2020年8月26日水曜日

同情に値する

 首相の健康状態が取り沙汰されている。いろいろな説があって、中にはかなり悪いので近くリタイアせざるを得ないとか、ついては次期自民党総裁候補は誰それと、ご本人がどれほどテレビを観ているかわからないが、未だ意識のある病人の枕元で葬式の準備話をしている感もある。勝手に想像すると、コロナでよく言われる基礎疾患かどうかは別にして、体調が良くないことだけは確かなようだ。

首相とは内閣総理大臣、行政組織の最高責任者。会社に例えれば社長さんで、専務か常務かは別として役員に相当するのが副首相と官房長官かもしれぬ。他に陣笠諸侯がなりたがる大臣も役員部長クラスも一応役員としておこう。これがまた17人もいる。副首相も財務大臣を兼ねているので18人かもしれない。ところで最近良く耳にするのが首相の「公務」だが、首相の公務とはなんぞやである。

簡単に言えば役員会に当たる閣議を司会して、内閣として重要な意思決定を決め、それを各役員に下達することにありそうだ。原則的にはこれが週に2回開催されることになっている。ここで何を決めるか、先ず閣法と言われる内閣としての法案を決定して、国会に送って審議を依頼すること。これが最重要だと思うが、現在国難に直面している意識が薄いのか、コロナ対策に関して閣法を準備している様子は伺えない。他には・法律、条約の公布とか・政令の決定なんかがあるが、各国ともコロナで忙しいので外国との関係で条約云々なんて問題も少ないだろう。

昔の会社に例えて書いてきたが、日本の内閣も当面競争相手がいないので、無能かもしれない部下に任せておいても、仕事は各役所の官僚がしているので、すぐに倒産することはない。昔勤務していた零細企業も似たようなもので、週に1回か2回社長が部長クラスを集めて1席打った後にすることは、自身のスケジュール表に毎日昼夜の会食予定を書き入れ、秘書に命じてその席の予約を入れることにあった。首相であれ社長さんの「公務」の大半はなにかの折に役に立ちそうな人間との会食に尽きるのかもしれぬ。

こう言ってしまえば首相にしても社長にしても「気楽な稼業と来たもんだ」とも見える。が、実態はそんな生易しいものではない。毎日2回ずつところを変え、相手を替えて美味い料理を食い続けるには相当な体力が必要となる。安倍首相の基礎疾患の詳細はぼんやりしているが、部位が消化器にあることだけは確かなようだ。従って首相にとっての「公務」がかなりきつくなっているに違いない。にも拘わらず明後日の記者会見の原稿を準備中ということは、安倍氏はそう簡単にギブアップはしない腹のようだ。

皮肉な見方をすれば、ギブアップしたくても周囲を見渡した時、誰一人頼れる者がいない上、後任すらイメージできないので出来ないのかもしれない。正に同情に値しそうだ。

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