2017年9月5日火曜日

バシリの悲しさ

ここ数日度々聞いたり目にしたりする「レッドライン」が嫌な感じだ。誰が使いだしたが知らぬが、思うに日本だけで流行っている言葉ではなかろうか。米朝の駆け引きが世界、とりわけ韓国と日本にとって迷惑であることは言うまでもない。何とか穏便に収まってほしいと願うのが自然だと思うが、日本人の中には戦争をが始まることを期待するような言説を弄ぶ人間がいる。自民党参議院議員の青山繁晴氏が典型で、彼は昨日のインターネット番組で「年内にアメリカが武力行使するのは間違いない。」と公言している。こんな流言飛語を拡散させたくないが、嘘を言ってると思われたくないので、見るに値しないURLは下記。
https://www.youtube.com/watch?v=zaPwDzUCHhA

国内における人気や政策の手詰まりを挽回のために、外交的危機感を煽るのはトランプ氏と安倍氏の共通手法とJアラート騒ぎの際書いたような気がするが、「北朝鮮」を一緒にするのを忘れていた。むしろ金正恩氏が元祖で、日米両首脳が真似をしていると見る方が正しいだろう。大分古い報道になるが、今年の1月末「金正恩の時代、確実に終わる」なる新聞報道があったことに気が付いた。昨年夏に韓国に亡命したテ・ヨンホ元駐英北朝鮮公使が韓国で記者会見して語ったことである。

当たるか当たらぬかは分からないが、氏は「国内で政権に対する不満が高まっているので、何れ民衆蜂起が起きるだろう。」と期待感を述べている。一見荒唐無稽にも思えるが、考えてみれば自然で、戦争による政権崩壊より救いがあるかもしれぬ。ご粗末な政権に国を託している国家はどこであれ、国民が不幸なことでは一緒だ。

北朝鮮が日本に手を出したら、同盟国アメリカは本国を攻撃されたとみなして必ず報復して下さるとのこと。有難いお話で戦争を勃発させてくれる訳だ。これを喜んで、アメリカに向かうミサイルが日本上空を通過することを見逃せないとする政治家や自衛隊OBの面々、サッカーの試合開始でも待つかのように「レッドライン」を云々するマスコミ。いったい何を考えているのか。これまで北朝鮮に対する最大の圧力が何をもたらしたか?更なる経済制裁でどんな効果を期待するのか?

「平和的手段で半島の安定を求める。」は中国やロシアの台詞だから同調するわけに行かぬ。アメリカの意を戴して国際社会に根回しすると胸を張る。心意気は見上げたものだが些か道化じみて見えてしまうのが悲しい。

*バシリ:不良の隠語で走り使いを言います。

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