名誉の問題

 日本ではごく当たり前のように使われる言葉に「普遍的価値感」がある。ずっと違和感があったのでwikiで調べてみた。案の定難しい問題で、敢えて規定すると「具体的には自由や平等、平和」に尽きるようだ。報道は政府が主張する普遍的価値を使用する際に次のように注釈を付すことが多い。即ち(自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づくとしている。自由はどんな個性の持ち主にも理解できるが、民主主義以下は果たして多くの人が得心するかどうか大いに疑問だ。何故ならばこれらは全て社会制度、即ち社会の仕組みだから、時が変われば変化する可能性が高い。

政権が普遍的価値感を平気で使っている国は世界広しといえど日本ぐらいだろう。今週は世界最強と極めて個性的なアメリカと、経済的にも軍事的にもアメリカに追いつく勢いを見せている全く異なる個性を持つ中国の外交責任者がアメリカで対面して、互いに相手を誹謗して激論になった。たまたま週末のイベントだったので、来週になっていろいろな論評が出るのが楽しみだ。今のところは中国がアメリカの作戦に嵌められたとするのが、日本評論家の一般的見方のようだ。兎に角アメリカの新政権は、国内から中国になめられたと思われるわけにはいかぬのだから仕方ない。

日本政府はアメリカ新政権のご期待に応えて立派にその役割は果たした。そのご褒美が何であったか分からぬが、国民に対しては同盟関係が一層強化されたと宣伝している。その無邪気さは良しとしても、アメリカをますますつけあがらせる結果になりはしないだろうか。中国外務省報道官は、日米が中国を名指しで批判する共同声明を発表したことに絡み、日本を「自ら進んで米国の顔色をうかがい、戦略的属国になっている」と非難。日米に対し「内政干渉をやめるよう強く求める」と語った。

この発言を受けて日本の加藤勝信官房長官は昨日「全く受け入れられない」と反論すると同時に正式に抗議したとのこと。当然のことではあるが、アメリカの属国についてはこのブログで何度も使ってきたセリフだ。中国に正式抗議するなら、もっと具体的なことを示して抗議してもらいたいが、下手なことを言えば何倍もの具体的事例が反論されるだけになりかねない。アメリカにしてもアラスカで行われた外交トップ同士の会談でアメリカ国民を納得させることに成功したかどうか、不安が残っているに違いないし、中国側もアメリカに嵌められたとは思っていないだろう。

米中にとっては、最初から今週はジャブの応酬と見てたはずで、これから長い折衝が始まることになる。残念ながら日本だけが、米中の新しい折衝の始まりで、いきなり修復し難いほど国家の尊厳を傷つけられた事実が残った。

2021年3月19日金曜日

落ち目の支持率

 昨日東京都にも出されていた緊急事態宣言の解除(実際の解除は21日)が発表された。しかしホッとしたりさっぱりした気分になれた人は少ないだろう。夕方7時はNHKニュースを観るのが習慣なので、菅首相の発表会見を30分観てしまった。首相の冒頭発言だけでも約20分。我慢して聞いたが、何が言いたいのか意味不明。毎度のことではあるが、残念ながら首相自身も自分が何を言っているのか分かっていないように思った。

今のところ首相にとってコロナ対策は最重要課題のはずだが、首相の頭の中でもっと他に大事な問題があるようにしか思えない。緊急事態宣言が思惑通りにならなかったのは誰の目にも明らかだが、首相はそこを認めず、思惑通りにウィルスを抑え込むことに成功した、と得意げに演説をはじめたのだから白けた気分になった視聴者は多いと思う。芸能人の話を聞くと、これを「掴み」と言って、冒頭で相手の気持を捕まえ損ねると、演目は不成功に終わるとするらしい。

長い演説は婚礼の席なんかでも嫌われる。まして他人に自分の考えを聞いてもらって同調を求める以上は、なるべく簡潔であるべきだ。昨夜の蛇かミミズか分からない大演説を聞いて納得出来た人は居ないだろう。来週からの行動を変えようと思った人の大部分は「よし、これで久ぶりに会社に行ける」とか「学校にも行けそう」とか「友達にも会えそうだ」が殆どで、感染防止に役立ちそうな行動を思いついた人は居ないだろう。地方では早速Go-Toキャンペーンの再開を望む声が上がっているとのこと。

昨日は池袋地下街で和服を着た卒業式帰りの若い女性を数人目にしたが、晴れて卒業式を迎えられそうと喜んでいる若い人も多いだろう。そんな世相がウィルスの感染に与える影響は2週間後の4月の頭から出始めるが、吉と出るとは考えにくい。来週にはオリンピックの聖火リレーがスタートする予定と聞いていたが、本当にスタートできるのだろうか?少なくとも聖火が最終的に灯される聖火台は未だどこに設置されるかも決まっていない。開会式の総合プロデューサーが辞任なんて報道もあるが、オリンピック開催が正式決定になるのは一体いつかだ。

来週早々に関係者のリモート会議で、外国人観客の入場制限が決まるとの報道もあるが、日本の国体に外国の選手だけ招いてオリンピックと言えるのだろうか。菅首相の頭の中は自分の支持率のことで一杯で、あらゆる意思決定は支持率を上げるために行われていると言われている。当面はオリンピック開催に目鼻を付けて、来月初旬にワシントンで日米首脳会談を実現できれば、落ち目の支持率が上昇に転じるとの思いのようだが、そう上手く運ぶかどうかは分からない。

2021年3月18日木曜日

単純外交

 先日日本で開催された外務防衛閣僚同士の会談と、菅首相がバイデン大統領の招聘に応えて来月早々に訪米する予定になったことで、政府はバイデン外交の一番手に日本が選ばれたと無邪気に喜んでいる。この単純さには自分の単純さを棚上げして言うと「そんなに喜んで良いのかい?」

アメリカは超大国だけに世界のあらゆる国と複雑な外交関係を保たねばならない。中には前政権との見解の食い違いもあって、綱捌きにかなりの苦労が予想される国も少なくあるまい。誰にしても新たな作業に取り組む段取りを考える時、先ず複雑困難な場所から着手するだろうか?取り敢えずは易しいところから片付けるとしても不思議は無い。バイデン政権にとって中国との関係構築は非常に頭の痛い問題だろう。

