2021年2月2日火曜日

見識の基本

少し前(昨年11月末)に中国習近平氏がAPECの首脳会議でTPPへの参加意欲を表明したが、この時日本政府の反応は非常に冷たいものだったことを記憶している。しかし先週何を思ったか知らぬが、太平洋とは全く関係ない英国が同じように参加の意欲を表明した。すると日本でTPPを所管する大臣が西村経済再生担当大臣になるらしいが、彼が打てば響くかのように「基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーである英国から加入要請が提出されたことを歓迎する」との意向を表明した。

西村氏と言えばコロナ対策専門かと思っていたが、他にも仕事があるようだ。兎も角、対中国と対英国との貿易量に如何程の差があるか知らぬが、常識的に考えれば前者の方が多くて当然だ。しかし先に引用したように中国とは「基本的価値」を共有出来ていないことが多々あるからダメだということなんだろう。舶来製品への拘りは既に失くして久しいのでどうでもいいが、日本もいつの日にか外国との付き合い方を少し見直す必要があるかもしれぬ。

老婆心を出して少し付け加えておこう。人間には個人個人異なる価値観があるように、世界に200以上ある国家間にも全く共通の価値観なんか存在する筈がない。殆どの国が建前的には民主主義を唱えているだろうが、民主主義なんて儚いもので、昨日から報道されているミャンマーのクーデターを引き合いに出すまでもないだろう。どこの国にせよ政権担当者は自国の安定を第一の目標とし、これが脅かされない限り、できるだけ多数の国と通商関係を築くとするのは理の当然。

通商相手国の政権が如何なる思想、例えば共産主義であろうと一党独裁であろうと、極端に言えば人食い人種であろうと関係無とするのが普通のように思う。しかし日本政府は民間交流がかなり活発であるにも関わらず、こと中国と韓国に関してだけは少し異なり、政治的に好んで事を構えたがっている。この傾向は昔からのことではない。ごく最近安倍内閣以来ではなかろうか。話が長くなってしまったが、TPPの参加国を増やしたいなら増やせば良いし、増やしたくないならそれも見識の一つだろう。

相手によって考えを変えることを、偉いと思う人もいるだろうが、信用できないと決めつける人が出ても不思議はない。 

0 件のコメント: