2020年8月10日月曜日

対話も会話も不成立

広島と長崎の慰霊祭に出席した首相は形ばかりの短い記者会見を開き、国民に何かを訴えたつもりのようだ。正に悪評嘖々でどうしようもない。原爆禁止条約批准を強く迫る両市民の声を無視して、無責任な原爆防止論を述べるばかり。更に呆れるのは現下のコロナ対策にに関し「感染をコントロールして、医療機関の支援も強化していきたい」旨の発言をしている。これに付き合って記事化する記者たちも嫌になるだろうが、記事の中に「首相は日本語を知らないか理解できていないので、国民との対話も会話も不成立」であることを指摘すべきだ。

数日前にも書いたことだが、東大名誉教授の児玉龍彦氏は次のように述べている。「現状を正しく即ち客観的に認識して対応策を考えるべきで、主観的希望からは出された対応策は何の役にもたたない。」放射能をアンダーコントロールもそうだが、感染を政府がどのようにコントロールしているのか?強いて言えば検査数を少なくして見かけの感染者数を低く抑えているだけのことだ。検査数が上がらない理由は何回も聞いている。

政府の会見で語られる殆どは自らなすべきことが出来ない理由(即ち言い訳)であり、感染を防ぐのは結局国民の個人的責任に帰すという事のみで、今更言われるまでもなく、そんなことは子供でも分かっている。政府高官ともなれば娑婆の風に当たることが少ないので、日本語感覚がおかしくなるのも仕方ないかもしれぬが、それにしても原爆や現在のコロナウィルスによってどんなに多くの被害者が出て、対処に当たる医療関係者が如何に疲弊しているか。知らずか感じずか無神経にも程がある。

先の大戦末期の東條首相が拡大しきって収拾つかなくなった戦場をどの程度視察したか知らぬが、想像するに現在の安倍首相と同じだと思う。毎日下から上がってくる情報は全て「苦労はしていますが、なんとか持ち堪えています。」に違いない。少しおかしいとは感じても、自らその嘘を暴くのは怖いのだろう。自らの言葉を持たないリーダーほど始末の悪いものはない。

0 件のコメント: