2020年5月3日日曜日

勝手読み

囲碁をする人にとって最も戒むべきことが「勝手(かって)読み」で、小生なんかが万度陥っていることでもある。相手の応手を自分が都合いいように自分勝手に解釈することを言う。一昨日、コロナ対策の専門家会議が開かれて、その検討結果を代表者四名が1時間以上に亘って発表し、NHKは1時間位は生中継していたし、民放も大分付き合ったので観た人は多いだろう。なんでも明日発表される政府の緊急事態宣言終結日5月6日以降の政策決定に資するものであったらしい。

長時間の割に内容は薄く、聞いたような話ばかりで、素人が聞いても取りあげるべきことは殆ど無かった。しかし1点だけ聞き捨てならぬ発言があったので今日書いておきたい。どうでもいいような内容がダラダラ述べられる中でさらっと取り上げられた「実効再生産数」である。初めて聞いた時は「なんじゃ、そりゃ?」と思ったが、一人の患者が何人に病気を移すか、の指数とのこと。都市封鎖の解除が問題化し始めた諸外国では(R0=アール・ノート、1名の感染者が感染させる人数の総平均)と言って状況変化を見る時に重要視する指数の筆頭とも言えるかも知れぬ。

一昨日の会見では何故か3月25日と4月10日分の発表のみを示し、3月25日時点では2.0(東京は2.1)だったものが4月10日時点で0.7(東京は0.5)だったから感染が下火になり始めたと説明している。科学者たる専門家が何を根拠に持ち出してきたか知れぬが、こんなに重要な数字(調査の分母も分子も不明)を何ら根拠を示さずサラッと言ってのける無神経さ。否、周到に準備して膨大な報告書に滑り込ませたに違いあるまい。

4月10日の0.7が当日までに如何なる変化をしているのか、何処でどのような調査をしたかも示さず、棒グラフだけ並べて傾向もへったくれもあるまい。そして挙句の果てが「今回のウィルスについて収束がいつかなんて誰にも言えません」だと、ふざけるな!。答申を受ける政府は無学者揃いかどうか、叱り飛ばす根性もなければ報告書を読み取る能力も無いのだろう。国会で野党から「現在の感染者数は何人ですか?」と質問された総理大臣閣下が答えられす「事前の質問通告がありませんでしたから。」で済んでしまう国柄だ。

今日は憲法記念日とのこと、日本は最初に憲法を定めた1890年以来、戦争の泥沼に自ら足をツッコミ、55年目の1945年にしてやっと、泥沼から足を抜くことが出来た。その事も忘れて今やまた少しおかしくなりつつあるが、それは措いて。一貫しているのは勝手読みの悪い癖が一向に無くなっていないことだろう。

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