2021年11月8日月曜日

読後感「ブッダが説いた幸せな生き方」今枝由郎 著

 年齢的に仕方ないことだが、最近は不祝儀の席に呼ばれることが多い。個人的にも妻を亡くして3年以上の月日が経った。子供時代に育った故郷の家にも、我が家にもそれまで仏壇が無かったが、妻の死をきっかけにして仏壇を購入して、毎朝線香を上げることが習慣となった。墓は長野にあって、一応曹洞宗のお寺さんと付き合いもしている。しかし般若心経一つ満足には知らない。よって大分前から仏教徒とは何だろう?と思っていた。

今回たまたま本書を見つけて一読に及び、仏教の本質が少し理解できてたことを大変嬉しく思っている。これまでにも小説としては道元禅師や空海上人の本を読んだり、千日回峰行をしとげた行者の本を読んだりした記憶があるが、何れも「偉いものだ」と感心はしても、個人的に何か納得して、真似でもしようと思ったことはなかった。

著者今枝氏は坊さんではなさそうだ。仏教系大学(大谷大学)卒業ではあるが、後にフランスやブータンに長年滞在して学術的に仏教を研究した学者である。日本には小生と同じような仏教徒は多いが、仏教の本質を理解しない人も多いはずだ。本書を読んで初めて「仏教徒で良かった」と安心した。仏教は他の宗教と比べると、大分変わっているところが多いようだ。

昔から困った時の神頼みで生きてきたので、いつでも神様仏様頼りだったが、仏様は困った時に助けてくれないことがよく分かった。他の宗教のこともよく知らないが、他宗の場合は「信じることで救われる」とするところが多いのではなかろうか?お釈迦様は「この世は、即ち貴方の人生も苦に満ちている」が大前提になっている。これを私が救うことは出来ないが、貴方自身がその苦しみ超越する方法を知っている。私自身がその方法を発見した。

それは言ってみれば簡単なことだ。即ち世の中のこと全てが原因があって結果が起こる。そして何事も常に変化し続けることを知るべきだと教える。苦しみの全ての原因は自分自身にある。幸せになりたいならそこをよく考えろと言うことになる。時間的には過去も未来も関係ない、只管今が大事だ。とのこと。しかし当然ながら身勝手にな日常であれと言ってるのではない。

社会や他人に迷惑をかけず、自分が好きなことをしていられれば、こんな幸せはない、とは昔から個人的に考えていたことなので大いに共感したのは言うまでもない。「納得できないなら釈迦自身を疑っても結構だ、何事も自分で考えなさい。」世の中の苦労から逃げることはできないと聞くと、随分暗い宗教のに聞こえるが、なんと自信に満ちた教えだと思う。余す日数が限られた今だが、目から鱗の思いだ。

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