2020年12月25日金曜日

表裏の乖離

 政治の世界に表と裏があることは容易に想像できる気がする。市町村レベルでは選挙の際に議員候補者の数が定員に満たないなんてことも聞くようにはなったが、国会議員ともなれば表に出ているだけでも家族は勿論、国費が支給される以上の秘書を抱えて事務所を複数構えるのが当たり前。事務所が地元に一ヵ所と東京に一ヵ所しか無いなんて議員が居たらお目にかかりたいものだ。

言っちゃ悪いが、国会議員が生きていくための企業経営者化しているのが実態だろう。国民はこの800人弱だったと思うが、零細か中小か知らぬが企業経営者を表向きは税金で支えている。しかし経営者たる議員連中も年数が経つ程に欲が出て企業の拡大を図りだす。そりゃ当たり前のことで、秘書と称する雇用者も何年も同じ給料で働き続けるほどのお人好しは少なかろう。

そのため当然のことながら議員は資金集めに精を出す。しかし企業発展を期待する向きからすると、公然たる資金集めの道は限られているので思うように資金は集まるまい。公然たる資金集めの収支は、政治資金規正法なる法律で公開が義務付けられているのはご承知の通り。従って、殆どの議員は裏金を有り難く頂戴することになる。裏金を一切受け取らず、巧妙な隠れ蓑を作って、そこへ振り込ませる方法を発見している者もいるかも知れぬが、少ないだろう。

よって、議員秘書の大きな仕事は裏で動かしている会計の管理が最大の業務であるはず。これまでに政治家の汚職事件は星の数ほどあったが、裏帳簿の存在が明らかになったことは一度も無い。記憶の限りではロッキード事件の時、蜂の一刺しとか騒がれて秘書が自殺した事件があったような気がするが、彼が会計責任者だったと思う。記憶が正しければ、検察に裏帳簿を押収されたのかもしれない。何れにせよ小説の世界だ。

話が逸れたが、大方の企業経営者は金には細かくて企業会計ではケチでなくてはならない。パナソニック創業者松下幸之助氏であろうと有限会社安倍晋三事務所のオーナー安倍晋三氏であろうと同じことだ。今回安倍晋三事務所では、図らずもだろうが、裏帳簿が確認できたかどうかは別として、表で公開されている帳簿の間違いが指摘されてしまった。表がすぐ修正されたからには裏帳簿があったことは歴然としている。

同時に事務所側のCFO(会計最高責任者)に当たる公設第一秘書氏が略式起訴で罰金100万円が決まると、この秘書氏は即刻解雇されたらしい。地元では安倍晋三氏の代理人として自他ともに認められていた人物とのこと。自殺に追い込まれないだけ良かったとも言えるが、なにか哀れを感じてならぬ。解雇したオーナーの顔色が冴えないのは当然だが、安倍氏は政治家を辞めるとトランプ氏ではないが、もっと大きな不幸ぬ見舞われるのかもしれぬ。憐れな男だ。

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