2021年3月6日土曜日

リーダー不在

 政府はだいぶ以前から「働き方改革」なる標語を掲げている。何を目指してどんな法案が成立したか知らない。要は日本に古くから伝わる縦型社会の働き方、即ち「遅れず休まず働かず」。特に役所に多いとされるこの非効率な働き方を改めることを目的にしたのかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。昨日の報道によると「政府は5日、新型コロナウイルス対応を統括する内閣官房の対策推進室で、平均の超過勤務時間が今年1月、122時間に上ったと明らかにした。」とある。国民の多数はまともに受け止めて、官僚が可哀想だと思うだろうが、そうは思わない。

同室には102人が勤務、厚労省では単月の「過労死ライン」を100時間と見てるようだが、最も多かった職員は378時間だったとのこと。現役を退いて長いので現状は知らぬが、昔大蔵省時代の話だ。次年度予算査定が本格化するのは毎年年末近くになってから。この時期になると大蔵省主計局職員や、対応している各省庁の会計担当部署職員の幹部クラスは何故か夜仕事するものとなっていた。出勤は午後からで査定に関する各省庁への指示は夕方、大蔵省幹部は夕食を官官接待民間接待か知らぬが、外でとって深夜に役所に戻る。

ここで報告を聞いて、「じゃあ今日はここまでにしよう。」てなことで、対応している官庁に連絡が行き、やっと職員は開放されてタクシーでの帰宅となる。上がそうであれば下がどうなるかは言うまでもない。当時は霞が関官僚の超過勤務手当は一定額でで打ち切られていたので今度報道されたようなことは無かったが、代わりにノーパンしゃぶしゃぶ事件なんかが面白おかしく取り上げられた。

今は働き方改革のお陰で、霞が関官僚は超過勤務を青天井で申告できるようになったに違いない。いくらアホな大臣の下でくだらぬ仕事を言いつけられても、まともに月に100時間も残業なんか出来るはずがない。土日祝祭日もアホな大臣が役所に顔を出したりするので待機だけはする必要もある。普通に考えれば誰にもすぐ分かることだ。そもそもこんな役所に100人以上のスタッフを集めて余計な仕事をさせる必要があるか大いに疑問で、むしろ所管官庁の痩せ細りを心配すべきだ。安倍内閣以来、内閣府が焼け太りを始めているようだが、国家行政の目詰まり箇所が増えるだけで、事実が物語っている通り何一つ実効は上がらない。

想像するに昔と根本に於いて何も変わっていない。なんと言っても律令国家の陰を引き摺っているくらいだから、今に始まったことではないが、政治家は行政の目詰まりを正すために送り込まれているはずなのに、問題を発見→解決する意欲に乏しいのせいだと思うが、枝葉末節でつまらぬことを言い出して、行政の混乱だけを拡大している。やはりリーダー不在の国家はどうしようもない。早くまともな政治家が出現して欲しい。

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