アメリカ屈指とされるランド研究所(戦略研究所)は最近「軍事的に米中が尖閣諸島周辺で戦争すれば、今や、米軍が負ける状態が到来している」と発表するくらいで、軍事的優位が揺らいでいることを認めざるを得ないのが現実となりつつある。従ってバイデン政権は相当慎重に中国外交についての策を練ることが求められている筈だ。不幸なことにバイデン政権には中国に詳しい外交関係者が少ないらしい。少なくとも国務相も国防相共に対中国外交は全く不案内ときている。

従って、この強敵とのせめぎ合いの落とし所は当分目鼻が立たないだろう。その第1発めのジャブ応酬が、中国側からの希望とされているが、この週末にアメリカ国内のアラスカで行われることになった。ついては、アメリカは事前に味方を見せつけ、チームとして強い姿勢を示す必要に迫られた。追い込まれているのはむしろバイデン政権であるかもしれない。日本はもちろんバイデン政権が予想した通りの反応を示してくれたが、先のクワッドに参加したインドの反応はそうは行かず、特定の国を囲い込むようなことには賛成できないとはっきり言った。

この違いもアメリカや中国にとっては予想通りだったかもしれぬが、日本の外交筋にとって予想通りであったかどうか分からない。昨日は米韓での2+2、明日はアラスカでの米中外相会談とインドでの米印国防相会談が予定されているようだ。結果がどんな形で発表されるか分からぬが、興味は大いにある。北朝鮮はアメリカを口を極めて罵っているし、バイデン大統領が昨日のテレビインタビューで、プーチン大統領を「人殺しだ」と名指しで非難したことにロシアが反発、アントノフ駐米大使の召還を決めたとのこと。

米中関係がこんな事にならないよう願いたいものだ。

2021年3月17日水曜日

リップ・サービス

 今日は何故かとても気が楽になったような気がする。先日久しぶりに信州の青空のもとに輝く雪山を間近に見ることが出来たのが一番で、これで急に心に落ち着きが出来た。これまでの人生で縁を得た多くの人に思いを馳せても、最近は既に旅立たれた方のほうが多くなっている。己もあれをしたいこれもしたいと思っても、それは全て欲であり、欲は切りが無い。待望した雪山をひと目見たのを最後にもう欲をかくのはやめようと思った。

亡くなった多くの知人友人を思っても、したいことを100%し遂げて逝った人なんか一人もいない。欲張っちゃいけないと気がついた。老化は誰にも公平に訪れる。老化防止にどんなに躍起になろうと防げるものではない。これからは冥土への着陸を目指して下降に入ることを自覚することに決めた。願わくば下降角度ができるだけ緩やかであるよう祈ることのみだ。

閑話休題1:神奈川県で、肺炎で亡くなった患者二人から新型コロナ変異種が確認されたとのこと。毎度のことで発表内容が中途半端故はっきりしないが、この二人は死亡後までコロナ感染者とは確認されていなかったらしい。とすると死亡するまで入院していた病院関係者はどうなるのだろう?関係者への検査結果については何一つ報道されていない。

閑話休題2:アメリカの国務長官と国防長官が来日。日本で昨日閣僚級会談後の記者会見で確認事項が発表された。内容は中国の軍事的脅威が増すことへの警戒心を強くアッピールするもので、政府は期待したとおりになったと得意になっている。では、一連の報道を中国側はどう見てるだろうか?安倍政権はトランプ氏を令和天皇の国賓第1号として接待したが、習近平主席を続いて招待することを中国側にも伝えていたはず。幸か不幸かコロナ騒ぎで「どうぞお出掛けください」と言わずに済んでいるが、よりもよってこうあからさまに敵視して良いものだろうか?大いに疑問だ。アメリカ国務長官ブリンケン氏はバンド活動するほど音楽好きで、好きな曲が「リップ・サービス・モンスター」とのこと。

序に言えば、昨夜自民党の右派議員、元自衛隊員の佐藤正久氏の発言「アメリカが尖閣諸島の日本の施政権を認めても主権を認めないのは分かりきったこと。日本人が先ず島を守らない限りアメリカ軍が応援に駆けつけることはあるまい。」ここまでは常識的でよく分かる。問題は続いて発した「だからこそ、日本の主権を主張できるよう、島に誰かを(必ずしも自衛隊員でなくてもいいが)居住させる必要がある。」

非国民と言われるかもしれぬが、尖閣は本当に我が国にとって必要なのだろうか?若い人たちにはよく考えてもらいたい。

2021年3月16日火曜日

理解不能

 もう随分昔のことになる小泉内閣時代に郵政改革が行われた。国会でも激しい議論となったことだけは覚えている。それまで郵便事業は国の事業であり、司ったのは郵政省だった。当時似たように国民からお金を巻き上げる役所に大蔵省があって、税金を徴収し、配分する権限を持ち官庁の中で最高の権威を持っていた。一方の郵政省は少しく変わった役所で、今も郵便局が行っている郵便事業と国民のお金を貯金の形で集めて、平たく言えば銀行のような機能を果たしていた。職員は勿論国家公務員だが、何万社あったか記憶がないが、郵便局は家業として受け継がれた家が少なくない。

15年以上前のことであり、記憶は薄れているが、小泉氏は郵便局員に給料を支払うのは国家的損失だから、これを民営化して、彼らに税金を払ってもらうようにしようと国民に訴えた。訴えが正しかったかどうかを判断するほどの理解力は持ち合わせないが、多数の国民がこれを支持して、自民党は圧勝した。当時の選挙での自民党スローガン、「郵政が民営化されれば日本は全てが良くなる」と言ったオールマイティー的なものだった。当時郵政事業を通じて政府に集まった資金は350兆円強と言われ、政府はこれらを旧日本道路公団や住宅金融公庫などの特殊法人へ貸し出す「財政投融資の原資」として、ある意味第2の、或いは裏の予算となっていたのも事実だ。

こういった不明朗さが無くなって誕生した日本郵便株式会社だから、国民にも日本郵政にもハッピーであるべきだ。しかしその後の国民はともかく、日本郵政は余りハッピーだったとは言い切れないようにも思う。日本郵政は従業員数25万人の大企業で、他のメガバンクにと比べて遜色ないと思うし、近くの郵便局には年金が振り込まれ、勿論お世話になっている。しかし、事業内容が異なる3種に分かれ、従業員が圧倒的に多いことは必ずしもアドバンテージばかりは限らない。不祥事も比例的に多くなる必然もある。


民営化当時持て囃された日本郵政の株式は、処分も発足当時見込まれたようには進まず、株価も低迷し続けている。投資家が、この半官半民状態をどう評価するか分からないが、当初政府が目論んでいたようにはいっていないと思う。そのことはおくとして、先週突然日本郵便が楽天株式会社に1500億円を出資して業務提携を行うことが発表された。日本郵政と楽天の両社長が共同記者会見を行い、テレビで大々的の報道されたのでご承知の方が多いだろう。両社長とも胸を張って双方にとって大いにウィンウィンでこれに勝るもの無しの感があった。

楽天という民間企業は馴染みが無いせいもあって、どうも胡散臭く思えてならない。片方は半分官庁のような会社だけに、なにか不都合なことが起きはしないかと心配だ。

2021年3月14日日曜日

明日は休みます

 宇宙を司る神の気まぐれだろうか、昨日の雨と雷の激しさには恐れおののいて結局終日家に閉じ籠もってしまった。毎日歩くことだけが唯一の健康法であるので全く外出しないのは本当に珍しい。ところが今日は打って変わった快晴、しかも気温がまるで春たけなわの感じで、全国の桜開花予想では、どこの地域でも例年より1週間以上早いだろうと予想している。コロナ感染者が少ない山梨県だったかの知事は、「大いに花見を楽しんでください。」てなことを言って経済効果を上げたいようだ。

東京都知事はこれと正反対の「ひたすらステイホームでお願いします。」なんて言っているが、もういい加減辛抱に飽きた。明日は久ぶりに一人旅に出るつもりだ。今月は次女と筑波山にハイキングをする約束になっているが、未だなんにも言ってこない。ひょっとすると来月に持ち越される可能性もあるので、取り敢えず一人旅で浩然之気を養い、心を癒やすつもり。昨夜の高校同期生のリモートミーティングでは、屋内でストレッチやヨガをすることを勧められたが、屋内にいると子供と一緒でパソコンのゲーム(ネット囲碁)から離れられない。昨日なんかは8時間近くやってしまった。

流石にこれだけやると、頭がクラクラしてしまう。子供や孫に注意したことが無いから良いようなものだが、ゲームに熱中している孫たちを叱る資格は全く無い。やはり昨夜の友人の話になるが、現在社会問題化しているコロナを担当する官僚の300時間を超える残業問題に及んだ。少し前にここでも書いたが、これは給料の焼け太りで同情に値しないと思っている。しかし友人たちは結構深刻に捉えているらしくて色んな意見が聞けた。中で感心したのが友人たちの経験談。一人は5日間徹夜の経験があり、もう一人は「俺は3日間はあるな。」とのこと。

これにはびっくりで、恥ずかしながら現役時代であっても徹夜は皆無に等しい。強いて言えば麻雀で1回か2回あったかな程度の話だ。昔45歳頃だったかな、大阪に居た頃、得意先の課長さんのお供で婦人誌大阪支社長の別荘に3組夫婦で旅行したことがある。6人で飲み始めて最初に寝てしまったのが小生で、徹夜で飲み続けたのが我妻。朝起きるとケロッとしていたことを思い出した。二人で泊りがけの旅行なんて殆どしなかったので、いつまでも記憶に残って結構なことかもしれない。今朝、朝一番のお勤めで仏壇に水とお茶を供えた時に「明日は久ぶりに出掛けるからお勤めは勘弁ね。」と言ったら、「行ってらっしゃい、たっぷり楽しんできてね。私は昔から一人で居るのが一番楽しいから。」と応えてくれたような気がした。

土産は秩父方面なら「杓子菜」、長野であれば「野沢菜」、越後湯沢なら「かんずり」なんかに相場が決まっていたが、もう土産は要らなくなってしまった。 

2021年3月13日土曜日

クアッド

 最近急に流行りだした言葉に「クアッド」がある。昨夜(12日)夜、その首脳会議がオンラインで開かれ、次の4点で合意に達したとのこと。1.途上国へのワクチン普及2.半導体や資源の中国依存の見直し3.中国の海洋進出や人権問題への対応4.脱炭素に向けた協力。日本は菅首相がアメリカから早期訪米を要請されたこともあり、会議には積極的参加をしただろうが、インドのモディ首相は開催前から「クアッド」が事実上の「対中包囲網」となるのを懸念していた。そこで今回は安全保障を前面に出すのを控えて環境問題など幅広い課題を話し合う体裁を整えたようだ。

バイデン政権前のトランプ氏の時代からそうだったのかもしれぬが、アメリカ自身はパックス・アメリカーナ(アメリカによる世界平和と秩序)と言われた世界がとっくの昔に終焉を迎えたことに気がついているのかもしれぬ。実は小生もそのことには気がついていなかった。ドルが世界唯一の通貨であり、国連もアメリカの支配下にあるからには、世界中ががアメリカの意に反する行動は取りにくい筈だと思っていた。

しかし中国やロシア、ひょっとすればEU諸国でさえそうは考えていないようだ。アジアの他の諸国はどうか分からないが、どうも韓国は北朝鮮問題を抱えているのにアメリカ一辺倒について疑問を持ち続けているフシが見える。アメリカの本音は「クインテット」としたかったと思うが、手間暇掛かりそうなので取り急ぎカルテット即ち「クアッド」で我慢したのではなかろうか。この中で言えば、勿論杖とも柱ともしなければならないのが日本であるのは言うまでもない。パックス・アメリカーナ崩壊の最大要因である中国の勢いを削ぐためには何としても日本をあちらに向かせないようしなければならない。

あの手この手で日本に嫌中ムードを盛り上げるのに必死のようだ。菅政権は親中派の二階幹事長に支えられてはいるが、肝心の菅氏は今のところ前安倍首相同様アメリカ一辺倒である。少し飴玉をしゃぶらせれば、そのうち弾道ミサイルの設置も認めるだろう、くらいに考えて不思議は無い。政治家以上に手玉に取るのが普通は困難とされるマスコミも、大部分が親米的であるのお日本の特徴だ。

小生は嫌中には与しないが、かと言って嫌米でもない。両国は現在厳しい環境下にあるが、双方ともに大人だろうから妥協点は見出しうると楽観している。アメリカは若い国だけに老大国に追い上げられていることに強い焦燥感を覚えているだろうが、世界平和(パックス)に貢献ということについては異議の申立ようが無い筈。お互いに相手国の国内をどう見るかが焦点になるだろうが、時間を掛けてゆっくり話し合えば良いだろう。今朝の日経新聞で報じられた中国の無人タクシーに記者が試乗した感想には本当に驚いて詳しく書きたかったが、寄り道が過ぎてしまった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM114FD0R10C21A3000000/?n_cid=NMAIL007_20210312_Y&unlock=1

2021年3月12日金曜日

季節も変わる

 近くにある小学校(廃校)の校庭にある辛夷の木。例年であれば巨大なソフトクリームのように真っ白に盛り上がるのだが、昨年秋に入った植木屋の職人が無残なまで枝を払ってしまったようで、スカスカ状態、それでも花が満開になってことが分かる。桜は未だだが蕾は大分ふっくらしてきたし、アカシヤの黄色と下に植わっているユキヤナギの白さが対照的で綺麗なものだ。我家の庭もボケが花を開き始めている。

昔はプランターが所狭しと並んでいて何がなんだか分からず草花が咲いて、春になると菫のお浸しが食卓に上ったことを思い出した。家内があの世に行ってすぐそのプランターは全て処分してしまった。兎に角、趣味が大違いで、こちらは何事もさっぱりしていないと気がすまない質。誰が見ても分からないことが無いようにしたいのだ。従ってボケの花と言っても木自体が50センチあるかないかだから花の数も勘定できる程度の話。大きめな木としては白い椿が1本あるが、これも先日枝を刈り込んで不景気な花の付き具合だ。

何れにせよ我が世の春と言うわけにはいかぬが、江戸の季節はまさに春、このまま進めば、あと1週間くらいで春爛漫となるだろう。この冬は上越での降雪が異常に多かった割に東京では雪が殆ど降っていない。年寄りには何かと便利だったが、果たしてこのまま行くかどうかだ。

季節は兎も角、コロナ対策はワクチン接種が全世界で始まり、こちらも世界的には様相が一変しつつある。人口の70%がワクチンなりで抗体を持つようになれば、その国は一応ウィルスを抑え込むことに成功とされるとのこと。アメリカ政府がワクチン接種を強力に推進して7月までに全国民への接種を完了する予定と発表したこともあり、世界一のコロナ感染国にも拘らず、これまで市民に要求していた制限を解除し始めている。テキサス州は飲食店の営業時間やマスクなどの規制を一斉に解除したし、ニューヨーク州でも映画館がオープン(但し入場者は客席の25%まで)したそうだ。

とは言ってもブロードウェイの芝居小屋は早くても5月までは再開にならないとのこと。変異種の拡大が心配されている欧州でも徐々に解除が始まっている。毎朝この報道を観て思うのは、少なくとも欧米では制限の解除がきめ細かい。日本もオリンピックを開催したいなら、ワクチンは勿論だが、それ以前の問題として都道府県別の感染状況でなく、もっときめ細かな感染状況の把握に務めるべきだ。ほぼ1年前に安倍政権が打ち出して、結果何も成果が上がらなかった全国の学校一斉休校の反省が未だ出来ていないとしか思えない。

環境の変化に対応して対策を変えていかねば、いつまで経っても蟻地獄から這い出ることは叶うまい。

2021年3月11日木曜日

喧嘩状態であっても

 千年以上前の平安時代の唐に渡った日本僧、円仁の記録には都の長安に日本の大使館があったと書かれていた。昔から国を代表する者は礼を弁えることに腐心しただろう。近代の国家間外交手順はプロトコルと呼ばれて定着しているらしい。

そんなことを知らない子供の頃、鎌倉時代に大陸から元(今の蒙古かな)の大軍が突然日本に押し寄せ、神国日本は窮地に陥るが、神助の台風の力を借りてこれを見事に撃退したと教わった。しかしその後少し歴史が分かるようになると、元は先ず外交文書を送ってきて、両国間の新たな関係を提案してきたらしい。文章の内容が無礼だったかどうか知らぬが、当時の幕府は文書で応えるまでもなく、使節を斬り殺したらしい。外交使節を切り捨てるとは今聞いても褒められることではない。

その他倭寇などもあり、日本は長いこと野蛮な国だと見られてきたのかもしれぬ。それが近年なると、真珠湾攻撃で国交断絶の外交文書の交付前に戦闘を始めたので、今度は卑怯な国家の誹りを受けてしまった。これは事務の手違いとも、或いはアメリカの謀略で、事前に日本の段取りがアメリカに筒抜けになっていたので、意図的に仕向けられたとの説もあるが、卑怯な行為はアメリカ国民だけでなく全世界に定着してしまった。そんな芝居見たいことをやっていられるものか、考える人も多いのだろうが、近代でも外交の作法は重要だと思う。礼に始まり礼に終わる作法の第一は文書の交換だ。

同年輩以上の方であれば、ごく当たり前のことだと思うが、通信手段が多様化して極めて安直になったので、この当たり前が当たり前でなくなりつつある。市井の民はそれでも仕方ないが、国家間の付き合いに関してはそれではいけない。日本の政治家はそこの理解が大分不足しているので心配だ。特に最近、と言っても1年以上前のことだが、日韓関係がギクシャクし始めた頃のことだ。日本の経産省が韓国の担当者をいきなり倉庫のような部屋に入れて談判に及んだことがあった。このとき外務省がどんなアドバイスをしたか知らないが、報道を見て、不見識で嘆かわしいと思ったことを記憶している。

アメリカにバイデン政権が誕生して既に2ヶ月が過ぎた。新政権は国内的には念願だったコロナ対策に重点を置いた大型予算(200兆円と言われる)を今週成立させることに成功、外交の動きを本格化し始めている。バイデン氏の外交で一番重要視しているのは昨日も書いたように対中政策。中国を新たに経済的にも軍事的にも頭角を現し始めた最大の競争相手に置いているのは間違いないところだろう。両者の関係が険しいことの是非は措いて、両国の外交責任者がアラスカで会談することが決まった。アメリカの国務・防衛2大臣が日本訪問から帰国途中のことである。

2021年3月10日水曜日

米中摩擦

 今日3月10日はアメリカ軍に依る東京大空襲があった日だ。アメリカ民主党のバイデン政権は昔から軍事力行使を辞さない政権とされているが、最近その本領を大分発揮し始めていることが気になり始めた。今日の報道でびっくりしたのが、バイデン政権で新たに指名されたインド太平洋艦隊司令官(こんな役職も初めて聞いた)新任のための議会公聴会での発言だ。詳しい内容はネットで検索しても未だ見つからないので、印象に残っていることだけになるが。先ず、同盟国の韓・日・豪・印4カ国との協力強化が第一と述べた中で、日本海軍の優秀さについて述べた件だ。

