読後感「新天皇と日本人」小山泰生著

著者の名前は初めて聞く。奥付から察すると、1959年生まれで学習院幼稚園時代から皇太子浩宮様のご学友となり高校まで同窓、大学は日大芸術学部の映画学科を出てスキー場などのリゾート開発を手掛けたりした一方で、社会学者・幼児教育課と名乗り、幼児教育を主な狙いとする家庭教師派遣業などをしているらしい。可成りユニークな性格の人のようだ。但し家柄は相当なようで、先祖は四国土佐のお侍、幕末に四賢人の一人であった山内容堂の直臣だったとのこと。

下々から見ると雲上人と友達付き合いが出来るほどの血筋だから、只者ではないだろうが、この手の人は日本オリンピック委員会の竹田会長のように何となく胡散臭くも思ってしまうのはお許し願うしかない。しかし読了すると著者に対して大いなる敬意を抱いてしまった。皇太子殿下と友達であるからでは無い。本書はタイトルの通り、我々が知らない皇太子殿下の性格や特にお考えを述べたりしている。その一端が巷間流布されて評判となり、それにつられて購入に至ったのも事実だが、そこについてはこれからマスコミやネットで嫌と言うほど出るだろうから割愛したい。

感心したのは著者が日本の歴史を非常に深く研究していることだ。特に皇室関連を含む近代史については下手な学者も及ばないところがあるのではと思ってしまった。兎に角、父親は一時電通社員であったが、著者が生まれた時には渋谷区代官山の実家の半分を宮様(当時すでに皇籍離脱して北白川初子様)にお貸しするほど家柄である。日本の上流社会を自分の目で見ながら育ってきた人だ。これまでに知らなかった話が山ほど紹介されているが、何れも自分が見聞するか、ごく身近の先祖から直接聞いた話だから迫力がある。

一つだけ紹介すると、著者の父はマッカーサー直属の通訳(戦後昭和天皇とマッカーサー元帥の対面時の通訳フォービアン・パワーズ少佐)とも親しかったようでこんなことが書かれている。「昭和12年、フィリピンのケソン大統領の副官として夫婦で来日して昭和天皇に会って非常に喜んでいた。」昭和45年9月27日以前に二人は既に顔見知りだったのだ。読者がこんな記述を面白がっているだけでは著者とすれば大いに不満だろう。

著者が本当に言いたいのは、同世代の或いは現代の日本人は本当に天皇を必要とするのかどうか、皇室は明治以降の近代において政権によって都合よく利用されてきた歴史がある。特に明治政府の利用が酷すぎたと断じている(当然自分の先祖も含むのだろう)。その反省からかもしれぬが、新憲法は天皇の人権をまるで無視することになってしまっている。本当にそれでいいのですか?と深く考えさせらる書と言える。


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