2019年7月11日木曜日

権力集中と分散

個人的に確認の仕様が無いので何とも言えぬが、英国は民主主義が根付いているお手本のような国とも言われる。何がそのような大そうな評価を生み出したかもよく分からない。しかしここ数日イギリスBBCの報道を観て、民主主義と関係あるかどうかは別として感心することがある。彼の国に於いては政治家・官僚・報道陣の役割が非常にはっきり区別されていることである。

現在日本のこの3者と比べた場合、その差は驚くほどの距離を感じざるを得ない。安倍一強と言われる所以は、政治家安倍氏に官僚も報道もなびいてしまっているところにあることは誰にも否定できないだろう。今回英国の駐米大使が本国に送った報告メール(極秘)が、日曜紙メール・オン・サンデー(電子版)なるメディアに暴露される事件が起きた。初めて知ったメディアであるが日刊ゲンダイ電子版の様なものかもしれぬ。

メールなんぞに極秘は託せないことの証かもしれぬが、それはこの際措くくことにしよう。そこに書かれた内容は、アメリカの現政権は現在も今後も統治能力を欠いており信頼に値しない、旨だったようだ。ワシントンから1万キロ以上離れた島国に寓居するボケ老人でも、さもありなんと思う内容だ。勿論トランプ氏は激怒、英国の政治家諸氏も秘密が漏洩したことへの遺憾は表明したものの、内心困ったに違いない。

しかし、首相以下殆どの政治家は、官僚である駐米大使の報告を官僚の義務を忠実に果たしているとして、内容は個人的見解であり、政治的にどう受け止めるかはコメントしていない。ところが、彼の国は政権与党である保守党が総裁選の真っ只中、元外相のジョンソン氏と現外相のケント氏が激しく闘っている。数日前に両氏がBBCの公開討論会の登場。この討論会の司会者が実に見事で書きたいと思っていたくらいだ。何故ならば質問が非常に率直で、多分国民の多くが聞きたいであろうことを鋭く突っ込んでいる。

これも日本のヤラセ臭い司会とは大違い。ここでも当然この極秘電漏洩問題に話が及び、「貴方が首相になったら、駐米大使を更迭するか?」と投げかけた。今のところ優勢と言われているジョンソン氏は少なくとも彼を守るとは答えず、一方のケント氏は彼の擁護を明言した。ジョンソン氏はすぐ後で「官僚を政治問題に巻き込んではいけないと言っただけ。」と弁解している。しかしこのことでジョンソン氏は評判をかなり落としているとの指摘もある。

異国のことなのでよく分からないところでもあるが、我が国との違いの大きさは本当に驚くばかりだ。

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