2018年11月5日月曜日

無責任極まる

元日本企業の徴用工であった老人が日本の企業に慰謝料を払えと訴えを起こし、韓国の最高裁が尤もなことだと認めたので、日韓で大きな外交問題となって騒いでいる。日本は外交交渉で韓国側にお金を払ってとっくに解決している話だ。もしその老人にお金が渡っていなければ、それは韓国国内の問題だろう、そっちの政府の責任できちんと解決しろとの姿勢で強弁しているが、韓国裁判所の個人の慰謝料については未解決との判決に対して、大統領は今のところ何も言及していない。昔日本の言い分を了とした経緯があるので苦しいらしい。

その争いがどう決着するかは大して関心は無いが、戦争の傷跡に対する慰謝料問題はややこしい問題だと思う。戦争は国と国が軍隊を出して殺し合い、軍隊同士の勝負で政治の決着をつけることであるのは分かり切ったこと。負けた方の政府は、先の大戦以降敵国の司法によって裁かれ、極刑に処せられたりする。これも知っての通りだが、敗戦国の国民は特に罪を負っている訳ではあるまい。とどこかで読んだ記憶がある。

しかし米国と日本の関係を見ると、戦勝国のアメリカは戦後73年経った今でも敗戦国の日本の国民から莫大な金額を搾取し続けている。向こうからすれば先の大戦の慰謝料のつもりだろうから胸は痛まないのだろう。搾取は税金だけではなく、領土領空領海と言った国土の物理的支配も変わっていない。我が国の総理や外相流に言えば「如何なる国際法に基づくや?」であるが、日本は大人しくアメリカの言うがまま蹂躙に耐えている。

それを思うと100歳近い韓国の一老人が、日本の企業に1千万円の慰謝料を要求し続けたのも分かるような気がする。先日テレビを観ていたら、慰安婦問題で10億円の基金を作ることでの決着に尽力したとされる元外務官僚の岡本行男氏が、「慰安婦は強制的にさせらているのに対し、徴用工は自ら志願して職に就いていたのだから全く事情が異なる。」としたり顔で言っていたのを聞いて唖然とした。もっと言いたいがそのことは措くとして。

朝鮮を植民地として蹂躙した日本は他にも大きな傷跡を残している。テレビでも一部報道(ニュースにはなっていない)されているから知っている人もいるだろうが、BC級戦犯問題である。大戦中日本軍人軍属として戦勝国の裁判にかけられながら、死刑を免れ生き残った朝鮮出身者がまだ日本に生存している。これも韓国徴用工と同じく 五指に満たないようだ。この老人は終戦で日本人でなくなった(釈放当時は無国籍)との理由で軍人恩給の対象にすらなっていない。日本は植民地を全て日本人とする建前で支配したが、敗戦と同時にその責任を一切放棄してしまった。これを無責任と言わずして何と言うべきかである。

0 件のコメント: