2020年7月18日土曜日

天才とAI

将棋のことは全く知らないと言った方がいいだろう。しかし愛知県出身の棋士藤井聡太少年が数年前のデヴュー早々から29連勝を上げ、斯界長老の加藤一二三氏を破り引退を決意させたりする度に何度もテレビに取り上げられているので、否応なしに注目している。そして今回の快挙、史上最年少にして棋王のタイトル獲得である。暗いニュースが続く現代では久しぶりの明るく、心から拍手できるニュースだった。

もはや藤井少年とは呼べない藤井氏は5才の時に祖母からルールを教えてもらい、1年と経たずに少し将棋ができる祖父に負けないようになったそうだ。そこで思うのだが、果たして藤井氏は天才少年だったのだろうかということ。更に、最近藤井氏も勿論であるが、将棋に限らず囲碁界でも殆どの棋士が研究に利用しているAI(人工知能)のことだ、

藤井氏が天才的な少年であることは間違いないが、そもそも天才とはどんな人を言うのだろうか。wikiには「人の努力では至らないレベルの才能を秘めた人物を指す。」とあるが、「人」ではなく「普通の人」とでも書いたほうが良いと思う。小学低学年生ぐらいまでであれば、少し難しいゲームでも祖父を超えて上手になる子はいくらでも居るはず。「幼児にして天才少年、20歳過ぎれば只の人」だ。

小学校から高校までの友人で、勉強がものすごく良く出来た友人は何人も居るが、長じて只の人にならないまでも天才的だなと思った人はいない。できる人の特徴は記憶力がいいこと、集中力があること等似たような特徴はあるかもしれない。藤井氏もなにか拍子に将棋の面白みにハマり(言い方が悪いかも)、ものすごい努力を積み重ねて来たと思いたい。

そこで問題のAIだ。余計な話ながら、居るかも知れないお年寄りのために。「これはお味噌汁に使う味噌とは異なり、コンピュータ即ち機械です。」この機械に将棋のルールを覚えさせ、億の単位の対局をさせるか、読み取らせるか知らぬが、兎も角その全ての指し手を記憶させる。そしてその指し手が勝負に与えた影響を数字で評価することにより、徐々に棋力を高めてきたらしい。

しかし将棋や囲碁の世界では、こんな地道な努力ではプロ棋士の感覚には絶対に勝てない、が常識であった。しかし、5、6年くらい前だったか、先ず日本将棋界のプロが日本製AIに破れた。当時通っていた池袋の碁会所に居た早稲田大学囲碁部の主将だった高段者は「将棋だからの話で、囲碁では無理」と自慢げに話をしていたこと思い出す。ところがAIの進化は目覚ましく、数年後には囲碁界でもどこか外国製の機械に韓国のトップ棋士が負け、すぐ日本でも同じようなソフトが開発されている。

そして今や、藤井氏も勿論だが世界中のプロ棋士がAIの手順を研究に取り入れなければトップ棋士になれないらしい。機械も一つの思考に関しては10億回も考えを巡らせれば天才的力を発揮することが分かった。しかし飽くまで「一つの思考」だから、国の差配を任せるわけには行かないのが残念である。

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