2020年9月9日水曜日

テレビの楽しみ

 昔とは暦が違うとは言え、重陽の節句となれば栗おこわでも食べながら秋を楽しむのが本来だろうが、相変わらず熱風が吹きすさみ、とてもそんな気分になれない。今どき栗おこわなんぞスパーなりデパ地下に行けば簡単に手に入れることは可能だろうが、そうでなくても大都会に住みながら俊寛かロビンソン・クルーソーまがいの生活なので食生活も孤島の生活者同様に単純化され情緒が乏しすぎる。生活に潤いを与えることを少し考える必要がありそうだ。

読書も良いだろうし、現代は態々出掛けなくても音楽も芝居も映画も鑑賞できる。音楽なんかも本格的愛好者から見れば、テレビなんかで放送されるものは本物でないと笑われるだろうが、生来の音痴だからテレビの音楽で十分だ。よく観るのはBS・日テレ月曜19時からの「BS日本・こころの歌」。不定期の割によく観てしまうBS・NHK「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」。昔は時々寄席に足を運んだこともあったが最近は全く無くなった。代わりにNHK・Eテレ「日本の話芸」なんかも日曜日の午後囲碁番組に引き続いて観てしまうことがある。

このように上げれば、現代人の余暇には楽しみが十分すぎるほどあることに驚くが、なかなか出来ないのは何故だろう?本なんかも思いついて買っては来たものの積ん読状態、最近は読むのは精々雑誌で、1ヶ月に1冊の本も読めない。テレビでは、一時期は山登り関係の番組を録画してまで観て楽しんだこともあったが、最近はそれもなくなった。時折、何かの拍子でNHKの「日本百名山」に出くわし、それが親しみを覚える山であったりすると30分間観続けることはある。

しかし、これもNHKの「グレートトラバース」のような冒険的な大型番組は観なくなった。これは冒険登山家と言える田中陽希氏が日本の名峰を自分の力だけで踏破していく大型企画で、数年前から始まり、最初の年は深田久弥氏が書いた「日本百名山」を南の宮之浦岳(鹿児島県・屋久島)から北の利尻岳(北海道・利尻島)まで全延長3千キロを超す長さだったが、これを全く動力を使わず脚力と手漕ぎのカヌーだけで踏破した記録だった。これが何年前だったか記憶にないが、家内が生きていたことは覚えている。

当時は非常に興味深く観ていたのも事実。最近は300名山に挑戦中であるのも知ってはいるが、どうも観る気がしない。山は楽しむために登りたいので「日本百名山」の方が観る気になるのだ。しかしどれを観ても最後の感想は「もう再び行くことはないだろうな」と悲しい感傷に襲われるので、これももう暫くすれば観なくなる恐れもある。歳を取るということは、こうして自ら楽しみを減らしていくことなのだろう。

2 件のコメント:

村松 光 さんのコメント...

こんにちは。今日は用事があって、久しぶりに権堂通りを歩きました。
人通りが少なく寂しい昼下がりでしたが、思いがけなく山仲間に会いました。
来週信越トレイルに行くそうです。私もしばらく山に行っていませんが、テレビでは山の番組に見入ってしまいます。不思議なことは、山に登らない夫が熱心に田中陽希さんの三百名山をみています。先日リーダーが志賀高原に誘ってくれましたが、予定があわず不参加でした。
ミクシィの友は今年雲の平に行ったとのこと。私には過去のお話となりました。

senkawa爺 さんのコメント...

村松光さん
いつもありがとうございます。
私にとっても山がどんどん遠くの存在になりつつあります。
せめて19日の墓参りでふるさと近くの山を眺め、山への郷愁を思いたいものです。