2021年6月7日月曜日

衆寡敵せず

 最近流行らないかもしれぬが、古くから「衆寡敵せず」と言われる。即ち「少数では多数にかなわない。」との意味だ。これが現代にも通用するかどうかは分からない。例えば、人口3億人のアメリカが人口14億人の中国に敵わないとは言い切れないだろう。しかし先週末の朝日新聞デジタルに興味深いインタビュー記事が掲載された。インタビューで応えた人物は、元郵政官僚で世界最古の国際機関といわれる国際電気通信連合(ITU)のトップ「事務総局長」を務めた内海善雄氏(78歳)。彼はITUがジュネーブ以外の年で初めて開催した香港「テレコムワールド」開催の2006年のことを次のように言っている。

「この開催にあたって中国政府から非常に熱心な誘致があり、政府担当者が次のように言ったそうです。「中国は今後、10億の民をITで養うのだ。いずれ世界最先端のIT国家になるつもりだ。香港のイベントは国家の威信をかけて成功させる。」その数年前にIT不況に直撃された欧米企業と比べて、中国企業は伸び盛りだったとはいえ、「中国人らしい大言壮語だなぁと思っていたら、現実になってきましたね。」

実際に香港の展示会でも先進国の企業は中国企業をライバルと見做さず、もっぱら巨大市場に引きつけられていました。私自身も政策の実現に疑心暗鬼でしたし、日本の世論の大半は「技術をまねるのがうまいだけの中国がどこまでやれるか」と懐疑的だったと思いますと内海氏。事実、その後10年足らずで状況は大きく変わる。習近平政権が15年に発表した「中国製造2025」に対して、米国が真っ先に警戒感を顕にする。「軍民融合」の技術開発には、日本を含む世界の安全保障関係者から猛反発も起きた。何のことはない、内海氏が大言壮語と思ったことが現実になってしまった訳だ。

内海氏は更に続ける。「中国の情報通信技術は、ここ数年で一気に前に躍り出た。そして開発は『頭脳』の数次第。教育をうけた人数が多い方が強い。中国の大学院修了者数は73万人(20年)と、日本の約10倍。過去20年で一気に10倍以上に伸びました。AI(人工知能)にせよ、システムづくりには人手がかかる。継続して資金が投下されれば成果は出る。中国の条件はそろっていた。」

取材にそう語る内海氏の手首には、中国ブランド「Amazfit」のスマートウォッチが。約6千円で、健康管理を始めとする様々な機能がある。「スマホもタブレットも中国ブランドはコストパフォーマンスがとても良いとのこと。因みに土曜日のリモート談義の際、友人が自分のスマートウオッチ(アップル製)を自慢したので、購入価格を尋ねたら約5万円だったとのことだった。小生もファーウェイのスマホを持っているが、これもアメリカに痛めつけられて近く独自OSに変わるらしい。その時アンドロイドで動いている小生のスマホがどうなるか、少し心配だがなんとかなるのだろう。

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