2020年6月24日水曜日

読後感「女帝 小池百合子」石井 妙子 著

評判通りに読み応えのあるドキュメンタリーだった。現東京都知事の小池百合子氏については相当前から嫌いだった。東京都知事にはなんでこうもいけ好かない人間が就任するのか腹が立つが、それは読後感とは関係ない別の問題だ。

本書を読むきっかけは、著者が小池氏の嘘を徹底的に暴いてくれることを期待したに他ならない。小池”2が学歴を偽っていることはもう何年も前から多くのマスコミが騒いでいたので、それを期待したわけだ。期待が叶えられたかと言えば”NO”かもしれない。著者はエジプト大学にかなり肉薄したようだが、結論的には駐日エジプト大使館から正式に「彼女はエジプト大学の卒業生です」と回答を受け取ってしまった。

もちろん著者が集めた傍証で、これまで小池氏が提示してきた卒業証書などの矛盾点は一層明確になり、正式な物がこれまで一度も提示できていないことは明らかにされてはいる。しかしエジプト政府が卒業したと言っている以上、エジプト政府を偽証罪で告訴は出来まい。著者の年齢は不詳だが御茶ノ水出身の才媛であるのは確かだと思うし、ドキュメンタリー作家としての実績も大したものだ。その上、2002年にはNHK「囲碁の時間」の司会をつとめたとのこと。何十年も欠かさず観ている番組だが、著者の写真を見ても思い出せないのが残念。

頭の良さでは小池氏に勝るとも劣らないと思うが、もし小池氏の嘘を完全に暴くつもりで挑戦したとすれば、残念ながら負けと判定せざるを得ない。これから先小池氏がどのような人生を歩むか分からないが、都知事をもう1期努めることは間違いなさそうだ。

小池氏との勝負はおくとして、著者が言いたかったもう一つのことが大きな問題を提起している気がする。即ち、マスコミの態度。これは小池氏に対することだけはない。問題を深堀りせずに、それこそ風にのって凧のように舞い上がり、それこそ空の上から張り煽ぎで世論を掻き立てる。そこには何が是であり何が真実かは関係ない。もちろん後の検証も一切ない。強いものに付き従うという意味では小池氏とマスコミは全く同種の人類だ。

ことの善悪は別にして小池氏には捨て身の度胸がある。だからバカなおじさんたちがはコロリと転がされてきた。本書では舛添氏もその一人とされているが、
wikiに依ると舛添氏はこれを完全否定している。取材不足でないことを期待したいが、上手の手からなんとかもあるのでよく分からない。

0 件のコメント: