2017年12月7日木曜日

権力分散なき国家

明日まで特別国会が開催されているが、政治への失望感が強くて関連報道をほとんど観たり読む気にならない。ところが昨日ネットで前川喜平氏(元?文科事務次官)の長時間インタビューを聞いてしまった。氏は今年の通常国会で話題になり始めた頃からなかなかの人物だと思ってはいたが、改めて話を聞くと、政治問題を諦めてはいけないとの思いが強くなった。

氏は生まれから現在に至るまで生活環境が庶民離れした恵まれた環境であるのは確かだが、それを敢えて隠さず、その話を聞くとその思いを忘れさすほど説得力のある内容だった。どうも周知のことのようだが、先日林文科相が加計学園に大学設置許可を出した際に、すかさず「文部科学行政に汚点を残した」との声明を発表したとのこと。

改めて氏の加計学園設立に絡む問題点を聞くと、実に理路整然としている。論点の中心に置かれているのは2015年4月、総理官邸で今治市の職員が総理の事務秘書官と1時間半に亘る会見を行ったこと。この日以降今治市に加計学園獣医学部を国家戦略特区事業として設置するためのチームが一斉に動き出したのだろう。総理の事務秘書とは正に総理の身代わり、その人が官邸で面会するのだから総理が知らない筈はあり得ない。

ここから先は総理周辺に大勢いる官僚が、進行表を描いてその通りに進行してきた。従って総理の心情を誰かが忖度して云々の話ではなく、明確な総理の意思表示に基づかない限り成り立たない話だ。ただそれを認めるわけに行かなくなって、それをカバーする弥縫策が余りにご粗末ということである。このことはさて措き、氏が真剣に怒っているのは現在の民主主義の危機にあることを強く感じた。

即ち、現代の日本は権力が政治権力に集中しすぎて、民主主義の世界では本来別に存在する筈の権力が政治権力に侵食されつつある。警察とか検察とか、ひいては裁判官までも相当官邸の顔色を窺うようになっているのが問題である。しかしそれ以上に問題だと思うのは、マスコミ権力の犯され方だと指摘する。

たまたま昨日は最高裁判決で、NHKは独立した報道機関とのお墨付きも出たようだが、昨今の報道を見ていて本当にそう言えるだろうか?前川氏のツイッターに「読売新聞はもうメディアという名に値しない。」と書かれているが、NHKも似たようなものだろう。

権力分散なき国家は独裁国家で北朝鮮と同じだ。

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