2017年11月8日水曜日

読後感「明治維新という過ち-日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト」
原田伊織著 〔完全増補版〕

この夏以降、幕末に些かの関心を持ち、ひょっとすると自分の明治維新についての認識が間違っているのでは?と思い始めた矢先に、中学の同窓会があり、昔の同級生から今流行りの本と教えられて読んでみた。タイトルも冒頭に掲げた通りで、これまでの認識とは大分異なることが沢山書いてある。著者の年齢もこ大分近いし、広告代理店勤務を経ているところも似ている。しかも作家の司馬遼太郎氏と同窓の大阪外大出身だから、こちらとは大分違うインテリのようだ。

紹介してくれた昔の同級生もかなりのインテリで、原子力物理学の世界で世界的に活躍している。普段は殆ど付き合いが無いが、たまに顔を合わせると昔同様の議論が出来る。但し彼は政治的には意見が全く異なるバリバリの保守派。従って会話の途中で、何かの拍子で山口県出身の安倍総理の悪口に及んだ時、彼の口からこの著者の名前が出たのだ。但し、読むことを薦めると言うより、むしろ「君もその読者の口だろう!?」程度の感じ。ところ残念ながら著者の名前さえ知らなかったのが事実。かの同級生は昔から単に頭がいいだけでなく、何をしてもとても敵わなかった。悔しいので文庫本を探して読むことにした。

著者の気持ちは「はじめに~竜馬と龍馬」に端的に書かれている。
「本書は、2012年に、私としては止むに止まれぬ思いに駆られて世に問うた。」から始まるので、既に世間ではよく知られた作家のようだ。読み終わってからネットで検索すると、案の定、我が同級生が指摘するように正に悪評さくさくである。著者にしても歴史学者ではないからだろうから、この本が示すところだけを丸呑みしてはいけないのだろう。がしかし、書かれている内容は魅力的と言うのも変だが、それなりに説得力はある。

感想は沢山あるが、一つ上げる。「明治維新」と言うが、どの出来事を言うのかと聞かれると答えられない。「ここから近代が始まった」と言っても、いつからですか?これも子供に聞かれても正確に答えられない。成程、歴史は正しく総括され、正しく記憶されることが大切だ。現代人の何パーセントが僅か65年ほど前まで、日本国、即ち我々自身が、アメリカ(正確には連合国軍)によって独立を奪われていたとの自覚があるだろうか。

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