2024年7月19日金曜日

読後感「ヒルビリー・エレジー」J・D・ヴァンス著 関根光宏訳、山田文訳

 現在進行中のアメリカ共和党大会で副大統領候補に選出されたオクラホマ州選出の上院議員J・D・ヴァンス氏(39)の著作として一気に有名になった。氏が上院議員になる前の31歳の時書いた回想録である。31歳で回想録も珍しいだろう。アメリカでは発売直後ベストセラーになったそうで、日本でも和約が一昨年4月に光文社から発行されている。報道で知って興味を覚えたのでネットでkindle版を購入して一気に読んでみた。

著者は<まえがき>で「自分は上院議員でもないし、何か偉業を成し遂げたわけでもないごく普通の人間、強いて言えば、曲りなりもイエール大学の法科大学院を終了したことだろう。そんなことは、13歳の頃の私には想像もできなかった。だが、私と同じことをやり遂げる人は毎年200人もいる。」と書いている。著者は「ラストベルト(さび付いた工業地帯)とよばれるオハイオ州の鉄鋼業の町で貧しい子供時代(生まれたのは隣のケンタッキー州のようだ)を送っている。

そして執筆当時、この町の貧しさは幼少期から少し変わっていないようだ。家庭環境もかなり複雑だった。母親のもとにいたが、母は看護師をしていたようだが、薬物依存症と男性遍歴が酷く、父は何度も入れ替わっている。著者が主に頼ったのは祖父母で、二人とも高校は出ていない。家族関係の凄まじさはある意味想像を絶するものがあった。実の母が息子に向かって「今日だけは何としてもコップ1杯のお前の尿を分けてくれ。」なんて頼む事が想像はできなくて当たり前。でも結局は分けてやったらしい。

その著者がオクラホマ州立大学に入学し、更に高みを目指すために4年間海兵隊に入隊。ここで相当しごかれたことが又一段と心身を鍛えたのだろう(当時イラク戦争中であったのでイラクにも派遣されている)。アメリカの兵隊さんに対する奨学金制度など詳細は知らぬが、結局イエール大ロースクールにも入学、恋人も見つけて結婚もして幸せな家庭を築くまでの回想録である。その著者が結局上院議員になり、大統領候補のトランプ氏にも認められて副大統領候補にまでなっている。

トランプ氏の競争相手は既にバイデン氏ではなく、元検事でカリフォルニア州司法長官のカマラ・ハリス氏になる可能性が高そうだ。彼女もインド系、ヴァンス夫人もインド系。結果がどうなるだろう?興味津々

0 件のコメント: