2015年11月26日木曜日

崖っぷちのジャーナリスト

急に冬めいた天気になって、冷たい雨に打たれている街の雰囲気が暗く感じる。気分的にも余り明るくなれないのは各種の報道のせいもあろう。先進諸国が戦争宣言を出すのも、第3次世界大戦と称する人も居るようで、聞いて気分良いことではない。でもこれは馬鹿な総理が真剣な顔で応援団みたいことを言うだけで、当面は遠い話と思っている。国内でもスポーツ以外は聞きたくもない暗いニュースばかりだ。

ブログのネタにしても心温まる話でも書きたいのだが、これがなかなか見つからない。仕方なしに政治家が利権の道具として玩具のように扱う税金のことで、悪口を書こうかと考えていたが、もっと酷いことがあった。時々触れるメディア絡みの話である。なんでもTBSの「NEWS23」が終了するのではとか、レギュラー解説の岸井成格氏が降板させられるとの報道だ。

実は就寝時刻が22:30なのでこの番組は殆ど観たことが無い。しかし岸井氏は同じTBS日曜朝の「サンデーモーニング」で観たり、夕方の番組でもたまに観るので、考え方が視聴者目線であるのは分かる。また昨年末安倍総理が「NEWS23」に生出演した際、番組の取材が偏っているとしてイチャモンをつけたり、その後自民党から「公正な報道」を求める文書が各局に送られた騒動も知ってはいた。

昔からマスメディアは政治そのものが大切なネタ故に、政治部に大勢の政治記者を置いて、それぞれが若い時から特定の政治家と個人的関係を結ぶのが常で、
その濃密な関係の中で掴んだ情報を、如何に読者或いは視聴者の目線で加工して公表するかがジャーナリストの使命でもあり、腕の見せ所でもあり、又誇りでもあろう。

しかし、中にはミイラ取りがミイラになる如く、読者目線を忘れて政治家の御用聞きに成り下がる者がいるのもまた事実だ。ジャーナリストと呼ぶのさえ気恥ずかしいが、読売の主筆渡邉恒雄氏あたりが筆頭かもしれぬ。今のマスメディアにはNHKがそうだが、ミイラ取りがミイラになるまでもなく、ミイラがいきなり経営者になってしまった例もある。

トップが政権寄りとなれば、中には気骨あるジャーナリストが居ても、会社全体が徐々に政権の御用聞きに成り下がるのも已むを得まい。どうも産経系統も同じ匂いがするので、この系統は新聞読まないしテレビ報道も観ないことにしている。他の新聞社或いは放送局でもトップは政権に対して逆らうことはできない。しかし、現代に於いては第4の権力とも称されるマスメディアに於いて、記者や編集者が作るコンテンツでは、そう簡単に政権の圧力に屈していけない筈だ。その意味では岸井氏や、同じTBS土曜夕方の「報道特集」金平記者や日下部記者なんかは頑張っている方だと思う。

その岸井氏の首を切らねばならぬほど、会社かトップにかかる圧力が凄いのだろう。この3月にはテレビ朝日の「報道ステーション」コメンテーター古賀茂明氏の首も切られたことが記憶新しい。その後4月に一新したコメンテーターは相変わらず政権批判を口にするし、キャスター古館氏も今のところは頑張っている。

考えてみるとNHK人事に象徴されるように、歴代政権の中で現政権ほどマスコミ操作に拘る政権は珍しい。本来マスコミはバックに国民を背負っているので、政治家には強い存在だった筈だ。どうしてその風向きが変わったのか、一考の余地がありそうだ。しかもその干渉の仕方がかなり露骨で、最近では高市総務大臣が国会で堂々と「放送法に抵触する事案があった場合には、放送法を所管する立場から、行政指導等の必要な対応を行うものでございます。」と述べるなど、マスコミトップは相当に萎縮しているのだろう。現役時代に広告を通してマスコミと深い縁があっただけに、実に気がかりでもある。

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