2021年3月18日木曜日

単純外交

 先日日本で開催された外務防衛閣僚同士の会談と、菅首相がバイデン大統領の招聘に応えて来月早々に訪米する予定になったことで、政府はバイデン外交の一番手に日本が選ばれたと無邪気に喜んでいる。この単純さには自分の単純さを棚上げして言うと「そんなに喜んで良いのかい?」

アメリカは超大国だけに世界のあらゆる国と複雑な外交関係を保たねばならない。中には前政権との見解の食い違いもあって、綱捌きにかなりの苦労が予想される国も少なくあるまい。誰にしても新たな作業に取り組む段取りを考える時、先ず複雑困難な場所から着手するだろうか?取り敢えずは易しいところから片付けるとしても不思議は無い。バイデン政権にとって中国との関係構築は非常に頭の痛い問題だろう。

アメリカ屈指とされるランド研究所(戦略研究所)は最近「軍事的に米中が尖閣諸島周辺で戦争すれば、今や、米軍が負ける状態が到来している」と発表するくらいで、軍事的優位が揺らいでいることを認めざるを得ないのが現実となりつつある。従ってバイデン政権は相当慎重に中国外交についての策を練ることが求められている筈だ。不幸なことにバイデン政権には中国に詳しい外交関係者が少ないらしい。少なくとも国務相も国防相共に対中国外交は全く不案内ときている。

従って、この強敵とのせめぎ合いの落とし所は当分目鼻が立たないだろう。その第1発めのジャブ応酬が、中国側からの希望とされているが、この週末にアメリカ国内のアラスカで行われることになった。ついては、アメリカは事前に味方を見せつけ、チームとして強い姿勢を示す必要に迫られた。追い込まれているのはむしろバイデン政権であるかもしれない。日本はもちろんバイデン政権が予想した通りの反応を示してくれたが、先のクワッドに参加したインドの反応はそうは行かず、特定の国を囲い込むようなことには賛成できないとはっきり言った。

この違いもアメリカや中国にとっては予想通りだったかもしれぬが、日本の外交筋にとって予想通りであったかどうか分からない。昨日は米韓での2+2、明日はアラスカでの米中外相会談とインドでの米印国防相会談が予定されているようだ。結果がどんな形で発表されるか分からぬが、興味は大いにある。北朝鮮はアメリカを口を極めて罵っているし、バイデン大統領が昨日のテレビインタビューで、プーチン大統領を「人殺しだ」と名指しで非難したことにロシアが反発、アントノフ駐米大使の召還を決めたとのこと。

米中関係がこんな事にならないよう願いたいものだ。

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