2016年7月8日金曜日

日英の比較

1昨日の報道で、イギリス政府が設置した第三者委員会が、13年前のイラク戦争に参戦した当時のブレア首相の政策判断が間違っていたとの調査結果を発表した。イギリスと言えば、目下EUからの離脱問題で首相が進退を明確にしていたりして何かと大変だと思うが、13年前のことなど悠長に構えている暇があるのかと半ばあきれる思いである。たまたま昼飯時にイギリス滞在が長かった友人と一緒だったので、関連していろんな話を聞かせてもらうことが出来た。

彼曰く、日本とイギリスはとも政治体制に議員内閣制を採用しているので似ていると言われる。しかしその運用の実態には天地ほどの違いがあるらしい。政治家や政党に関して様々な違いがあるようだが、最も印象に残ったことは次のことであった。

キャメロン首相引退後の党首候補に名乗りを上げている二人の女性候補がいる。今朝の新聞から引用すると「欧州連合(EU)残留派のテリーザ・メイ内相(59)が199票、離脱派のアンドレア・レッドソム・エネルギー閣外相(53)が84票を獲得し、女性2候補が全党員による決選投票に進むことが決まった。」とある。このことは昨日の昼の時点で既に見通しがついていたので、それを前提に話が進んだ。

メイ氏にしてもレッドソム氏にしても初めて聞く名前である。危機に臨んでこのような人が出てくるのが日本とは違うところらしい。日本であれば与党に限らず全政党が、各選挙区の候補者を党幹事長を頭として中央で指名している。従って首相交代となった時に上がってくる名前は、自ずから知れたような名前に限られる。ところがイギリスでは各選挙区の候補者を決定するのは各選挙区の党委員会だそうだ。だから当選した議員は中央に何ぞ何の遠慮も無いらしい。己の信ずるところに従って思い切った発言もできるし、政治活動が行えるとしたものらしい。

政党が国民に密着していれば、そのような姿になるのが自然だ。政治家の質においても一定の品質が担保されることにもなるだろう。従って次期首相候補に、遠い日本の庶民には全く無名の人が出てくる来ることが不思議ではないのだそうだ。イラク戦争参加への首相責任問題の追及のありようなんかを日本と比較するのは、もう違い過ぎて論ずるまでも無い。

友人の話をもう1件だけ追加しておこう。メディアについてである。フィナンシャル・タイムズなる日刊紙についてであった。名前は知っているが読んだことは勿論無い。発行部数は27万部とのこと。少なさにはびっくりした。先般のダッカのテロ事件でも人質に日本人が含まれていることを真っ先に報じたらしい。そのこととは別に、世界中のあらゆる紛争地帯で起きる事件に、必ずと言っていいくらいフィナンシャル・タイムズの記者が現場を背景にレポートしているとのこと。

外国事情に疎いので感心して聴くばかりだったが、聞くとイギリスの人口は日本の約半分ではないかとのこと。報道を聞きかじる限りで、は前途多難を同情したりしているが、日本人民の方が余程同情されるべきかとも思ってしまった。

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