読後感「自衛隊の闇組織」石井暁著

サブタイトルに<秘密情報組織「別班」の組織>とある。著者は現役の共同通信の編集委員。5年前の2013年11月に共同通信が配信して全国で30以上の新聞社がトップ記事つぃて取り上げた記事を書いた人物である。内容は自衛隊内部に設けられている非公然組織「陸上自衛隊幕僚監部運用支援・情報部別班」(通称「別班」)の実態に迫るべく努力した日々を回想した記録である。

著者は、この組織の存在を首相や防衛大臣にも知らせず独断で海外情報活動を行っているので、文民統制の逸脱していると断じている。まかり間違うと、嘗て満州で暴走して中国と泥沼の戦いに国を引き込んだ旧帝国陸軍関東軍の二の舞になりかねないとの心配をしている訳だ。但しアマゾンで読書のコメントを読むと次の感想もある。

少し長くなるが以下に「鞍馬天狗氏」のコメントから一部を引用させて頂く。
『私は、この本を本屋で立ち読みしたが、買う気は起こらなかった。理由は以下のとおり。 この本には、「総理も防衛大臣も別班の存在を知らない」「だから別班は文民統制の埒外にあり、危険である」という論調が基底にある。もし著者が本気でそう思っているなら、ナイーブにも程がある。
 例えば、公安警察が、国の治安に悪影響を及ぼしそうな集団の構成員にお金を握らせて、情報提供者として運用しているのは事実と思われる。しかしそれを総理や国家公安委員長に質問しても、「与り知らない」で通されるだろう。それはそうだろう。それを「知っている」と認めてしまえば、「そんな活動はやめてしまえ」と国民に反対運動が起り、治安維持活動に支障が出る。国民の生命身体財産を預かっていると自覚している政治家は、しらを通すしかない。
 別班の活動を、総理や大臣が知らない筈はない。知っていながら、国民の安全を守るために、しらを切っているのだ。まあ、民主党が政権を取った際に、自民党の防衛大臣が後任の民主党の防衛大臣には別班の存在を引き継がなかった可能性はあるが。』

確かに鞍馬天狗氏の言い分も分かる。しかしその組織が日本にも実在し、アメリカCIAやイギリスのMI6(007のモデル)と似たような活動をしていることはびっくり仰天。帝国陸軍の中野学校が源流のようで、当初はアメリカ軍の基地内に事務所があったらしい。昔の取材なので最新情報とは言いかねるが、現代でも世界の各地で身分を隠した自衛官が隠密行動はしているのだろう。私は反対するが、それをすんなり認めるか否かについて、大勢の人に読んでから判断してもらいたい。

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