2020年8月25日火曜日

身近な人達

 今月いっぱいで閉店と聞いていたので、昨日の夕方態々有楽町の「素敵庵」に行って名残のステーキを食ってきた。ここの和牛ステーキは箸でも切れそうな柔らかさだが、提供される段階で既に食べやすいように包丁が入れてある。添えられているじゃがいも、人参、ほうれん草、ブロッコリ等の野菜が豊富で、にんにくの切り身が肉の下に敷き詰められている。肉の上には玉ねぎのスライスがたっぷり掛けられ、焼き上げの最後に振りかけられる独特の醤油風味のタレがなんとも言えない味を醸し出している。

この店に関してはこのブログでも何回か書いたと思うが、後1週間で閉店だから、いくら宣伝になりそうなことを書いても仕方ないのが残念だ。店はその昔西銀座デパートといった首都高下の商業施設、現在は銀座インズ1と言われている地下1階にあり、とんかつ屋と天ぷら屋の姉妹店と併せ3店舗が連なっていた。反対側にも少し前まで似たようなレストランが3店舗か4店舗あったはずだ。しかし昨日見ると、反対側の店は全部シャッターが降りて閉店、姉妹店も天ぷら屋は既に閉店だから、本家のとんかつ屋と「素敵庵」の2軒だけで人通りも少なく寂しい限り。

5時半過ぎくらいだったが、店内の客も2つのテーブルに3人と2人の5人だけ。照明もいつもより暗く感じたのは気の所為だったのだろうか?店員の数も少なく、顔見知りは2人しかいない。多分辞めるべきスタッフは既に辞め、就職先を探したりしているのだろう。顔見知りの二人は、来月以降本家のとんかつ屋で引き取ってもらえることが決まっているので、最後まで店を仕切る責任を負っているとのこと。いずれにしても寂しさが漂っている。

最後に勘定を払う段になると、一人がしみじみ口にした。「今日は態々本当にありがとうございます。私がここに来たのが11年前ですから、11年もの長い間お世話になりました。」との話で、もう11年にもなるかと改めて驚いた。聞けば、彼も既に結婚して2人の子持ちとのこと。「隣の本家に引き取ってもらえて、本当に良かった。俺はとんかつも好きだからまた会えるね。元気で頑張ってよ。」

同僚であった他のスタッフの消息なども少し聞いたが、皆それなりに苦労しているようだ。日本の景気とか大きなことは分からないが、身近には苦労している人が増えていることだけは確かだ。

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