2021年3月16日火曜日

理解不能

 もう随分昔のことになる小泉内閣時代に郵政改革が行われた。国会でも激しい議論となったことだけは覚えている。それまで郵便事業は国の事業であり、司ったのは郵政省だった。当時似たように国民からお金を巻き上げる役所に大蔵省があって、税金を徴収し、配分する権限を持ち官庁の中で最高の権威を持っていた。一方の郵政省は少しく変わった役所で、今も郵便局が行っている郵便事業と国民のお金を貯金の形で集めて、平たく言えば銀行のような機能を果たしていた。職員は勿論国家公務員だが、何万社あったか記憶がないが、郵便局は家業として受け継がれた家が少なくない。

15年以上前のことであり、記憶は薄れているが、小泉氏は郵便局員に給料を支払うのは国家的損失だから、これを民営化して、彼らに税金を払ってもらうようにしようと国民に訴えた。訴えが正しかったかどうかを判断するほどの理解力は持ち合わせないが、多数の国民がこれを支持して、自民党は圧勝した。当時の選挙での自民党スローガン、「郵政が民営化されれば日本は全てが良くなる」と言ったオールマイティー的なものだった。当時郵政事業を通じて政府に集まった資金は350兆円強と言われ、政府はこれらを旧日本道路公団や住宅金融公庫などの特殊法人へ貸し出す「財政投融資の原資」として、ある意味第2の、或いは裏の予算となっていたのも事実だ。

こういった不明朗さが無くなって誕生した日本郵便株式会社だから、国民にも日本郵政にもハッピーであるべきだ。しかしその後の国民はともかく、日本郵政は余りハッピーだったとは言い切れないようにも思う。日本郵政は従業員数25万人の大企業で、他のメガバンクにと比べて遜色ないと思うし、近くの郵便局には年金が振り込まれ、勿論お世話になっている。しかし、事業内容が異なる3種に分かれ、従業員が圧倒的に多いことは必ずしもアドバンテージばかりは限らない。不祥事も比例的に多くなる必然もある。


民営化当時持て囃された日本郵政の株式は、処分も発足当時見込まれたようには進まず、株価も低迷し続けている。投資家が、この半官半民状態をどう評価するか分からないが、当初政府が目論んでいたようにはいっていないと思う。そのことはおくとして、先週突然日本郵便が楽天株式会社に1500億円を出資して業務提携を行うことが発表された。日本郵政と楽天の両社長が共同記者会見を行い、テレビで大々的の報道されたのでご承知の方が多いだろう。両社長とも胸を張って双方にとって大いにウィンウィンでこれに勝るもの無しの感があった。

楽天という民間企業は馴染みが無いせいもあって、どうも胡散臭く思えてならない。片方は半分官庁のような会社だけに、なにか不都合なことが起きはしないかと心配だ。

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