2023年8月3日木曜日

熱中症状態

 連日の暑さもあるが、今月はお盆、そして広島、長崎への原爆投下、事実上敗戦敗戦を決定した玉音放送と、子供心に植え付けられた鮮烈な記憶をどうしても思わずには居られない。母や兄弟たちと長野市に疎開していたので、余り悲惨な光景を目にすることは無かったが、それでも10日すぎには夜中の空襲警報で山裾の沢まで避難したことがある。その時同居していた結核で療養中の伯父が同行せず、不敵な笑い顔で見送ってくれたことが今でも印象に残っている。

昨日テレビで観た古いハリウッド映画「特攻大作戦」は、先の大戦中アメリカ軍が死刑執行直前や20年30年刑期を持ってる軍刑務所の囚人12人を、ドイツ将校暗殺のために特別に送り出す筋立てだった。ある意味で現代のロシア民間軍事会社ワグネルを彷彿させた。その訓練期間は僅か半年ぐらいだった。映画の話だから仕方ないだろうが、観ていて感じたのは、幾ら経験者にしてもそんな短期間に、優秀な軍人が養成できるわけ無いだろうだった。

若い頃戦争体験者の話を随分聞いたが、目前の敵に対して鉄砲を撃って殺すことはそう簡単なことではないらしい。戦争は人と人の殺し合い、殺されればそれまでだが、殺した方も後々精神的ストレスが大きいことは言うまでもないだろう。軍人の教育は軍人にしか出来ない。日本では敵を殺した経験を持たない軍人が新兵を教育しているのが現状だ。日本では出来る筈がなかった軍隊が、戦後僅か5年で復活してしまったからだ。

このことからもアメリカのご都合主義の悪い面が、大戦後生残された指導者層に刷り込まれた経緯がよく伺える。しかし「戦争をしない、軍隊は持たない」憲法は生きたまま今日まで来てしまった。日本は世界でも珍しい二律背反(矛盾)国家の標本となっていて、小生もその一員であることだけは確か。日本語も乱れに乱れたが、幸いデジタル社会なんて言葉の横行で、何が現実で何が虚構かさえはっきりしない。ある意味結構な社会かもしれぬが、その中を生きてきた一老人の頭の中は既に熱中症状態だ。

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