親日的で反米的なフランスの社会学者エマニュエル・トッド氏が珍しくアメリカ政府高官、現政権で国防次官(政策担当)の著書「拒否戦略」をべた褒めした。国防相は杜撰な情報管理等で何かとお騒がせなヘグセス氏だが、次官はしっかりしているとのことなので一読に及んだ。本書は「拒否戦略」を分かり易く解説したダイジェスト版。著者はハーバート法科大学院卒で46歳の新進気鋭の政治家。小中学校時代に日本に8年も住んだ経験がある。
多くの人が未だにパックスアメリカーナを信じ、アメリカが世界の至る所を支配可能と無邪気に信じているだろうが、アメリカ軍が如何に強大であろうとアメリカが世界の2箇所での軍事行動を起こす余裕は無いとのこと。戦争はいつどこで始まっても不思議ではないが、現在の戦争は経済力がものを言う時代で冷戦時代と異なりイデオロギーは無関係だ。しかし習近平氏には、アジアに於ける主導的立場を築きたい明確な思想があり、そのために着実に軍備だけでなく準備をしている。世の中には中国が経済的にピークアウトとの希望的観測もあるが、それは甘い。
現代は世界経済の5割から6割近くがアジアに集中し、残念ながらアメリカは産業力が極端に落ち込み、兵器を産み出す鉄鋼の生産量なんて中国の1割にも満たない。中国に戦争を始める気を起こさせないためには、かの国が戦争を始めたらとんでもないことになると思わせる必要がある。そのためには状況を甘く見ないで準備が必要。中国が行動を起こした場合真っ先に矢面に立つのが台湾と日本と韓国。韓国は北朝鮮が控えているので緊張感があるが、台湾と日本はどちらも備えが甘い。
明日以降も平和でありたいなら、もっと真剣に備えを固めるべきだとの啓発をしている。日本政府の高官も読んだ人は多いだろうが、果たしてその受け止めは如何なものか、少し気になったところが少なくない。
米:明日と明後日、所要のためブログ書きを休みます。