今月初めの頃友人から貰った書物。最近読書から遠ざかっていたので読み終わるまでかなり時間が掛かった。著者とは同年代で、氏は先の大戦や近代史にかなり詳しく、また批判的であることは十分知っていた。本著は近代史の中で、<近代日本の地下水脈Ⅱ>とサブタイトルを付している。(Ⅰが何であったかは知らない)兎も角読み終わって一番感じたことは、近代日本はそもそも明治維新なるものがそうであったように、一種の暴力革命と皇室が連携して誕生した事実。このことが現代まで地下水脈的に受け継がれて、以来テロ事件がずっと現代まで継続していることだ。
記憶に新しいところでは安倍晋三元首相の暗殺事件。これは2022年7月の事件だ。しかも一応犯人はその場で逮捕されているが、正式な裁判がまだ始まっていない。マスコミは政府の発表を真に受けて「犯人は単独犯で、母親が統一教会の信者で家が傾くほどの献金をしたが、時の首相安倍氏がこの団体を応援していることが憎らしく襲撃に及んだ。」と発表している。マスコミに登場する識者の中にもこの発表に疑問を呈する人もいるが、小生もマスコミ発表を信用していない。
それは措くとして、明治維新以降だけでも日本は政府要人襲撃事件が多発して、これが軍部を増長させる要因の一つとの見方に立った本書とも言える。反政府テロなら襲撃者は反体制派だと思うが、日本の場合必ずしもそうとは限らない。寧ろ共産主義者のような反体制派の人物によるテロは少数で、比較的最近と言えるのはあさま山荘事件くらいだと思う。兎に角テロリストが天皇を擁して成立させた国家「日本」だけに、現在一般的には右翼と左翼が並存しているかのようにみられるが、これがなかなか複雑で、根っこが同じようなものだから、宗旨の変更は当たり前のように行われている。
著者は、その辺をできるだけ分かりやすく解説を試みたつもりであろうが、ボケ始めている年寄りには理解が困難だったとも言える。何れにせよテロリストになるような人は若い時から主義思想の勉強に打ち込んだ人物が多い。お馬鹿さんでは右翼にも左翼にも成れない筈だが、中には優秀な人物に教化されたかどうか、わけも分からず殺人に手を貸してしまい、結果重い刑罰を受けた人もいた。明治以降日本政府は優秀な人材を官僚として抱え込み、テロを徹底的に取り締まってきた事実もある。
そういった側面も含め、日本の近代史の勉強にはなる本でもあろう。
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