2021年12月7日火曜日

無条件降伏

 やっと国会が開催されて、岸田首相が改めて所信表明演説を行った。所信表明演説に「改めて」と枕がつくのはおかしいが所信は初信ではないとの反論もあるだろう。内容は多岐に亘るのだろうが、詳しく書くだけの理解はしていない。恐らく多くの市民も同じだろう。少し政治に関心を持つ人ならば、所信表明で全く触れられず、共産党の志位委員長が指摘した防衛費予算の急拡大かも知れぬ。テレビや印刷媒体で何回も繰り返される解説より、表明されない事実に重要な意味がある典型例だ。

政治家が多くを語れば語るほど一般市民の感心は薄れ、何が政治課題か分からなくなるのは当たり前で、語った方からもそれが狙いかもしれない。政治に未だ少し関心を持つ身として気になるのは「政治とカネ」の問題だが、これも維新がマスコミに仕掛けた巧妙な罠が功を奏して、世論は多分に矮小化された問題に終始して、核心を外した論議で終始している。問題の本質は、政治に必要な「お金」は如何程で、政党助成金とは何だったか、と言うところに来なければ無意味だ。

日本は未だにマッカーサー元帥が半世紀以上前に言った14歳の少年で、産業も政府の税金に依る支援が無ければ一本立ちできない国家なのだ。故に税金が政府→産業界→政府与党と岸田流に言えば好循環を繰り返している。と言うのがこの世におさらばする前に辿り着いた愚考だ。更に突き詰めれば、何故大人になりきれないかだ。その原因も単純に理解している。即ち、全ては先の大戦の「無条件降伏」にある。

一部の人は「天皇に罪を及ぼさず、国体を維持できたから無条件ではなかった」とするかも知れぬ。しかしこれは後付の詭弁で、実態を覆い隠す意味で質が悪く罪深い。話が逸れたので本題の施政方針に戻す。

所信表明で示された課題に優先順位は無い。100回以上になる国会での慣例だから良いじゃないか、と思う人も多いだろうが、これも半世紀以上前に習ったマーケティングの基本理論で言うとダメなのだ。問題点が多数ある時、その中で最重要課題を見つけることがリーダーの役割で、この解決が無ければ永遠に問題点は無くならない、即ち経営の破綻に繋がるとしたものだ。

現在の最優先課題は「国民の命ひいては全人類の命」だと思うが、これには異論もあるだろう。「命より健康が大事か?」とむかし家内に笑われたこともあるし、命よりお金だと言う人もいるだろう。中には国家だと言い出す人も多いようだ。今日の孫崎享氏のメルマガに下記の興味深い記事があったので引用したい。日露戦争が勃発した1904年の数ヶ月後にロシアの作家トルストイがロンドン・タイムズに寄稿した文章からである。「前略:本来的に日本・ロシアに死活的利益はない。しかし、当時の知識人は戦争を煽った。:後略」

孫崎氏はこう結ぶ「武力衝突を避けることが「人の命」を守る点で重要にもかかわらず、かつ衝突を避ける道はあるにもかかわらず、衝突を煽る人々がいて、いつの間にか、それが国論になる。」

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