2020年11月21日土曜日

エビデンス

 30年くらい昔、パソコンも未だ普及し始めていない頃のことだ。いかにもインテリと言った風情の女性が多い会社に再就職した時を思い出している。ある時こちらがなにか頼み事でもした時かもしれぬ、彼女から「エビデンスがあるのですか?」逆質問されて意味が分からずしどろもどろになって退散した恥ずかしい思い出がある。しかし今になると「エビデンス」は大流行。どうも「証拠とか根拠」という意味らしい。

一昨日なるが、お馴染みBS・TBS「報道1930」がこの言葉に絡んで興味深かった。少し詳しく説明したい。先ずタイトル<新型コロナ 止まらぬ再拡大 GoToキャンペーンは継続すべきか>出演ゲスト:柴山昌彦(自民党幹事長代理)と倉持 仁(インターパーク倉持呼吸器内科院長)他に立憲民主党の岡本充功氏(医師でもある)と北海道医師会長の長瀬清氏がいたが、今回は省略する。

司会者は当然の手順として先ず柴山氏にコメントを求めた。氏はとくとくとして現在進めている政府の対策を述べる。中にPCR検査件数を現在の3万件から近々に50万件に引き上げる方針もあった。これに対して異を唱えたのが倉持氏、氏のクリニックは栃木県内の何処かだと思う。氏はテレビには連日出演していて、予てから医療品不足の実態を訴え続けている。この番組以前に印象に残っていたが、春先に注文した医療用マスクが未だに届かないことや使い捨てグローブの価格がこのところ5倍近くまで急騰していることがあった。

倉持氏が開口一番口にした言葉が「政府は感染拡大を容認しているので・・・今日の事態が招来されてしまった。」柴山氏が途端になにか言ったが司会者が倉持氏の発言終了後に柴山氏を再指名した。氏はまさに色をなして「政府が確認容認とは何事ぞ・・・」と発言の修正を求めるも倉持氏は応じない。「検査数を50万件に拡大なんて言ってくれるな。2万件にだって宣言から幾日経って届いてのか。どうやって50万件まで引き上げるのか、具体論を聞きたい。」

こうなると、両氏の話は噛み合わないが柴山氏が持ち出したのが「エビデンス」。「Go Toが感染拡大を齎したエビデンスがあれば我々も対応を考える。」との趣旨。倉持氏曰く「そんなにエビデンスが欲しいならGo To参加者から千人のサンプリングでもいいから集団PCR検査調査を実施して科学的に調べるべたらどうだ。」このやり取りを視聴者がどう受け止めたかは分からないが、政府が頼りにする専門家集団(分科会)が昨日やっと方向転換を口にした。

受けて、今日夕方には政府も泥縄の方針転換を打ち出すようだ。1週間、1ヶ月先のことは想像できないが、来年の夏の状況を早くから想像できる政府高官は嘗てのインテリ風情の女史と重なってしまう。

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