2021年1月28日木曜日

有為の人材

 小説の中のことであるが、事業に苦労している父親が子供に対して言ったセリフで面白いことが書いてあった。「世の中に本当に役に立つ人は意外に少ないものなのだよ。」このセリフは確かにある種の真理かもしれない。人間一人の力なんぞしれたもので、どんなに優秀な人間でも協力する人材に恵まれなくては何事もならぬ、と思いがちだが組織の要所を占める人材にはやはり有為の人材が不可欠だ。

ましてや政府のような巨大組織になると、要所要所に配置される人材がボンクラだと国民は悲劇になりかねない。戦前までは首相の任命権は誰にあったかよく理解できていないが、大正から昭和初期にかけて戦争の泥沼に入り込んでしまったことは既に明らかになっている。現代の日本は議院内閣制となり、選挙で選ばれた議員が内閣の大部分を構成することになるので、選挙で議員を決める国民の責任は大きい。

現内閣は選挙の洗礼が無いと言う人もいるが、建前的には一応選挙で選ばれた事になっているのだろう。それは兎も角として、菅首相も田村厚労相も今回ワクチン担当になった河野大臣も一応は有為の人材かもしれぬ。しかし彼等が見習うべきは古人のことだ。と言ってもそんな古い時代ではない。明治時代の医者であり官僚でもあり最終的には政治家であったとも言える人たちのこと。

昨日のテレビ(BSP:英雄たちの選択「衛生国家への挑戦~3人の先覚者たち~」)で初めて知ったことだが、取り上げられたのは緒方洪庵・長与専斎・後藤新平の三名。彼等が如何に有為であったかをごちゃごちゃ書くより、読者の皆さんには是非この再放送をご覧になって頂きたい。(放送日時BSプレミアム2月3日午前8:00~9:00)

現代日本の感染症対策が世界に冠たる結果を生み出しているとは思わないいが、小生が生まれるつい10年くらい前まで日本に生きていた後藤新平氏は、間違いなく世界から称賛されていたのだ。先に上げた政治家3名も有為の人材と持ち上げられては穴があったら入りたくなるだろう。

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