「日本海軍は奇襲上陸作戦機能に於いて十分な訓練を受け、優れているパートナーだ。」海上自衛隊が米軍の訓練を体験していることは知っていたが、奇襲上陸作戦で十分なそれを受けていたと知る日本人はどれほどいるだろう?最近やたらと尖閣諸島の報道も多い。元ワシントン駐在だったテレビ朝日の記者によれば「1年ほど前まではワシントンで尖閣諸島と言っても、「それどこの島?人が住んでいるの?」なんて質問が多かったが、最近は殆どの人が知るようになっているそうだ。

確かに中国は海警局の戦力を増強して、尖閣海域への進出ぶりは日本側からすれば神経を逆撫でされていることだろう。何度も書いているが、尖閣問題は日中間にある厄介な問題には違いない。であれば、その問題解決のための外交努力が先ず必要だと思うが、日中間の外交努力はどうなっているのか?嘗ては日中間の2+2会議が開催された時代もあったと記憶するが、最近はそういった動きは聞かれなくなっている。米中間がきな臭くなってきたバイデン政権だ。アメリカが日本にとって重要な同盟関係にあることは理解するが、中国もまた経済的見地に立てば、かけがえのない隣国だろう。

近くアメリカの2が来日して、日本で2+2会議が持たれるそうだ。アメリカが中国の海洋進出を抑えるために韓国と同じ程度の比重で日本を利用しようとしていることは歴然としている。アメリカの思惑は云々しても始まらないが、日本が100%アメリカの言いつけ(要求)に従わなきゃならないこともあるまい。外務省にしても防衛省にしても毅然たる態度が取れそうな政治家がいるとは思えないのが残念だ。

さはさりながら、マスコミも米中激突とか尖閣危機を煽って右翼政治家を元気づけるだけが脳ではあるまい。アメリカも中国も日本からすれば同様の軍事力と経済力を持つ巨大な大国であり、どちらとも喧嘩はできない。しかし対話は共に可能なはずだ。特に中国はコロナ対策に成功しているだけに対話の余裕があっても不思議は無い。今年は共産党創立100年のお目出度い年のようだから、お世辞を言うには最適だろう。最近は気安くテレビ会議が開くことが可能らしいから、大いに利用するのも一案だと思う。

2021年3月9日火曜日

名局鑑賞

 三寒四温とはよく言ったものだ。3日ほど肌寒い日が続いたが、今日は春らしい暖かさでホッとする。絵画や音楽を鑑賞する趣味は殆ど無いが、今日は名局を1時間半掛けてゆっくり鑑賞した。名曲に非ずして名局とは勝手に思っているのだが一昨日のNHK囲碁対局準決勝の一局「一力遼vs山下敬吾」日曜日の夜録画で観たのだが、もう一度観たくなった。絵画が好きな人は何度見ても好きな絵は見飽きないらしいし、音楽好きな人も同じだろう。

こちらもネットでヘボ碁を毎日のようにしているが、やはりプロの美しいとも言うべき鮮やかな打ち回しは何回も見て暗記したいほどだ。事実本格的に囲碁を勉強している人はプロの棋譜を何度も並べて諳んじるとしたものだ。一力氏はまだ大学を卒業したばかりの若手棋士、既に第45期碁聖位。第46期天元位のタイトルを獲得して「令和三羽烏」の一人とされている。対する山下氏もタイトルをいくつも獲得した経験があり「平成四天王」の一人とされている。

結局年齢的に20歳近く若い一力氏の勝利になったが、見応え充分で大満足。小説なんかだと読後感を書けるが、囲碁については具体的感想を言えるほど理解できていないので、個人的に名局と感じただけに留める。

2021年3月8日月曜日

役人がまた生贄に

昨今の世相を見ていると、コロナや原発に関する政府の無為無策等々書きたいことが山のようにある。今日はこれらを措いて久ぶりにマスコミについて書く気になった。世論の形成に関しては、活字媒体にせよ放送媒体であってもマスコミの力が大きいのは言うまでもない。中で抜きん出てるのは、なんと言ってもテレビであろう。テレビ局のNHKは国営放送みたいものだから例外として、全国をカバーしている民間放送のネットワークは5系列ある。

日本テレビ系・テレビ朝日系・TBS系・フジテレビ系・テレビ東京系だが、何れも親会社は新聞社で、日本テレビは読売新聞、テレビ朝日は朝日新聞、TBSは毎日新聞、フジテレビは産経新聞、テレビ東京は日経新聞と言うことに一応なっている。従って日本のマスメディアの大半は、今や宅配率が低下して大衆への力が弱まったとされる全国紙の影響下にあるとも言える。嘗て冗談半分で、日本にはクオリティーペーパーと言えるものは存在せず、唯一言えるのは「日刊ゲンダイ」だけだ、と書いたことがあるが、昨日似たようなことを言っている人がいた。

元博報堂社員だった本間龍氏だ。彼曰く「いま世論では総務省の接待疑惑が大きな問題化している。この問題は週刊文春が最初に菅首相の長男が東北新社の認可問題に絡む接待に関与したと言うことから始まって、山田内閣広報官の辞任に発展した。ところが、これは序の口で、最近はNTTの接待問題に発展してきているが、こちらが本丸である。何故ならばこのことは既によく知られた構造的問題で、旧郵政省とNTTは言わば本家と分家のようなもので、ズブズブの関係にあるのはマスコミ人には常識となっているからだ。」

確かに国会でも大騒ぎになっている割には、新聞もテレビも問題の本質に迫る気配は全く見えない。要するに政府から土地を貰ったり消費税を減免してもらっている新聞社は勿論だが、電波の許認可を受けている放送局も、経営的には政府に面倒見てもらっているので、幹部クラスは政府高官となあなあの関係にあることはなにもNHKに限らず、同じ穴のムジナ状態にある訳で、構造的接待問題を穿りたくないのだ。本間氏に言わせれば「もはや日本で民主主義を守るメディアは文藝春秋だけしか無いと言っても過言ではない。」とのこと。

文藝春秋社が民主主義の旗手と言えるかは少し疑問で、かなり右寄りの出版社だと思っているが、この際措くことにしよう。NTTが都内に高級な接待所を設けていることも明らかになっているが、似たような施設は民間には多数あるのだから新聞社や放送局にあって不思議は無い。もちろん政府にも迎賓用施設は多数ある。あれば使いたくなるのも人情としては理解できる。会費を払ったのだから公務員倫理規定に反してるとは思わなかったそうだ。普段見過ごされていることが、ある日突然問題化する。これも如何なものかだ。 

2021年3月7日日曜日

何が緊急かね?

 もうだいぶ前から今日で緊急事態宣言が解除され、生活が少し楽になると考えていた都民は少ないだろう。だから明日以降の生活にも特段の緊張感が増す筈もない。昨日と同じ態度の生活が明日以降も続くだけのことだ。政府も、頼りとされている専門家集団も当然分かっている筈だが、何故同じようなメッセージしか出せないのか?血の巡りが悪いことを自ら証明しているに過ぎない。常識的に考えれば、2週間後は今日より感染者が増え、重症患者数も改善されずに死者数も増え続けているだろう。 

3月21日に現状が改善される根拠があるなら是非提示してもらいたいが、提示できる専門家は居ないようだ。毎日のように前を通る居酒屋のシャッターには「1月8日から当分の間休業します」の紙が貼られたままなので、紙が破れかけている。店主は1日6万円の休業手当 を貰ってほくそ笑んでも、働き場所を失った従業員はたまったものではあるまい。政府も自治体も市民の行動に対して注文を出し続けるだけで、自らはこの1年間に何をしてきたか?マスクを配ったり一人10万円の特別給付金を1回配っただけで、他に特段のことは皆無に等しい。

最近世界各国で始まっているワクチン接種については殆ど周回遅れで、年内に全国民に行き渡る目処さえ立たない状況ではないか。ワクチンは国産化は実現ができなかった。これも政治の無策だろうが、ワクチンのみならず、薬品についても様々候補があるにも関わらず、何一つ緊急承認されていない。政府は口先で緊急事態を唱えながら、事態の緊急性を全く自覚出来ずに居ることが歴然としている。これで7年前の計画に基づいてオリンピックを開催する気でいるとすれば、まさに狂気の沙汰だ。

医療関係も改善できていない。コロナ感染が広がる前は医療については先進国と思っていたが、これも裏切られた思いだ。ワクチン接種が始まって、医療従事者が500万人近くいると初めて確認された。この数字は諸外国と比べても遜色ないだろう。しかしコロナ対策に限定して見ると、適切な運用下にあるとはとても思えない。未だに入院できずに居る感染者数は全国では1万5千人、都内だけでも1500人も存在している。

国全体で感染者が一人発見されても大騒ぎになる国があるのに、この差はなんだろう?結局は政治のご粗末、何事も後手後手で、前向きな対策を打てなかっただけのことだ。先手と後手には天地ほどの差があること殆どの人が認めるだろうが、被害を被っている人に対しての救いは一向に発動しない。何が緊急事態なんだろう?

2021年3月6日土曜日

リーダー不在

 政府はだいぶ以前から「働き方改革」なる標語を掲げている。何を目指してどんな法案が成立したか知らない。要は日本に古くから伝わる縦型社会の働き方、即ち「遅れず休まず働かず」。特に役所に多いとされるこの非効率な働き方を改めることを目的にしたのかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。昨日の報道によると「政府は5日、新型コロナウイルス対応を統括する内閣官房の対策推進室で、平均の超過勤務時間が今年1月、122時間に上ったと明らかにした。」とある。国民の多数はまともに受け止めて、官僚が可哀想だと思うだろうが、そうは思わない。

同室には102人が勤務、厚労省では単月の「過労死ライン」を100時間と見てるようだが、最も多かった職員は378時間だったとのこと。現役を退いて長いので現状は知らぬが、昔大蔵省時代の話だ。次年度予算査定が本格化するのは毎年年末近くになってから。この時期になると大蔵省主計局職員や、対応している各省庁の会計担当部署職員の幹部クラスは何故か夜仕事するものとなっていた。出勤は午後からで査定に関する各省庁への指示は夕方、大蔵省幹部は夕食を官官接待民間接待か知らぬが、外でとって深夜に役所に戻る。

ここで報告を聞いて、「じゃあ今日はここまでにしよう。」てなことで、対応している官庁に連絡が行き、やっと職員は開放されてタクシーでの帰宅となる。上がそうであれば下がどうなるかは言うまでもない。当時は霞が関官僚の超過勤務手当は一定額でで打ち切られていたので今度報道されたようなことは無かったが、代わりにノーパンしゃぶしゃぶ事件なんかが面白おかしく取り上げられた。

今は働き方改革のお陰で、霞が関官僚は超過勤務を青天井で申告できるようになったに違いない。いくらアホな大臣の下でくだらぬ仕事を言いつけられても、まともに月に100時間も残業なんか出来るはずがない。土日祝祭日もアホな大臣が役所に顔を出したりするので待機だけはする必要もある。普通に考えれば誰にもすぐ分かることだ。そもそもこんな役所に100人以上のスタッフを集めて余計な仕事をさせる必要があるか大いに疑問で、むしろ所管官庁の痩せ細りを心配すべきだ。安倍内閣以来、内閣府が焼け太りを始めているようだが、国家行政の目詰まり箇所が増えるだけで、事実が物語っている通り何一つ実効は上がらない。

想像するに昔と根本に於いて何も変わっていない。なんと言っても律令国家の陰を引き摺っているくらいだから、今に始まったことではないが、政治家は行政の目詰まりを正すために送り込まれているはずなのに、問題を発見→解決する意欲に乏しいのせいだと思うが、枝葉末節でつまらぬことを言い出して、行政の混乱だけを拡大している。やはりリーダー不在の国家はどうしようもない。早くまともな政治家が出現して欲しい。

2021年3月5日金曜日

ボランティア活動

 自慢にはならないが生まれてこの方、所謂ボランティア、社会奉仕活動に参加したことが一度もない。報道では何か大きな災害が発生すると必ず、自然発生的に災害復旧の手助けのために駆けつける人が沢山いらっしゃる。10年前の東北大震災の時は、かなり長期間タレントなども入り混じって多くの人が思い思いの場所に駆けつけた様子を何度も目にしたものだ。このような行動に出る人には大いに敬意を払う必要があるだろう。

更に、このような事態にテレビで盛んに呼びかけられる募金があるが、これにも一度も応じた記憶がない。社会と言えば知らない人の集合体と思っているので、見知らぬ人のために時間とお金を割くほど暇でもないし、経済的余裕も無いと思っているからだ。ただ町内会で毎年秋に回ってくる赤い羽根募金だけはしているが、見方によっては相当ケチな爺ということになるかもしれぬ。どうしてそうなったか理由ははっきりしない。幼い頃育てられた祖母も両親も、それなりに社会への奉仕はしていた。

