2020年8月7日金曜日

店仕舞迫る

昨日の昼、久しぶりに有楽町の素敵庵に昼飯を食いに出かけた。店は一時に比べればそこそこ混んでいたが、カウンターの一番奥に案内された。着席するなりいつもカウンターの中央に立っている店長が態々やってきて「実は今月いっぱいでの閉店が決まってしまいました。」とのこと。首都高下の銀座インズに構えられた店だから家賃が安くないのは容易に理解できる。東京に限らず全国の飲食店が似たような状況下にあるのだろう。

食事をしている最中にサービスしてくれる従業員は全員顔なじみと言って差し支えない。それぞれと短い会話の中で次の就職先が決まっているらしき人も居たが、そうでない人も居てそれぞれが浮かぬ顔をしていたので、こちらまで悲しくなってしまった。普段毎日歩いている池袋までの道すがらにもシャッターが降りたままの店がポチポチ見られるようになった。政府のGo toキャンペーンで救われている店が如何程になるか知らぬが、日本で新型コロナウィルスが克服されないことには職を失う人が増え続けることだろう。

夜になってテレビを観ていたら公明党の高木美智代さんと言う厚労省出身の議員さんまでGo toキャンペーンの支持強調していたことにはどうしても違和感を禁じ得なかった。逆に別の番組に出演していた作家の保阪正康氏の話はとても興味深く聞くことが出来た。曰く「ウィルスとの闘いも、国家と国家の戦争でも同じようなことが言える。」確か5項目ほどあったと思うが、最も大事なことは「客観的事実を十分に認識せず、主観的希望に置き換えてしまうこと」

即ち、これが時の指導者が陥りやすい欠点らしい。政治指導者ならぬ我が身にも当て嵌まりそうで、成程その通りと感じた。昔から言う「敵を知り己を知れば百戦危うからず」があるが、同じことだろう。マスコミ報道は常に客観性を重視するを旨としているのだろうが、政治家をゲストとする時は必ず与野党から同数の人間を出演させる。誰が客観的事実に基づいた発言をし、誰が希望的主観で述べているかは明確にしないので、視聴者が個人的に考えなければいけない。

保坂氏は昔東条英機氏の秘書を取材した時の話を披露した「巣鴨の拘置所に勾留されていた時、番兵をしていたまだ若い兵隊からアメリカの民主主義について聞き、えらく感心したとのこと。」笑い話のようだが、本当らしい。国を賭けての大戦争をおっぱじめようとする時、指導者が相手の国力はおろか政治制度すら理解してないのだから結果は以て知るべしだ。我が人生は理科数学科学と無縁で結構と思って来てしまったが、やはり考えの基本は科学的合理性が必要と思い至った。店仕舞が迫っている人生の末期にいい話を聞いたが、若干手遅れだったかもしれぬ。

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