2017年10月27日金曜日

「国難」とお言葉

皇后様が今月20日の誕生日に際し、宮内記者会からの質問に答えるたちで文書を公表されている。その中で『この1年を振り返るなかで、先日発表されたノーベル賞に「日本も関わる二つの賞の発表がありました」と前置いたうえで、日系イギリス人のカズオ・イシグロの文学賞受賞と並び、平和賞に「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が選ばれたことに言及。そして、この受賞を「大きな意義があった」』と評価して次のように綴られている。

『平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン「ICAN」が受賞しました。核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る「報復」にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています。』

これを人によっては皇室に許されない政治的発言、即ち「国連核兵器禁止条約の交渉すらボイコットし、批准拒否という強硬姿勢を貫き、ICANの平和賞受賞には一言もコメントを出さない現政権への抵抗。」と非難するかもしれぬが、もっと素直に読み取るべきだ。解散総選挙が終わり、全国民が心機一転、一致協力して国難に向かう心構えが整ったとはとても言えない。小泉進次郎氏が率いる自民党の大勝利を喜んでいる人もそうでない人も戦争を望む人はいない筈。

戦争をするもしないも決めるのは政治家の仕事、政治の舞台は芸能人が活躍する場とは違う。確かに小生の理解では、皇后様の言葉には政治的意味がある。天皇陛下のご発言にも政治的意味が含まれることがしばしばあるのも事実。しかし「人間天皇が斯様な発言をしてはいけない」とは憲法で定められてもいない。また敗戦時の「国難」に際し、国を救ったのは昭和天皇の「お言葉」だったと教えられて育ってきた。

政治家のまともな言葉を聞きたいものだ。

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