祖母は元来愛国婦人会に所属して社会奉仕は積極的に行っていたし、母も大学婦人協会と言う組織を通じて同様の活動をしていた。未だに記憶していることに、松本在住時代に少年刑務所の慰問に同行したことがある。息子である私に余り語ったこともないような調子で受刑者に語りかけていて不思議な気がしたものだ。ただ、その母も自分の子供達のPTA活動には殆ど参加しなかった。代わりに祖母と家内は教育熱心で、子や孫が通う学校の校長先生からは煙たがられていた可能性もある。

父は普段社会奉仕に熱心だったとは言えないが、相当大きくなった頃だから昭和30年代初めころだったか、何かの褒章を受章した際に故郷の北塩尻小学校に10万円を寄付して「小林(我家の姓)文庫」を作った。このことはこちらがリタイアしてから田舎の従兄弟と近くの知り合いの家に立ち寄った際、話題になったので驚いたことがあった。従って、こちらはとんでもない不肖の息子であり孫でもある。

こんな不名誉な話を書いたのは今朝観たテレビの影響。異なる番組が2件、同じように海外のボランティア活動を取り上げたからだ。一つはロシアの放送で、プーチン大統領がクレムリンにコロナ対策に協力している青年男女20数人を招き懇談したニュース。プーチン大統領が見たこともない笑顔を浮かべて「皆さんお陰でコロナもやっと沈静化に向かい始めた。」と感謝を述べていた。

もう一つはニューヨークからのレポート。こちらは低所得者層が密集しているブロンクス地区のボランティアのレポート。ネット環境はおろか英語もままならないお年寄りの家を1軒ずつ回ってワクチン接種をサポートし、その日は1日で130人かを接種まで持ち込んでいる。公的な支援にはどうして目が届かないことが発生しがちだ。その隙間を埋めるのがボランティアだろうが、アメリカにせよロシアにしても政府なりが経済的バックアップもしているようだ。

2021年3月4日木曜日

ワクチン問題

 新型コロナのワクチン接種が日本でも始まっているが、400万人以上居るとされる医療関係者にさえ接種は終わっていない。理由は簡単なことで、日本には国産ワクチンの開発ができず、全て外国産に頼らざるを得ない事情にある。海外にはワクチンを製造している会社が何社も存在しているが、その何処とどのように交渉して、結果どのような購入契約が結ばれたのか、さえはっきりしていない。ワクチン担当大臣なるポストが出来ているが、担当河野大臣が交渉を指揮している形跡はない。

一般には厚労省の然るべき部署がその任に当たっていると言われるが、田村厚労大臣からも詳しい説明は無い。どうしてこんな簡単なことが具体的に説明されないのか、野党も何故具体的に問い質さないのか不思議でならない。河野大臣は今後の輸入日程を得意げに発表してるが、基本的な契約内容の説明が無いので余り意味が無い。それでも我々老人には4月の連休が始まる頃には接種が開始されるとも言われる。

外国の摂取状況を確認すると、最も進んでいるのがイスラエル、既に国民の9割が接種済みとのこと。イギリスが3位で約32%、アメリカが4位で約24%らしい(何れも日本経済新聞社と英フィナンシャル・タイムズが集計した今月3日の数字)。ところが昨日の発表によると、アメリカのバイデン大統領が「国内全成人に対するワクチン接種を5月末には終わらせる。」と宣言したとのこと。随分なホラを吹いたようにも思うが、本気らしい。

何故か、戦時に軍需物資増産のために制定された国防生産法を持ち出し、医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)による新型コロナウイルスのワクチン生産に同業の大手メルクを協力させるとのこと。つい最近承認されたJ&Jのワクチンは、1回の接種で済むことに加え、温度管理も比較的高めでも管理が可能とされている。このスピード感は何に例えるべきか、言うまでもなく戦争そのものだ。バイデン大統領は共和党大統領に比べれば戦争好きではないだろうが、戦争に深くコミットしてきたことは否めない。

就任して間もないのに、イランに対する威嚇のためにミサイル発射したのも事実だ。ミサイル発射は頂けないが、ワクチン開発をスピードアップすることに関しては、国内外ともに異を唱える人は少ないだろう。因みに先に記した国別ワクチン接種状況調査に依れば、日本は1%に満たない状況にある。

2021年3月3日水曜日

女三四郎

 今日はひな祭り、桃の切り花を買い物袋に挿してトボトボ歩く老婆が居たし、若くて元気そうな親娘連れも沢山いた。弥生の空明るいが、しかし昨夜東横線が止まる架線事故起こした夜来の強風は残っていて、しかも相当に冷たい。今度の日曜日には緊急事態宣言の解除があるかと、少し期待もしたが東京・千葉・埼玉の3知事が反対するとの噂。仮に政府から解除宣言が出ても、今暫くは自粛せざるを得ないだろう。パソコン頼みで孤独感を味合わずに済んでいるようなものだが、今朝のテレビに依ると孤独・孤立が社会問題化して内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」を設置、担当大臣まで出現する始末だ。

母子家庭の一人っ子なんかを思えば分からなくもないが、どんな支援策が生み出されるのか?気になるところだ。何をするにしても先ず費用が要るだろうが、既に予算案は国会に提出済みだ。内閣府にはやたらと「〇〇室」が作られるが、役人が何人居るかも知らぬが、本当に孤独で孤立している人間の現状把握だけでも難しかろう。それこそ市町村レベル(東京で言えば区も含まれる)で家庭内で一人置き去りになっている主に子供の実態をどこまで把握できているかが問題の筈。これ無くして内閣の頂点でいくら騒いでも始まらぬと思う。

気になっているオリンピック問題も、近日中には結論を出さねばならぬだろう。昨夜観たテレビでは、テニスの全豪オープンを取り仕切った人物が「東京オリンピック開催は無理だ。もし開催するなら期間を延長して分散開催にしなければならない。」至極まともな見解を述べていた。ゲストとして出演していた組織委員の柔道のオリンピック・メダリスト山口香氏も、オリンピックのために日本国民を犠牲にすることはできない。IOCは単なる民間団体だからバッハ会長の立場と日本の組織委員会は意見が異なって当たり前。橋本新会長もそのへんはよく分かって判断してくださるだろう。」とこれまた常識的なコメントをしていた。

