2022年9月6日火曜日

本末転倒

 一寸先のことすら満足に見えない日本の首相、誰に吹き込まれたか聞いたか知らぬが、唐突に原子力発電を増設すると言い出した。ロシアのガス供給を止められて苦しんでいるドイツやフランスで停止している原発を今度の冬に限って稼働させたいと言い始めてるのは分かる。日本でも態とらしく電力供給が逼迫してるとの宣伝が行われていて、NHKは毎日電力節約のため「スタジオの照明を落としています。」なんてテロップを挿入している。照明が落とされていても少なくとも我が家のテレビで観る限りなんの変化もない。連日繰り返される下らぬニュース番組の照明を落としてどうなるものでもあるまい。

今朝の日経に依ると「原子力をめぐる議論が再び日本で動き出した。岸田文雄首相は8月、次世代型原子力発電所の開発・建設を検討するよう関係省庁に指示した。」既存の原発の廃炉すらまともに進んでいない中で、次世代原発とは如何なる存念か、常識を超えた発想でしかありえない。この狭い日本に既存の原発はたしか50基あって、もう稼働させないと決まってる筈ものが半数以上。そこから出た膨大な汚染物質の廃棄場所すら確保できず、廃炉が決まってる原発でさえ作業が進んでいないのが現状だろう。 

なんの役に立たない機構内に大勢の雇用者が存在していることは失業対策的観点からすれば結構かもしれぬが、電力会社はその費用をまるまる消費者に上乗せして請求している訳だ。これをよしとするかどうかは国会でもじっくり議論をしてもらえば良い。俺の死後になるだろうが、首相はマジで言い始めて、既に経産省や電気産業協会とは打ち合わせに入ってるらしい。原発の立地は既に満杯で、関西電力が福井県で行ったような汚職疑惑はほんの氷山の一角が偽らざるところだ。

廃炉が進んで、その敷地内に新原発を立ち上げるのが理想だろうが、少なくても40年や50年で見通せる話ではない。汚染水と同様、あらゆる汚染物質を人心を無視してどこかに廃棄したとしよう。確かにその空き地は新原発でも作らなければ、活用の仕様が無いのも事実とも言える。それにして世界の趨勢に反することを行おうとする東洋の片隅の国について他国の指導者はどう見るだろうか?「新規原発がなければ原子物理学者が育たない」との心配があるとの声も聞こえる。これも全く本末転倒の話だ。湯川秀樹博士は原爆も原発も無い世の中で、ノーベル物理学賞を受賞されたことを思い出す。

0 件のコメント: