2018年12月25日火曜日

為政者の目線

一昨日の天皇誕生日、その前日に皇居で開かれた今上陛下最後の記者会見については多くの人が感想を述べたが、政治家特に与党にあっては誰一人感想を聞くことが出来ない。恐らく政権トップから意見を控えろとの指示が出ているのだろう。現代は有難いことに陛下が仰ったことが活字だけでなく、居ながらにして肉声がYouTubuで何回でも繰り返し確認できる。政権幹部は声涙ともに降ったこの会見を何と聞いたか知りたいものだ。

国家国民の象徴とは下々からすれば意味不明な存在であるが、平たく言えば常に国民一人一人と同じ立場に居続ける存在である責めを負わされた人とも言える。会見に接した非常に多くの人が大きな共感を覚えたことは疑いの余地がない。誰から見てもこれほど見事に己の責務を弁え、忠実に実行出来た人は古今東西そう多くはいないだろう。少なくともマスコミで感想を述べた人間で、内容の過不足を唱えた者は知らない。

しかしマスコミに登場せず、陰で内容が政治的に過ぎぬか、政権への不満が滲み出過ぎていると不満を唱えている連中がいることは容易に想像できる。そしてそういった輩に限って表に出ると、国粋主義者ぶって天皇制護持とか教育勅語とか言いたがるとしたものだ。「美しい日本を守り伝えるため、「誇りある国づくりを」を合言葉に、提言し行動します。」を標榜をしている日本会議なんて意味不明な組織のメンバーもこの会見のお言葉を拳拳服膺すべきだ。

少し話が変わるが、2歳年上で衆議院議長まで務めた伊吹文明氏がいる。彼は既に大長老で総理に遠慮する必要は無いだろうし、自民党員の中では比較的穏健、中庸かと思っていた。しかし彼もやはり官僚出身故だろう、物事を数字でしか見ることが出来ないかとがっかりしたことがある。先週日にちは失念したがBS・TBS「報道1930」にゲスト出演した時のこと。確か予算案に関連してのことであった。

局が準備した児童養護施設「子供の家」の取材に対し「私はこういう取り上げ方は賛成しかねる。」と異を唱えた。要するに国家はあらゆる層に目配りした福祉政策を立案しなければならないし、安全保障政策もまた福祉政策同様重要な課題である。従ってマスコミが子供の貧困に特化したアッピールをするのは良くないとの趣旨だ。正に旧大蔵官僚丸出しの意見。数字だけを見ての判断で人生を送ってきたことが分かった。一人の金持ちが1億円稼ぎ、残り99人千円しか稼げなくても平均すれば全員が百万円ずつ稼いだことになる。

政治家の目の付け所と政治の在り方について考えさせられた。

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