2021年4月9日金曜日

官僚よ、誇りを持て

 国の行政組織は複雑で、霞が関に置かれている省庁の他に一般からは分かりにくい様々な機関が存在して行政の実務を担っていることは、長いこと役所の仕事に関わってきたので知っている。その一つに独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)があることを初めて知った。余談になるが、日本は公務員数の人口比が世界水準と比較して少ないと言われるが、このような準公務員扱いとなっている組織の要員をカウントすると膨大な人数を税金で養っていることが分かる。霞が関の高級官僚はこのような組織で終身雇用が保証されている。

PMDAを知ったわけは、今回のワクチン騒動からである。外国で使用が許可されている薬品や治療法であっても、国内で改めて製造方法を確認したり治験を実施しないと使用が承認されないそうだ。これに特に異を唱えるつもりはないが、多くの国で使用許可されている薬品なんかが許可されない理由については少し疑問を感じているところも無いわけではない。兎も角、その審査を担うのがこのPMDAだった。

この組織の大きさのほどは知らぬが、専門委員だけで千人を越しているから、相当な組織なんだろう。ここが先程、現下世界で問題化しているアストゼネカ製ワクチンの反応問題(脳血栓症誘発の可能性)について、「日本ですでに承認済みのワクチンの開発企業が、それと同じか類似した製造、管理方法で、変異株にも対応できるワクチンを製造する場合を想定している。外国の臨床試験(治験)のデータなどがあれば国内治験は必要としない。」

少し分かりにくいかもしれぬが、コロナワクチンは粗製乱造とは言わぬが、どこの国でもここ1年以内に開発されたもので、いわゆる治験も1年以上行われたものはないと思う。ましてや対抗するウィルスは千変万化の厄介者だから、どこまで効果があるのか誰にも分からない。製薬メーカー側も連日必死に対応を変えているだろう。日頃愛用している風邪薬の「改元」みたいに親の代から飲み続けているが大差無いなんて代物とは大違いの筈だ。

政府も今更勿体ぶって日本独自の審査なんて言っていられなくなった訳だ。このようにチョット恥ずかしいことを表明するには独立行政法人なんて一般には意味不明な組織は都合が良い。水面下に隠れた部分を持つ巨大官僚組織についての賛否は小生には難しすぎる。現役時代に随分世話にもなったし、父も元官僚だ。言いたいのは官僚は本来そうだった筈で、誇りを持つべきだ。ところが最近は、馬鹿な政治家に優秀な官僚が取り込まれてしまっている。これが情けない。いっとき上に居ても馬鹿は馬鹿。元文科省次官の前川氏のように面従腹背でやり過ごせば良いだけで、一部の官僚に見られるよう自ら奴隷化する必要はなかろう。

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