2020年11月16日月曜日

総理番記者

 今朝の朝日新聞ニュースレターで興味深い記事が送られてきた。菅首相の働きぶりについてだ。首相は今日で就任2ヶ月を迎えるが、首相動静を分析すると就任直後から閣僚などの政治家だけでなく、有識者や企業経営者らと矢継ぎ早に面会を重ね、公表されているだけでも個人的な面会数が歴代首相の中で群を抜いているらしい。トランプ大統領のように個人的関係を大事にしようとする姿勢が読み取れる。実数で言うと就任1ヶ月で650回を超えている。

特に際立つのが、全体の約2割を占める民間人や報道関係者との面会だ。計110回超で第2次安倍政権の倍近く、いずれも2000年以降の首相9人の中で最も多い数字となっている。この記事には現在と20年前の総理番記者に対する質問と応答の音声記録が付いていて、更に面白い内容が披瀝されている。菅氏は就任して間もなく、番記者との懇談会(食事会で朝日新聞は出席しなかった)を設営したことが明らかになっているが、この席で菅氏は番記者全員と名刺交換をしたとのこと。

橋本氏と小渕氏のの番記者を努めた古参番記者が言うには、そんな事をした首相はこれまでいないはずとのこと。人間関係を大事にするのは悪いことではないかもしれぬが、一方で「貴方の事は覚えておくからね。」は巷間言われるように、菅氏の公安警察体質を露呈していると取られる可能性も否定できないだろう。他にも番記者に依るぶら下がり会見に関する実態が披露されている。これも事前に質問を提示する約束になっていて、しかも回答は1問だけについてとお約束が出来ているとのこと。

安部首相はそれでも回答を自分の言葉で喋ったが、菅氏は官僚が書いた原稿を読むだけに変えてしまっている。そう言えば最近の映像では記者からの距離が大分遠のいている。それでなくても回答に関する再質問はしない、あっても答えないのがとのお約束。関連して同じ問題を取り上げた小さな記事が今月発売の「月刊文藝春秋」12月号にも掲載されている。巻末にある「旬選ジャーナル」他誌からの引用となるので出典は「論座」10月15日号の掲載記事とのこと。

五百旗頭幸男氏(ドキュメンタリー映画監督)が書いた記事らしい。タイトルが「劇団記者クラブに潜入 官邸記者クラブの常識は地方の非常識」少し前に福島県南相馬の地方局員だった朝日新聞記者三浦英之について書いている。内容的には内閣記者会の閉鎖性を「劇団記者クラブ」と揶揄する内容。中で「質問とは本来、頭の中で想定はしていても取材相手の表情や周囲の雰囲気、相手の出方などによって変化する。相手と周囲を観察した上で繰り出すものだ。」とあるが全く同感だ。

とするとテレビは、毎日本当につまらない素人芝居を報じていることに他ならない。

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