2017年7月24日月曜日

産業構造の未来

現在の日本は広い世界の中で有数の工業先進国であり、あらゆる産業で世界のトップクラスに位置する企業が多数存在するものと理解していた。特に自動車業界や電気製品関係では世界有数の企業多数存在することを知っている。岳父はその中の1社【東芝】一筋で「東芝が潰れる時は日本が潰れる時」が口癖であったと聞く。そんなことを言うぐらいだから愛社精神も旺盛で、有難いことに嫁に幾ばくかの東芝株を残してくれた。

嫁は株価が1000円になった時に売り払ったそうだが、これは岳父の遺言に沿った行動だったようだ。岳父が何を考えていたか知るすべはないが、当時一流とされていた会社であっても、それが永遠に続くことはあり得ない。株価なんぞは見切り時が肝心と考えていたとすれば、技術屋さん乍らかなりの見識と敬意を表したくなる。何故か、実は昨日から読み始めた本「東芝解体 電機メーカーの消える日」を読み始めて愕然とした。

昔からと言うべきか、戦後が正しいかは兎も角、我が国の主要企業は政府と密接な関係を保ち、産業界官界協力して日本の産業を発展させてきたことは間違いないと思う。そこに今更異論を挟んでも仕方がない。産業界が苦しくなった時行政が手助けするのはどこの国でも当たり前だろう。そんな時に政治が介在するのも万国共通で当然だろう。しかし、今回認識を新たにしたのは、日本の場合この協力関係が極めて固定的になりがちで、癒着しやすいらしい。これも場合によって一概に悪いとは言えないだろう。

外国の場合は行政が産業界をヘルプする時は、最初から決めるかどうかは別にして出来るだけ短期間に終了するように努めるとしたものらしい。行政によるヘルプは医療で言えばカンフル剤の注入と考えるとすれば、成程と思う。兎も角、今まで常識だと思い込んでいたことが、世界水準から見るとかなり非常識であるようだ。それで終われば良いのだが、その結果で現在の産業構造がとんでもない事態になっているようだ。

自動車業界でトヨタと言えば世界のトップメーカー、現在も将来もそうであろうと思うのだが、どうもそんなに甘い状況ではなさそうだ。東芝について言えば、既に破綻状態にあるとのこと。東京電力なんかも同じだが破綻状態にある企業が国民の税金で延命措置が取られている。このことを知る人は多いらしいが、小生も知らぬし国民の大部分は知らないだろう。東芝社員は現在16万人だそうだ。もし破綻すれば下請けを含む影響は計り知れないだろう。しかし、いつか破綻するのであれば、長引けば長引くほど傷が深くなるのは当たり前だ。

0 件のコメント: