心身ともに活力がめっきり減ってきている我が身。この先何をよすがに生きるべきかを考えてしまう機会が多い。数日前と言っても月刊文藝春秋の発売日だったからもう10日以上前になるが、ふと見つけた「完本 小林一茶」なる井上ひさし氏の文庫本。小林一茶のの伝記は小学4年頃父が東京土産に買ってきてくれた子供向けを読んで以来、一茶の生家が近かったこともあり何となく親しみを感じるようになった。だから大人向け評伝かな思って購入した。
まだ読み終わっていないが、この本には深い感銘を受けてしまった。と言うのはイメージにある普通の評伝とは大分異なり、一茶の生き方をかなり丁寧に書き込まれているからだ。作者の井上氏は文化功労章を受賞した大作家だから経済的な貧乏生活とは無縁だったかもしれぬが、昭和9年生まれなので6歳年上。戦中戦後の苦労経験の他に、家柄が良かったにも拘らず物心ついた時から母子家庭だったそうだから複雑な心理状態であったことは否めないだろう。
作者のことは措くとして、主人公の一茶は作者によって「放浪漂泊の乞食俳諧師」と位置付けられている。小学生の頃に北信濃に残されている一茶の住まいを見学した時にも思ったのは<こんな小汚い土蔵の中でよく生活したものだ>だった。作者に言わせれば一茶は息を吐くように次から次へと俳句を産み出す才能はあったし、弟子もいた。しかし彼の身上は権力に媚びず、寧ろ馬鹿にしながら自らの貧乏を自慢したかったのかもしれぬ。
小生は自慢できるほどの貧乏ではない。しかし少しひねくれた目で世の中の才能ある人や、権力者たちを観るのが習慣化していることはご案内の通りだ。この先何日生きるか分からないが、この癖は直らないだろし、直すつもりもない。
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