2021年10月14日木曜日

何でもありは困る

 明治23年、日本で初めての国会議員選挙であるなら兎も角、今日衆議院選挙が解散されて前代未聞の総選挙が始まる。内閣が成立して僅か10日、何一つ仕事をしないうちから国民の信を問うのだそうだ。

何回も解散風景を見てきたが、閣僚席に一人の閣僚も見えず、いきなり議長が解散の宣言を読み上げ1分足らずで幕切れのバンザイに変わった。こんな光景は初めてだ。首相から「こんなことをしたいと思いますので信任して下さい」と言われて、小学生の級長選びでもあるまいに、信任する人は少なくて当たり前と思う。心配なのは馬鹿馬鹿しさに呆れて投票しない人が増えること。せめてこの駄文の読者の方は投票に行って下さい。結果がどうであれ、野党候補に投票するしかない。

得体のしれないコロナ禍で国民の多くが苦境に立たされた真っ最中、先々代の首相安倍晋三氏がお腹が痛いと言って政権を投げ出して以来、日本の政治はダッチロール続き。先代の菅首相は当然かも知れぬが、解散を打つことで体制の立て直しを図ろうとしたが、図れなかった。ところが如何なる天の配剤か知らぬが、菅氏が政権を投げ出した途端にコロナ禍が急速にしぼみ始めた。後を引き継いだ岸田氏としては、これぞ千載一遇の運の招来と思ったのだろう、後1週間待てば、衆議院議員の任期切れで自動的に選挙に突入せざるを得ないにも関わらず、焦りに焦って今日のことになってしまった。

岸田氏が天恵と感じたことが実現するかどうかは今月晦日の開票を待たねばならぬが、こちらとしては期待はずれになることを願っている。ところで形振り構わぬのは岸田首相だけではない。安倍首相以来特に酷くなった感じがあるが、党事務局や内閣府が恥も外聞も捨てて直接関知するモリ・カケ・サクラとは少し関わり方が異なると思うが、最近話題に上がっているのがインターネット世界での偽情報発信。これは一歩間違うと刑事事件にもなりかねないので、担当者は特定の政治家個人の秘書から何段階も経て偽装工作はされているだろう。

しかし悪事千里の譬えどおり、当事者はそういつまでも安閑としてはいられないだろう。現在立憲民主党の小西洋之参院議員議員への誹謗で問題なったインターネットサイト「dappi」の発信者問題。小西氏の情報開示訴訟により、このアカウントが都内のIT関連企業の法人のもので、同社の主要取引先が自民党だったことが明らかになり、参議院の本会議でも既に問題化しているので、この権に関して個人が特定されるのはそう時間が掛からないだろう。

dappiはモグラ叩きのモグラ1匹、問題は似たような発信源が多数存在するであろうことだ。嘗てウェブサイトビジネスをしていたのでよく分かる。このブログでも屡々ネット記事を引用するので、引用先を吟味すると同時に出典を明らかにしたいと思っている。

2021年10月13日水曜日

チャンス到来では

 昨日あたりから東京も急に寒くなってきた。一方で2年近くに及んだコロナ禍が大分沈静化してきた。東京の新規陽性者は8月13日の5773人がピークだったが、昨日は77人。入院患者数も9月4日の4351人から519人にまで下がったらしい。医療関係者はホッとされてることだろう。後2時間も経てば今日の結果がわかるが、この傾向が続くことを期待している。

問題はこの機会に政治が今後に備えて如何なる対策を講じるかだが、政治はご案内の通り選挙モードなので具体的方策に着手できそうにない。本来であればこれだけ新規陽性者が減っているのだから、その感染ルートを徹底的に検査してウィルスの根絶を図るべきところだ。中国のマネは出来ないまでも、都内で77人と言うのだから該当地区の区役所なりが音頭を取って新規陽性者周辺のPCR検査を強制的にでも実施すべきチャンスではないか。

首相だって1年以上市民の声を聞いてきたなら、今更車座で医療関係者の声を聞く必要はあるまい。選挙公約で無料PCR検査を10倍に拡大します、なんて言ってる場合ではない。所管閣僚が総入れ替えになったにしても、今やるべきことをやらずに後手後手に回ったのでは、前政権と同じことだ。連日新首相がいろんなことを仰ってるのを聞くが、総論はもう1ヶ月以上聞いているので分かった。出すべき指示は、全力で発生源を究明せよではないか?