一人、衆議院議員の鴨下一郎氏(自民党ワクチン対策PT座長)が何を考えているか知らぬが、オリンピックを開催することは一種の国際公約だから最大の注意を払って開催に漕ぎ着ける必要がある、との発言。話が戻るが、山口氏は今週リモートでの開催が予定されているバッハ会長・橋本組織委員長・主催者の小池都知事・日本政府(首相かな)四者会談では、会長の橋本氏は中止を含めた日本の立場を明確にすべきとも発言。彼女は仮に開催しても海外からの観客を受け入れることは先ず不可能だろう、と明確に言いきっていた。

彼女は森前会長の後任に一時名前も出ていたが、なる程ものの考え方、話す内容がしっかりした女性だと改めて感心した。さすが女三四郎だ

2021年3月2日火曜日

政官関係

 国政選挙の度に国民の約半数は投票しているのだから、政治には一定の関心があるはずだ。関心の度合いの差があるから人によって異なるだろうが、昨今の政治の有り様に疑問を抱く人がいて不思議は無い。「俺が投票した政治家は、国会で一体何をしているのだろうか?」そもそも国会は立法府だから法律を作るのが主たる仕事のはず。故田中角栄氏が33本もの議員立法を成立させていることは有名だが、国会中継なりテレビの報道で法案審議なるものを観た記憶が無い人が多いと思う。

最近観るのは行政に関係することばかりで、政府側からは「コロナ関係でこのような対策をします。」とか具体的には言わないまでも「携帯料金の値下げをします。」「尖閣諸島防衛のためにこんな方策を取ります。」のように、大臣が態々こんなことまで言うのかね?と疑問に思うようなことばかり。一方の野党は行政の不始末を追求するのが専門で、それをもって政治家の監督責任追求の火種にさえすれば満足の体にしか見えない。言いたいことは、与野党ともに、この国を進める、或いは育てるために今何が必要か、についての議論が国会で行われてほしいが、そういった意味での討論は殆ど皆無に近い。

形式的には与野党にある「国会対策委員会」(国対)という法的根拠のないシステムに依存していることにはなっているが、これがもし本当に国家を論じる主たる機関であれば、これこそ議論を公開すべきだ。しかし実態はご案内のように国会審議の運び方を議論するだけで、与党お決まりのセリフが「党に持ち帰って検討します。」だから話にならない。とは言っても、毎回の国会には議員提出法案も政府提出法案も多数(合計すると100本以上)出されているのも事実だ。

ネットで一覧できるが、どれを見ても全て霞が関官僚がお膳立てしたものと推測できる。(今国会は第204回だが第195回から継続しているものもある。概ね野党議員の提出法案だろう。)言いたいことは、官僚が立法を担って政治家は行政府のパフォーマンスに終止しているのではないかという事だ。これは小沢一郎氏が民主党政権時代に言い始めたことだから、現在の野党にも責任はある。国造りは政治家がするもので、役人には口を出させない、との精神で官僚の国会での発言を封じてしまった。

小沢氏のように憲法から始まり、政治の勉強を深めた者ばかりなら分かるが、所詮は小物ばかりの政治家の世界。さらに悪いことには、小沢氏が提唱して始まった内閣人事局による人事権行使が自公政権ですっかり悪用され、官僚が政治工作のトカゲの尻尾に利用されている。小沢氏も罪なことをしたものだ。やはり政治と官僚の間には明確な緊張関係が必要だ。

2021年3月1日月曜日

読後感「明治一四年の政変」久保田哲著

 いきなり余談ではあるが、両親が明治時代生まれなので、明治時代のことは歴史上の問題ではすまされない。生まれた1940年からすれば明治維新は僅か72年前の出来事。だから両親を始めとする先輩の話をちゃんと聞いて理解を深めておかないと一人前の大人として世間に通用しない筈だ。祖父母から聞いた江戸時代のことは多少いいかげんになっても仕方ない。と言った思いがある。この伝でいけば、子や孫たちにとっての明治時代は既に歴史の時代。小生が安政の大獄と聞いても意味がはっきり分からないように。子どもたちが明治14年の政変と聞いても、深く知る必要は無いかもしれぬ。

徳川幕府が倒れて明治政府が樹立したのは慶応4年(1868年)と知る人は多い。小生は慶應義塾の出身で、入学した昭和34年が(1959年)が創立100周年にあたっていたことを思い出す。改めてネットで確認すると「慶應義塾は1858年、福澤諭吉が江戸に開いた蘭学塾から始まりました。」とあるから、なんだ創立は嘉永か安政時代じゃないか、なんで慶応なんだろう?と不思議に思った次第。

兎も角、本書で明治時代のはじめ頃については全く認識が間違っていたことに気付かされた。先ず、慶應義塾の創始者福沢諭吉や早稲田の創始者大隈重信は、単なる教育者と思い込んでいたのが最大の間違い。二人共ある意味では政治家で、国家国体をどのように形成していくかについて、相当コミットしていた。その一手段として、未来の担い手育成のために、学校を設立した目的があり、これも二人の共通点である。事実二人は国会開設やあるべき政治体制でも意見が一致していて、福澤は大隈が設立した政治団体立憲改進党にも協力していたようだ。

橋が前後してしまったが、明治14年の政変とはこれまで日本の近世史の中で余り話題になっていなかったように思う。しかしここは非常に重要な節目で、西郷隆盛下野に繋がった明治6年の政変とともに、日本が近代国家に生まれ変わる道程でどうしても抑えなくてはならない。維新以来廃藩置県とか政治的事件は数多いが、やはり最大のポイントは憲法の制定と国会の開設にあるだろう。この道筋がはっきりしたのが明治14年とのこと。

この道筋については様々な人が時の政府或いは天皇側近へと、意見を上げていた。本書では、明治13年頃から15年頃までに掛けて、重要人物たちがいかなる動きをしていたかを詳しく解説している。結局は伊藤博文の思惑通りとなり、大隈や福沢の思惑は外れてしまう。その結果と言う程単純ではないが、大隈も学校を設立して国会が開設された将来に向け人材の育成を図ることに繋がっていく。この二人は既に新聞を発行して民衆に訴えることは行っていた。

しかし国家は形だけ作っても国民がついてこないのでは何にもならない。更に、伊藤博文の政権側は自由民権寄り思想の二人を警戒して、金融的な締め付けや、投獄まで考えていた証拠が残されているので穏やかでない。結局は教育者として名を残した二人だが、実際に大変な苦労があったことを初めて知った。