2022年7月29日金曜日

読後感「破壊者たちへ」青木理

 共同通信社出身のフリージャーナリストの著者は同郷長野県出身でもあり、以前から親しみを感じて何冊かの著書も読んできた。本書はサンデー毎日に持っていた連載コラム記事、(2018年から2021年の中から)をまとめたものである。従って一つの項目はこのブログと大差ない短文であるが、非常に読み応えがあった。2018年と言えばつい先日、著者が取り上げてる事案、現象は現在解消されてるものはほとんど無い。半分忘れかけていても、忘れてはならないことばかりだ。

氏の専門は検察庁関係だったと思うが、かなり批判的なところもあって、検察庁から出入り禁止になったとか聞いた気もする。他には韓国留学などで韓国事情にも詳しいこと。政治記者ではないが、検察記者時代の経験から政治 問題にもかなり詳しい。即ち、日本における三権分立の建前と行政と司法の二股になっている検察組織を長年見てくれば当然ではあろう。1966年生まれなので戦争は経験していないが、韓国に長年住んだので日本が植民地化した時代に犯した歴史の数々を韓国国民から直接聞いているので、アメリカ軍に依って歴史勉強を禁じられた小生なんかとても及ばない歴史認識を持っている。

著者が最も重要視するのは権力者たちの問題意識。歴史認識は言うに及ばず、今そこにある不都合な問題を敢えて無視する行動様式。東京オリンピックであれ対コロナ禍政策で同じことだ。著者が最も忌むもの、ことは「無知と無恥」の2点、これが政界を覆い、ひいては社会を昏くしていると嘆く。項目的には100近くあったと思うが、国民の中でははっきり見えてる現象が政治家にはまるで無視されるている現実。数え上げれば切が無さそうだ。

どの項目で同意、同感する箇所が多かったが、1箇所だけ少し引っかかったところがある。著者は天皇制を真からは支持はしてないようだ。勿論あからさま反対はしないが、先の大戦で天皇の責任を不問に付したことには不満があるようだ。しかし、民主主義の根本を思えば、著者の不満は正当であることは否定できない。昔から信州には、著者のように精神に一本筋が通っている人が多かったことを改めて思い出した。

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