2021年12月5日日曜日

マスコミが嵌った陥穽

 今年も間もなく80年前の真珠湾攻撃の日がやってくる。終戦後の76年間、この長い期間で開戦の責任については様々な角度からの追求が行われてきたが、その責任は未だに明らかになっていないとも言える。恐らく我が生涯のうちにはっきりすることはないのだろう。これが日本人の特徴と言えるかも知れぬが、たまたま一昨日の朝日新聞デジタルに興味深い記事を見つけた。

題して<フェイクをうんだ大本営とメディア いま向き合うべき「報道責任」>。要約すれば、国民の多くが開戦を望むように仕向けた責任は報道機関にある、との自己批判的な記事だ。この記事を書いた編集者がこうも言っている。「この連載を始めたきっかけは、私が東京本社編集局長だった2006年に受け取った読者からの一通の投書だった。「私が小さな頃、祖父が口癖のように言っていたのを思い出します。朝日の論調が変わったら気をつけろ、と」祖父の警告が、今回真っ先に配信される「社論の転換」、つまり1931年の満州事変を境に、軍部批判から戦争の翼賛に転じた朝日新聞の変貌を指すことは明らかだった。

結局、世論はマスコミが作り出すことだけは昔も今も変わらない。現在流行している新型ウィルスと同じように、マスメディアもいつの間にか相当な変異をして、全国民の脳裏に浸透してしまったと言いたいのだろう。マスメディアが生命を持たないウィルスと同じでは困るが、朝日の記者が検証したように、かなりの知識人で構成されている朝日新聞でさえ、国民の脳に浸透しやすいように変身した事実がある。

メディア関係者に「世論に抗しうる信念を持て」なんて綺麗事を言っても通用しない。昔も今もメディア関係者は「真実を追求する」との理念は持ち、実行してるつもりの筈だ。それが何故数多いメディアの大部分が、自ら掘った穴に嵌るようにして同じ方向に向いてしまったのか?現在我が国の右傾化傾向に対して、マスコミは好んで中道派の理性に期待するかのような論調になっている。この現象こそ、小生には自ら墓穴を掘っているようにしか見えない。

山本七平氏の「空気の研究」でも解けなかった永遠の謎のようになっている。故に先の総選挙で、比例は共産党に投じた次第だ。

2 件のコメント:

呑兵衛あな さんのコメント...

>要約すれば、国民の多くが開戦を望むように仕向けた責任は報道機関にある

同感です。
日本の瓦版屋は、政権の先棒を担ぐことがマスメディアの力であるとしんじたいるのでしょう。
今また、COVID-19渦の尖端は有らぬ方向に向かうとしているのでは。

senkawa爺 さんのコメント...

呑兵衛あなさん
いつも貴重なコメントを有り難うございます。
貴兄の仰る通りで、マスコミが消費税を免税されたり、国有地を無償で払い下げを受けていたのでは、真実の報道を、なんて言うことが虚しくなってきます。