2018年8月26日日曜日

秀才ではあるが

外出する気が起きない暑さのお陰で、昨日は久しぶりに読書が出来た。「昭和の怪物 七つの謎」保阪正康著である。著者はほぼ同年齢の作家、大学は違うが文学部社会学科を卒業して広告会社(電通PRセンター)に一旦入社したところまで似ている。だからと言うわけではないし、そんなに多くの著書を読んでもいないが、彼の視点は大いに共感するものがある。今回特に成程そうかと思ったのが「思想と哲学」のこと。

先に書いたように小生も一応大学で文学部哲学科(社会学専攻)を卒業させてもらっている。入学の動機は不純で当時試験科目が最も少なく、真面な男子が好んで行くようなところではなかっただけのこと。それだけ内心劣等感に苛まれていた(る?)とも言える。従って特に何か思想や哲学が身についた覚えはない。しかし最近、このブログへのコメント(匿名)で「左翼老人」呼ばわりをされ、そうか現代風に見ると「俺もいっぱしの左翼」扱いしてもらえるのかと、複雑な心境になったことがある。

半分己惚れて書いているのはこのくらいにして。保阪氏はリーダーになるような人間には「思想と哲学」がとても大事だと言うのである。特に総理大臣を3年近く務めた東条英機とか一時その特異な経歴で持て囃された瀬島隆三は、頭がいいとか記憶力抜群だったかもしれぬが、肝心の「思想と哲学」について大きな疑問を呈している。無ければもちろん問題だし、あったにしても自己保身が常に優先されるようでは思想や哲学が泣こうと言うものと断じている。

所謂秀才とされる人間にこのような精神構造が生ずる原因も幾つか記述しているが、記憶に残るのが<軍人の場合、独特な精神的空間に生きるので全て実学の中で学び、小説何ぞ軟弱として読む必要性を認めない>。要するに一般人とは大分異なる精神構造、即ち「精神論大好き」「妥協は敗北」「事実誤認は当たり前」→自省が無くなった。これは平成30年の内閣に似ているとも言えるとしている。

また保阪氏を含め物書きは苦労するようだが、軍人に限らず秀才を自覚してる高級官僚は、自分に都合の悪い歴史文書を破棄したり改竄するのが日本では昔から当たり前のようだ。昔はいつを指すか分からぬが、ここに欧米とかなりの違いあるのは事実だろう。

2 件のコメント:

信州爺 さんのコメント...

senkawa爺 様
 安倍首相を支持する人の支持理由は他に変わるべき政党も政治家もいないから
ということで、彼の人格をよしとしている訳ではないと言われます。
普通に考えて、信頼・信用できない人の思想や哲学は受け入れ難いものだと思うのですが
不思議でなりません。なぜそうなってしまうのか、保坂氏の著書を読んでみます。
 信州爺

senkawa爺 さんのコメント...

信州爺さん
いつもありがとうございます。
この本は自信をもってお薦めします。