2020年11月10日火曜日

組織と職位の権限

 法律について勉強したことがないので間違っているかもしれない。今国会では日本学術会議の新議員選考が大きな議論になっている。学術会議側が推薦した新議員105名の中6名を政府が任命しなかったのがその発端。学術会議の存在すら知らなかったのだから、何故それが問題かとか、会議側と政府どちらの言い分が正しいかなんて分からない。政府側の言い分は「会議には推薦権があるが、任命権は政府にある。だから不適切だと思った人物を任命しないのは当たり前のことだ。」との理屈。

反対する側は、それを言うなら政府が推薦した首相を天皇が拒否できるか、なんてことを言う人もいる。先日テレビで政府の論理を支持する元大阪市長の橋下徹氏の理屈を聴いた。「法律に任命権が政府にあるとはっきり書いてあるのだから、今回の措置は全く問題がない。しかし、推薦権が会議側にあることを思うと、両者が事前に考え方をよく相談すべきだった。」としているし、政府も内閣府特命担当大臣の井上信治氏をして落とし所を見つけるべく会議側と話し合いをさせる方針のようだ。

ここで文科相でなく、また内閣府特命担当大臣が出てくるのかも不思議だが、それは一旦措いておいて、考えさせられることがある。日本人の組織に対する考え方が少し間違っていると思うのだ。それは今朝のニュースで知ったアメリカ政府の国防長官エスパー氏解任の報道によるものだ。後2ヶ月もすれば大統領も首だから国防長官も自動的に失職するのに何故かとの疑問が湧く。原因は夏の<ブラック・ライブズ・マター>騒動取締に非協力だったとされているようだ。

組織の動きが気に入らないからトップを代えるのは当たり前との理屈だ。善悪は別にして、組織内の動きが気に入らない時は先ずトップの首をすげ替える。これこそ当たり前で、誰にも文句のつけようはない筈だ。トップをそのままにして、そのやり方にイチャモンを付けるやり方は、日本では民間でもしばしば見られる現象だ。ずっと中間管理職できた小生も、それが原因で辞めた会社もあるくらいだから、間違っていると思わざるを得ない。

だから、法律を変えるなら議員の任命は会議に任せ、会議トップの任命権だけ留保するように変えたほうが余程スッキリするだろう。同じことが政府と地方自治体との関係にも顕著に現れているの日本の実情。組織はピラミッド型で構築されるのだから、その要所々々には明確な権限移譲がなされないと、組織全体の機能不全が発生する。冒頭に書いたように、日本は法律が細かい規定を書き込みすぎて権限移譲の原則が不明確すぎるように思えてならない。

内閣府特命担当大臣なんて職位も権限を不明確にする最たるものだ。

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