2021年10月11日月曜日

経済安保

 とかく政治家は難しい言葉を使いたがる。今日久し振りに開催される国会でも飛び交うだろうが「経済安保」の意味が分からない。経済と安全保障と分けてくれれば両者ともそれなりに意味は分かるが、4文字になった途端に分からなくなった。日本の経済は生産力がガタ落ちだから、そこを何とか改善する必要がある。即ち何か新しい産業を起こすなり、何とかして労働者の賃金を上げる方策を考えなくてはならない。要するに国内問題だ。

安全保障は国の守りの問題、外国の動きに注意をしなければならない。両方とも大事な問題だとは思うが、言葉を合体させることで目標が判り難くなるのは当然だ。言葉が踊るだけで具体的政策が伴っていないから、何を言っても許される問題ではない。政治は言葉が全てだ、言葉遣いにはもっと慎重であってほしい。

新内閣はこの言葉の実現を図るために新大臣ポストを創設したとのこと。何方かとと思って調べると、小林鷹之氏だと分かった。大臣の肩書自体が意味不明だからご苦労だと思う。技術・情報流出に対する危機感や、半導体など戦略物資の確保が必要だとの意識が企業にも強いことから設けられたとされ、具体的には中国に我が国の科学技術情報流出を阻止することらしい。新政権の認識としては科学技術情報流出が激しいことを認めているのだろう。

確かにそんな話は昔から耳にタコが出来るほど聞かされたことだ。果たしてこれから先に守るべき科学技術情報はどこに如何ほど残っているだろうか?むしろ現在の日本は中国から情報を盗んで来ないといけないのではないか?文科省「科学技術・学術政策研究所」の分野別に引用された“優れた論文”をまとめた時の国別シェア(2017年―19年の平均シェア)報告書を見てみよう。日本のシェアは2.3%である。他方中国は24.8%である。日→中の流れより中→日の方が圧倒的に多い。苦しいのは日本である。

更に、中国からTPPを守れなんて声も大きい。サプライチェーンの問題を見る。CIAのWORLD FACTBOOK、単位兆ドル(切り捨て)、購買力平価ベースでは、中国25,3、米国19.3、インド9,4、日本5,4であり相手の経済のサプライチェーンに入って利益を得るのは日本である。経済安保の意味が益々分からない。

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