一時はクラスターの追求が大声で言われたが、チャンスが到来した途端聞かれなくなっているのが不思議でならない。ついでに情報公開も関連してひとこと言いたい。確かに検査の強制は難しいだろう。しかしこの77人、或いは今日になれば持って減ってるかも知れない、新規陽性者関連では嘗て新宿のホストクラブがやり玉に挙がって議論の対象になったこともあるが、具体的な場所くらいは発表して、住民に無料検査への協力を要請すれば、相当多くの人の協力が得られるだろう。

もう抽象論にはうんざりしているのだ。自分と関係する情報が欲しいのだ。だから選挙に関係している政治家である必要はない。豊島区の区長だって良いと思う。「池袋西口近辺で昨日新規陽性者で3人発生、半径500メートル以内の居住者全員無料でPCR検査を実施します。」と言ったら相当多数が希望すると思うし、指定地域以外の居住者の安心感は高まるだろう。

2021年10月12日火曜日

ジャーナリスト

 今年のノーベル平和賞が、フィリピンとロシアの二人のジャーナリストに授与されることが決まった。これまでノーベル平和賞なんて代物は日本人では佐藤栄作元首相やバラク・オバマ元アメリカ大統領に授与されたりしているので余り関心がなかったが、今年の授与は意味が大きそうだ。日本のジャーナリスト諸氏もこれを機会にジャーナリストの存在意義を改めて考え直してもらいたい。日本はなんと言っても国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団が毎年発表している自由の報道ランキングで今年は67位、大分前から下がり続けている。

経済力のせいかどうか知らぬが、日本はいわゆるG7、世界で先進主要国に入っている。しかし報道の自由が世界ランク67位では先進主要国の名に恥じるだろう。日本は放送も新聞や雑誌も多く発行されていてメディアだけは発達しているので、毎日このどれかに接して情報を得てえいるのも事実。また日本のマスコミは一時新卒学生の就職希望ランキング上位にあったことも承知している。マスコミが学生の大きな期待を背負うことは決して悪いことではない。

ノーベル委員会は先週末に、今年の平和賞をフィリッピンのインターネットメディアのマリア・レッサ代表と、ロシアのリベラル紙「ノーヴァヤ・ガゼータ」編集長のドミトリー・ムラトフ氏に授与すると発表した。諸外国のマスコミ事情は知らぬが、果たして日本のようなマスコミが存在しない国もあるのでは、なんておもったりしている。どう考えても受賞者の二人が勤務する企業はマスコミでは無さそうだし、二人が経済的理由でジャーナリストを志し、長年その使命を果たす努力を続けてきたとは考えにくい。

翻って日本のジャーナリストの多くは正に巨大なマスコミ企業内に席を置いて、その企業が発行発信する巨大メディアから情報発信することで、大きな社会的名誉やそれなりの経済的報酬も得ているだろう。新卒学生はどちらかと言えば、その経済的報酬に目が眩んで入社した者も少なくはないはずだ。最近では日本でもインターネットメディアも出現はしていて、個人的に言わせてもらえば、中にはかなり読み応え、見応えのある良心的なメディアも少なくない。

しかし惜しむらくはその殆どが財政難で運営がかなり厳しいことが伺える。特にインターネットの世界は玉石混交が凄まじくて、良心的メディアに対抗する妨害情報、いわゆるフェイク情報専門のメディアが多数存在して、その中には明らかに政権が資金拠出している痕跡が認められるものさえあるそうだ。そうなるとこれはメディアではありえなく、単なる偽情報作成工場に過ぎないが、インターネットのユーザーには見分けがつかないのが泣き所でもある。

ことの真贋を追求するのがジャーナリストの仕事だったが、今はジャーナリストの真贋を見分けることが必要な時代になった。

2021年10月11日月曜日

経済安保

 とかく政治家は難しい言葉を使いたがる。今日久し振りに開催される国会でも飛び交うだろうが「経済安保」の意味が分からない。経済と安全保障と分けてくれれば両者ともそれなりに意味は分かるが、4文字になった途端に分からなくなった。日本の経済は生産力がガタ落ちだから、そこを何とか改善する必要がある。即ち何か新しい産業を起こすなり、何とかして労働者の賃金を上げる方策を考えなくてはならない。要するに国内問題だ。

安全保障は国の守りの問題、外国の動きに注意をしなければならない。両方とも大事な問題だとは思うが、言葉を合体させることで目標が判り難くなるのは当然だ。言葉が踊るだけで具体的政策が伴っていないから、何を言っても許される問題ではない。政治は言葉が全てだ、言葉遣いにはもっと慎重であってほしい。

