2019年2月6日水曜日

トランプ大統領

完全には読了しなかったので厳密には読後感とは言えないが、昨日と今日国会図書館に行き、朝日新聞記者でニューヨーク駐在だった金成隆一氏著の「記者、ラストベルトに住む 」(副題:トランプ王国、冷めぬ熱狂 )を読んできた。2年前に選挙結果を予測できなかった反省を踏まえて、当選半年後からオハイオ州トランブル郡ウォーレンなるかつては製鉄業で栄え、現在は廃れた地(ラストベルト)に安アパートを借りて住み込み、住民の率直な気持ちを取材している。読み応えのある書物だった。

アメリカ人と一口に言ってもいろんな人がいることでは日本と同じだろう。この一帯は貧困率35パーセント、薬物依存で犠牲者が相次ぎ、高校卒業後たしか15年目程度で同窓生の15%以上が薬物依存等で物故していると言うのだから凄まじい。この本が発売されたのが昨年の10月、取材時期は更に1年昔になる。既にトランプ氏周辺には様々なスキャンダルが噴出して支持率も40%を割る気配も見えていたのではと思うが、副題にあるようにトランプ氏への支持を明言する人も少なくない。

今日はトランプ氏が一般教書演説ををしたので、トランプ氏の今後について日本のマスコミでも今夜以降いろいろな論評が躍ることだろう。そのことは別として本書を読んで思ったのは、アメリカ庶民の選挙への向き合い方である。日本の有権者が不真面目と決めつける訳にはいかぬが、彼の地の庶民はかなり真面目に向き合っているように思う(嘗ては民主党の地盤で今回の選挙で転向した人が多い)。本書の中でも触れているが、アメリカと言う国は日本に比較すると選挙が非常に多いらしい。

検事の選挙は知識として知っていたが、判事まで選挙があるらしい。日本の最高裁判事の選挙なんて、あれで選挙と思っている有権者は何人いるかだ。当選後のトランプ氏に期待を裏切られたとする住民もいることはいたらしいが、多くの住民はトランプ氏が公約したことに関して真剣に取り組む姿に好感を覚えていることも確からしい。簡単に言うとエリート層から忘れられたと感じる庶民にとって味方と感じるらしい。

この街の住人は外交問題なんか無関心だし、女性蔑視発言なんかも笑い飛ばす女性が多く、支持者たちは未だに大統領の振る舞いを観ていると元気が湧いてくるとのこと。この一言は羨ましく思った。

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