2016年2月25日木曜日

TPP問題

大分昔民主党政権時代だったが、高校後輩の篠原孝氏(民主党衆議院議員)の書いた「TPPはいらない!-グローバリゼーションからジャパナイゼーションへ」を読んで以来、TPPは不調に終わった方が誰にとってもハッピーかなと思っていた。その後政権が自公に移行すると、野党時代に猛反対していた態度を豹変させて、現在はTPP推進のリーダー的国家になっているので、どうなっちゃているのかと不思議に思っていたところだ。

TPPの利害得失については、国会でもはたまに質疑が行われるが、内容が多岐にわたるので明確な回答が得られない。マスコミも内容の議論より立役者甘利元担当大臣のスキャンダルの方に関心が移り、国益を考えた論調にはなかなか至らぬようである。最近誰かのメルマガで、関税自主権喪失は江戸時代末期の日米通商条約締結以来の国辱的大問題(この条約撤廃に要した年月は40年に及んだらしい)との主張を読んで、改めてISD条項を含むTPP問題を思い起こした。

国会質疑を聴いている限り、法務大臣でさえ、ISD条項と日本国憲法のどちらに優位性があるかについては明確な返事が出来ない。ISD条項なんて非現実論だから無視してもいいのかと簡単に考えていたが、この条項の利用は現実問題で国際的に拡大しているらしい。過去半世紀は数件で推移していたものが最新データ(といっても2012年のことだが)年間58件に上っているとのこと。

へーと思っていたら、今度はアメリカでこの問題に火が付いているようだ。今週民主党上院議員エリザベス・ウォーレン氏(2015年「最も影響力のある百人の人物」に選ばれている大物とのこと)がワシントン・ポスト紙の「全ての者が反対すべき条項」という掲載記事で詳しく主張したとのこと。併せてオバマ氏に近いとされてきた民主党ヒラリー・クリントン氏までもがTPP反対を表明したらしい。自由貿易推進の共和党候補でさえ反対を表明とのこと。オバマ現大統領にとって最後の大仕事とか、花道と言われている向きもあるが、大統領が議会承認手続きをいつどのように取ろうとしているかは知らない。

しかし、日本では安倍政権が今国会中の承認を目論んでいるとのこと。国会に於ける質疑が如何に中途半端であろうと、政権が議決を優先すれば数がもの言う世界だから承認は簡単かもしれぬ。大方の農業関係者は反対、輸出(貿易?)産業の関係者と物が安くなることを期待する一般消費者は賛成とされているが、推測するに果たしてどうだろうか?反対を唱える人は少数で、一般国民は「よく分からんよ」てなことではないだろうか。小生は勿論「よく分からんよ」だ。政権が誰の気持ちを忖度して承認を急ぐのか知りたいところだが、はっきり分かるのはオバマ大統領に恩を売りたい気持ちである。気持ちは分かるが、2階に上ったところで梯子を外されないよう気を付けることもまた必要ではないか。老婆心ならぬ老爺心から忠告したい。

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