新内閣はこの言葉の実現を図るために新大臣ポストを創設したとのこと。何方かとと思って調べると、小林鷹之氏だと分かった。大臣の肩書自体が意味不明だからご苦労だと思う。技術・情報流出に対する危機感や、半導体など戦略物資の確保が必要だとの意識が企業にも強いことから設けられたとされ、具体的には中国に我が国の科学技術情報流出を阻止することらしい。新政権の認識としては科学技術情報流出が激しいことを認めているのだろう。

確かにそんな話は昔から耳にタコが出来るほど聞かされたことだ。果たしてこれから先に守るべき科学技術情報はどこに如何ほど残っているだろうか?むしろ現在の日本は中国から情報を盗んで来ないといけないのではないか?文科省「科学技術・学術政策研究所」の分野別に引用された“優れた論文”をまとめた時の国別シェア(2017年―19年の平均シェア)報告書を見てみよう。日本のシェアは2.3%である。他方中国は24.8%である。日→中の流れより中→日の方が圧倒的に多い。苦しいのは日本である。

更に、中国からTPPを守れなんて声も大きい。サプライチェーンの問題を見る。CIAのWORLD FACTBOOK、単位兆ドル(切り捨て)、購買力平価ベースでは、中国25,3、米国19.3、インド9,4、日本5,4であり相手の経済のサプライチェーンに入って利益を得るのは日本である。経済安保の意味が益々分からない。

2021年10月10日日曜日

読後感「狼の義 新 犬養木堂伝」林 新 、 堀川 惠子 共著

 近代日本で軍部が政治を壟断する本格的な暗黒時代が時代が始まったのはどうも昭和6年(1931年)頃らしい。大正末期から軍部の膨張思想が強まり、政治的コントロールが難しくなってきてたが、9月に柳条湖で事件が起きて満州事変が勃発してしまう。この時本書の主人公犬養毅氏は既に76歳。安政2年苗字帯刀を許された庄屋の次男として生まれ、長じて慶應義塾の福沢諭吉氏にも可愛がられて、自由民権が今後の日本にとって重大なことに目覚めた政治家として、政党政治の確立に奔走、様々な困難を克服して政治家として最高の地位である首相に上り詰めていた。

しかしその翌年5月15日、首相公邸で陸海軍青年将校のテロで暗殺されてしまったことを知る日本人は多いと思う。「お前はどうか?」と問われれば、恥ずかしながら515事件は聞いているが、内容は詳しく知らなかった、否、全く知らなかったとも言える。今回この評伝を読むことで、日本の近代史、特に政治の世界が少し理解が出来たような気がしている。維新から憲法制定まで23年の歳月必要であった理由も少しは理解出来た。

ましてや、犬養毅首相は政党の政友会総裁でもあったが、政友会の来歴などを知ると政党の今昔には大きな違いがあると感じざるを得ない。政治に金が必要であるのは昔も今も変わらないが、政治にはそれ以上に大切にしなければならぬ政治理念があることだ。これは単なる政策論ではない。犬養氏が生涯を通して追求したその理念を本書は解き明かそうとしている。

著者の林氏と堀川氏はご夫婦で、共にNHKドキュメンタリープロデューサーで何れも大型の番組を手掛けられ、出版もされて多くの賞を受賞されている。当初の企画はご主人の林氏が立案されて概略を書かれたようだが、惜しむらくは2017年に他界されてしまう。その構想を引き継がれたのがご夫人の堀川氏になるが、出版にこぎつけるまで1年以上の歳月がかかっている。

堀川氏がご自身で語っておられるが、この作品の優れているところは脇に生涯犬養氏の側近として仕え、終戦後昭和27年まで生存して政界の指南番を務めた古島一雄氏を持ってきたところにあるだろう。古島氏は慶応元年現在の兵庫県豊岡市の生まれだから犬養氏よりは少し若い。氏は小学校卒業後独学で漢学を修めてジャーナリストを志すなかで犬養氏と知り合って私淑するようになり、生涯の側近になる。

この他に大分後になるが、植原悦二郎氏なる人物が側近に加わるようになる。今風に言えば第1次世界大戦とその終結を直接欧州で目の当たりにして、日本の軍部を中心とする頭の古さを指摘して犬養氏に重用されるようになっていく。これがまた長野県人だったが初めて知る人だった。内容に触れだすと切がないのでここでやめるが、兎に角面白く読めた。

2021年10月9日土曜日

異例ずくめ

 昨日岸田新首相の施政方針演説があった。午前9時からが普通ではないかと思うが、9時からであっても聞かなかっただろう。内容は詳しく知らないのでコメントはしないが、この首相とこの内閣、何かが変わっている。同じ思いを持つ人も多いと思うが、前任の菅氏の辞任が突然だったこととも関係するのだろう。発足が今月の4日で、衆議院の解散総選挙が19日から始まるそうだ。開票結果が出るのは今月末日。すると内閣の在任期間は1月足らずで、選挙後に第2次岸田内閣を立ち上げて本格政権とするのだろうか?

政治の仕組みが理解できていないので、間違っているかも知れない。兎に角、現在の内閣だけでなく、党役員人事についても全てが報道が先行して、役員やら閣僚の呼び込み後の会見も無しだった。所信表明演説内容も前日にはマスコミが報道している。ある意味で合理的かも知れぬが、これから岸田政権が続く限りはそうなるのだろうか?マスコミの予測記事は昔からあったと思うが、ここまで当たると違和感を感じざるを得ない。昨夜観たテレビでマライ・メントライン氏(独ZDFプロデューサー)が指摘していたが、総選挙に政権選択の意味が無いとのこと。

自民党支持のジャーナリスト田崎史郎氏に言わせれば、選挙は政党選択だから勝てるかどうかが問題で時期は問うべきではないとのこと。これも尤もに聞こえる。何れにせよ第2次岸田内閣も現内閣のメンバーと変更がないことを祈ろう。しかしいくら弱い野党と言っても、政府役員約100人党役員が何人か知らぬが、この首を一つも落とせないとも考えにくい。兎に角負けは承知で投票だけはする。

次の臨時国会がいつ招集されるかも分からないが、政権交代は期待していないから、自公で構成される第2次岸田内閣となり、議会冒頭で岸田氏の所信表明があるのが普通だと思うが、議長の交代も予定されているし、また異例なことが起きる予感がする。表明せざる得ない時、岸田氏は何を語るのだろう?まさか「先月お話した通りであります。」とでも言ってくれれば面白い。芸術家のアンコールと同じだから拍手が一層盛り上がり、今回低位に甘んじた支持率が急上昇するかも知れぬ。

2021年10月8日金曜日

日比谷の映画館

朝夕は少し凌ぎやすくなってきたが、それでもまだ日中の残暑は厳しい。制限解除なので昨日は久し振りに東京ミッドタウン日比谷まで映画を観に行った。この場所は嘗ては主に三井系の大企業群がオフィスを構えていた場所にある。日比谷と言えば昔から映画館街、何度となく授業をサボって映画鑑賞に通った場所だ。しかし現在は当時の面影は殆ど無くなり、映画館は2箇所に集約されている。の最大拠点が三井不動産が中心になっている東京ミッドタウン日比谷と言えよう。東京ディズニーリゾートも三井不動産が開発した施設だが、そっちには殆ど縁が無い。しかし日比谷は幾つになってもある種の夢が叶う場所とも言える。

観た映画は昨年の作品らしいが「007/NO TIME TO DIE」日系アメリカ人(ジョージ・フクナガ)が脚本から監督まで手掛けたシリーズ25作目とのこと。これまでの作品全ては観ていないと思うが、先ずは面白かった。原作者のイアン・フレミング氏はとっくに亡くなっているが、彼が生きている前提で監督がストーリーを考えたと思うが、近代感覚が随所に取り込まれている。

俳優陣も多彩で、昔のお色気専門のボンド・ガールズと異なり、主役のボンド氏以上に活躍するのも近代ならではだ。更にこの作品で異色に思ったのが、主役ボンド氏が最後に死んでしまうこと。タイトルの意味が分からなかったが、どうもそう言う意味だったらしい。映画なんか作り話の世界だから、シリーズの継承に問題無しと判断したのだろう。そこを新監督がどのように考えたか聞きたいところだが、彼としては2作目を手掛けるつもりが無いのかもしれない。

東宝が経営するこの日比谷の映画館は、全部で確か12室だったかのスクリーンを持つ巨大な施設。いわゆる<アイマックス>と言う特別料金を支払うスクリーンではなくて、通常料金のスクリーンで観たが、その迫力には圧倒された。昼飯も同じ建物内で摂ったが、如何にも都会らしい雰囲気で、料金の割に内容も良かったし、映画の後に日比谷公園を散歩出来たので田舎出身の年寄は大満足。60年くらい前初めて東京に来た頃の気分を味わうことが出来た。ただ制限解除と言っても人出はイマイチだから、東宝のみならずテナント店舗全店の景気回復にはまだ相当時間が必要だろう。